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ぽんぽこタヌキの独り言 Solilokui dari Rakun Pompoko

日本を見て、アジアを見て、世界を見て、徒然なるままに書き記す、取るに足らない心の呟き

言語比較 「ちょっとだけよ」

2017年06月09日 18時25分37秒 | Weblog

今回は、ときどき会話の中で「ちょっと待って!」とか「英語しゃべれるんですね」と言われた時の返答として「少しだけね」とか、割と使用する機会があると思われる、この表現について、言語比較を行ってみたい。

「ちょっとだけ」という表現には、「量的なちょっとだけ」と「時間的なちょっとだけ」があって、言語によっては、微妙に表現が異なる場合がある。

例えば、元ドリフターズの加藤茶の持ちギャグで、仰向けに寝転がって、片足を挙げて、スカートの裾をまくりながら言う「ちょっとだけよ」という台詞は、おそらく「時間的なちょっとだけ」だろうか。

英語では、「ちょっとだけ」と言うとき、「量的なちょっとだけ」の場合は、「リトゥル」='Little' という単語を用いる。そして、「ちょっとだけある」場合は、冠詞の「ア」='a' をくっつけて「ア・リトゥル」='a little' となる。冠詞をつけずに「リトゥル」='Little' だけだと「ほとんどない」という意味になる。一方、「時間的なちょっとだけ」を表現する場合、たとえば、「ちょっと待ってね」という場合、「ウェイト・ア・ミニッツ」='Wait a munite' となる。これを直訳すると、「1分待って」ということであり、「少しの時間」=「1分」で表現しているのである。

インドネシア語では、「ちょっとだけ」と言うとき、「量的なちょっとだけ」を表現する場合、英語の「リトゥル」=’Little' に相当する「スディキット」='Sedikit' という単語を用いて表現する。この「スディキット」という単語は、「スディキット」='Sedikit' の形で使用されるのが慣用であるが、実は「ス」='Se' と「ディキット」='Dikit' の2つの要素がくっついた形であり、「ディキット」='Dikit' だけで「少し」の意味があり、これに接頭辞の 'Se'=「ス」がくっついた形である。インドネシア語における接頭辞「ス」= ’Se' には、いろいろな用法があり、その使用法により様々な意味を持っている。ここでは、その詳細を説明は省くことにするが、ケース・バイ・ケースで、A.1つの B.最大の C.同様の などの意味を持つ。そして、今回のこの「スディキット」='Sedikit' の「ス」='Se' は、数量を表すわけではないが、「1塊りの」+「少し」ということで「スディキット」='Sedikit' で「ちょっとだけ」ということになるのである。一方、「時間的なちょっとだけ」の場合、例えば、英語の「ウェイト・ア・ミニット」='Wait a minute' に相当するインドネシア語は、「トゥング・スブンタール」='Tunggu sebentar' である。「待つ」という意味の単語は、各々「ウェイト」='Wait' と 「トゥング」='Tunggu' である。そして、「ちょっと」を意味するのが、英語では、「1分」の「ア・ミニット」='a minute' であり、インドネシア語では、「スブンタール」='Sebentar'なのである。この「スブンタール」='Sebentar'も、接頭辞「ス」='Se' と「ブンタール」='Bentar' をくっつけた形であり、また、「ブンタール」='Bentar' が単独で使用されることはないけれど、これだけで「しばらくの間」という時間の塊をあらわす単語である。そして、これに、「1塊りの」という意味の「ス」='Se'がくっついて、「1塊りのしばらくの時間」という意味となっている。また、「少しずつ」と言う場合は、「スディキット」='Sedikit'を単純に重ねても通じるけれど、正確には、「スディキット・ドゥミ・スディキット」='Sedikit demi sedikit' である。

これがタイ語になると、専門ではないけれど、いくつかの例文を比較するに、どうも「量的なちょっとだけ」と「時間的なちょっとだけ」の使い分けが明確でないように思えるのである。

普通に「少しお待ちください」という場合、タイ語では、「クルーナ・ロウ・サックルーニ・レック・ノイノイ」'กรุณารอสักครู่เล็ก ๆ น้อย ๆ' と言う。「クルーナ」=’กรุณา'=「~してください」で「ロウ」='รอ' が「待つ」という意味。そして、「サックルーニ」='สักครู่เ' が「しばらくの間」という意味である。
そして、その後に、 「小さい」という意味の「レック」='Lek'='ล็ก'  と「もう少し」という意味の「ノイ」='nɔ̀ɔi'='น้อย' を2つ重ねて「ノイノイ」='nɔ̀ɔi nɔ̀ɔi '=
'ๆ น้อย ๆ' と表現する。

また、「タイ語わかりすか?」と尋ねられた時に、「少しだけ」とか「ちょっとだけね」などと答える場合によく使用するのが 「ニッノイ」=’nit nɔ̀ɔi'='นิดหน่อย' である「ほんのちょっとだけ」と言う場合は、「ニッディアオ」='nit diao'='นิดเดียว'と言う。そして、「少しずつ」と言う場合は、「ティー・ラ・ニット」='thii la nit'='ทีละนิด'と表現する。

また、時間的に「ちょっと待って」と気軽に言う場合、 「ペーップヌン」='pǽp nʉ̀ŋ'='แป๊บหนึ่ง'とか「ペーップディアオ」='pǽp dĭao'='แป๊บเดียว' と表現する。前者の直訳が「1分」であり、後者を直訳すると「一瞬」である。従って、これらの表現は、「量的なちょっとだけ」には使用されないようである。

最後に、ベトナム語で、「ちょっと待ってね」と言う場合、「チョー モット チュット ディー」='Ch mt chút đi.'となる。「チョー」='Ch' が「待つ」と言う意味。そして、「モット チュット」='mt chút' が「少し」と言う意味であり、最後の「ディー」='đi' が「行く」と言う意味である。これを直訳すると「行くのをちょっと待って」ということになる。このうち、「少し」の「モット チュット」='mt chút' は、日本語で「もうちょっと」と覚えると、すんなり頭に入ってくるのではないかと思う。ということで「ベトナム語わかりますか?」と尋ねられた場合には、日本語で「もうちょっと」と言えば、ベトナム人は「モット チュット」と聞き間違えて、「少しわかるんだ」と理解してくるのではないかと思うわけである。

 


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