一 閑 堂

ぽん太のきまぐれ帳

南北の【生世話】:『盟三五大切』より その二

2007年04月14日 | 歌舞伎・芝居
源五兵衛は理由はどうあれ、小万を好きで好きでたまらない。 畳表さえ借金のカタにとられ、鍋鉄瓶すべてなくとも、小万がいるならそれで満足だ。 そのせいで、小万と相思相愛と信じている時点での三津五郎の源五兵衛は、大変に機嫌がいい。 形而下のことになんか関知しないその鷹揚さに、浪人してはいても「侍」の気風が宿る。 小さいことにこだわらず…と見えて現実的感覚がない源五兵衛は、要するに町人から眺めた「侍」そのものだ。 「ありゃ、お武家さまだからな」で嗤い者にされる、生活能力ゼロの「侍」である。 生活の機微同様、色事の機微も知らない「野暮な侍」。それが源五兵衛だ。 ただし、三津五郎の演じ方はまことに大らかだった。そこが実に優れている。 . . . 本文を読む

南北の【生世話】:『盟三五大切』より その一

2007年04月14日 | 歌舞伎・芝居
大南北描いた、【生世話】としての「色悪」が、そのまま舞台に出現した。 一点の曇りも揺らぎもなく、過剰な思い入れもなく、ただそこに南北の生んだ「色悪」がいるのだ… 名古屋御園座の陽春花形歌舞伎『盟三五大切』通し上演は、できるなら多くの人に是非とも見てほしい。 こんなにわかりやすく明確で、なおかつ素敵な芝居は、そうそう見られないだろうから。 数年に一度あるかないかの脳天ぶちかまし演目をリアルタイムで体験できた幸せは、一生の宝である。 御園座と役者と裏方すべて、そしてこの芝居を是非とも見るよう勧めてくれた友人に、ただただ、「ありがとう」という気持ちで一杯だ。この舞台を見られてよかった! 心底よかった!!! 以下、はなはだ長くなるが、私が見た御園座での『盟三五大切』の感想を四編に分割してアップしてみる。 お閑があれば、最後までお付き合いください。 . . . 本文を読む

責め絵アラベスク/「小金吾討死」

2007年03月30日 | 記憶の扉
猿之助の通し狂言『義経千本桜』の思い出をもう一つ。昔から大好きな「小金吾討死」である。 . . . 本文を読む

偽(ニセ)の春/「吉野山」

2007年03月29日 | 記憶の扉
『義経千本桜』というと、私なぞはまず「猿之助!」と思ってしまったりするのだが、今月にちなんで、歌舞伎座最後となった猿之助版の思い出を掘り起こしてみる。 最初の一つは、芝翫と猿之助が踊った「吉野山」だ。 私はこの二人の踊りがとても好きだった。何度も組んでいるため、以心伝心といった趣があったのだ。 . . . 本文を読む

「形」と「心」ー幸四郎の知盛をめぐって

2007年03月28日 | 歌舞伎・芝居
『義経千本桜』を昼夜通して見てきた。歌舞伎座に行くのは十ヶ月ぶりだった。 とはいえ、近頃の私は憑き物が落ちていて、久しぶりの木挽町でもあれこれ小屋内を散策せず、売店も冷やかさずにただいるだけ。まだ、徘徊するまでのパワーが戻っていない…という感じだ。 そもそも、最初からあまり真面目に芝居を観ようと思っていなかった! 「気分のいい景色を愛でたい」だけの気持ちだったので、芝居をみるのではなく眺めているに近い感覚。 . . . 本文を読む

「花魁生命体」地動説

2007年03月02日 | 映画
『さくらん』はとても好きな映画だ。珍しく、もう一度見たいと思っている。 何がよかったか? 「吉原」という場所が、きちんと主役をはっていたところだ。 この映画はまごうことなき【江戸吉原幻想】であり、おそらくそれをここまであけっぴろげにやれたのは、原作者含めて、作り手たちが全員女性だったせいだろう。 . . . 本文を読む

演技術としてのだんまり考

2007年01月30日 | 歌舞伎・芝居
『梅初春五十三驛(うめのはるごじゅうさんつぎ)』を、もうひとくさり… 先の一文は翻案切り口に対する個人的感想だったので、大好きな二人、三津五郎と菊五郎について。 . . . 本文を読む

歌舞伎の本懐

2007年01月28日 | 歌舞伎・芝居
久しぶりの更新だ。 国立劇場の初芝居、『梅初春五十三驛(うめのはるごじゅうさんつぎ)』について思いつくままに書きたい。 なにしろ、芝居そのものとすっかり疎遠になって早半年以上。 そんな私が、これだけはどうしても逃せないと出向いたのは、愛する菊五郎劇団の復活狂言だった。 今年は、三津五郎も共演する。菊五郎・三津五郎のW五郎好きとしては、見逃す訳にはいかない! . . . 本文を読む

歌舞伎Jリーグ化計画

2006年10月10日 | 江戸の夢
敬愛するてぬぐいさんが、歌舞伎好きが考える「Jリーグ活性化案」を読んでうけてくださったようだ! お調子者は悪乗りする。いい気になって今度は「もっとスリリングな、歌舞伎白熱化計画」を考えてみたい(笑) . . . 本文を読む

Jリーグスタイルの発信

2006年10月03日 | 日々つれづれ
「サポーターづくり」よりも「サッカーマニア化」よりも、まずは軽薄ミーハーな「物見遊山客の取り込み」。 これが私のJリーグ活性化のための大原則である。 そりゃあ、好きなチームができれば、もっとはまれるかもしれないが、好きになるきっかけは勿論、好きでいる形なども、早い話がなんでもアリだろう。 特定チームのサポーターになることだけがJリーグの魅力ではない、と私は思っている。 . . . 本文を読む

観戦・応援よりも、見物を!

2006年10月01日 | 日々つれづれ
サッカー門外漢が、Jリーグ人気のためにどうするか?を考えるのは、かなり阿呆らしいことなのだが、立ち寄る先がそのことで持ち切りなので、便乗して考えてみたい。 ちなみに私は「どうしたら歌舞伎がもっと人気になって、あと百年くらいは安泰でいられるか?」について、頼まれてもいないのに常日頃考えているので、結論の出ないことをああかこうか考えあぐねるのが好きなのだろう。 . . . 本文を読む

まず、自分を信じろ

2006年09月09日 | 日々つれづれ
オシム代表の公式戦、アジアカップ予選のサウジアラビア戦とイエメン戦をみて、それなりに楽しんだ。 だが、オシムジャパンで一番ワクワクした試合は、親善試合のトリニダード・トバゴ戦だけで、他は「内容および経緯もわかるし今後の展望もなんとなくわかるが、思い入れがもてない」というのが率直な感想である。 . . . 本文を読む

宗教原理としての「反戦平和」

2006年08月22日 | 閑人思案
日本の夏、平和に思いをはせる夏…。夏をきっかけに考えたことを少しだけ書いておきたい。 私個人は、日本の「反戦平和」は、戦後日本人が帰依する宗教だと理解している。 この宗教は、唱える側に【絶対正義】を与える。誰も異論をいいだせない、伝家の宝刀である。 「反戦平和教」とは、「反戦を通じて、平和を達成する」ことが、人類すべてに絶対可能だと信じる宗教だ。 戦後日本のメンタリティは、正しく「反戦平和原理主義」にあるだろう。 . . . 本文を読む

ジーコとオシム

2006年08月09日 | 日々つれづれ
完全に休眠モードになっている。 理由の一番は、近頃歌舞伎をみていないことに尽きる。チケットは買っているのだが、行けていない。 . . . 本文を読む

六月の【夢】は続く…

2006年07月03日 | 日々つれづれ
四年に一度の、W杯がもうすぐ終わる。 芝居その他とすっかり疎遠になり、ひたすらW杯にだけ集中した一ヶ月だったが、今大会はとても面白かった。 理由は、なんといっても日本代表がいてくれたお陰だ。 . . . 本文を読む