
「ジャック・フルーツ」について、どうしても書き足りない気がしたので、今回も引き続き「トロピカル・フルーツ」の話をさせていただきたい。前回のお話の中で、インドネシアの「ナンカ」='Nangka' とその他のアセアン諸国における「ジャック・フルーツ」がしっかりと同じものだと認識し、「ミルク・フルーツ」・と一緒に食べたかった「パンの木の果実」がまた、「ジャック・フルーツ」であった。そして、インドネシア特産の「ナンカ」='Nangka'が、実は「南果」だったことである。そして、それにより、「ナンカ」の原産が「インドネシア」でない可能性を感じ取ったわけである。
ところで、「南果」とは「南方の果実」である。そして、この「南方」とは、どこから見て「南方」なのかという疑問である。たとえば、中国国内で、」「中国の南方に生息する果実」という意味で命名された「南果」であれば、そのエリアは、中国南部で、台湾辺りまで含む地域である。これが、例えば、「鄭和」の南方大遠征のように、はるか南方の「インドネシア」にたどり着き、この「果実」に巡り合い「ナンカ」=「南果」と命名したということも考えられる。そして、その後、その「ナンカ」=「南果」が定着したと考えると、やはり、中国人が「命名」したのだろうと推察される。ネット情報の記述の中には、インドネシアの「ナンカ」の「命名」が先で、後に、中国人によって、漢字の「南果」が「当て字」の形で、後付けされたように記載している記事もあるが、「インドネシア」の「ナンカ」='Nangka'が先行して命名される「語源」的なものがどうしても見当たらないので、これは、漢字の「南果」が先んじていたと考えるほうが自然である。
ただ、この「ジャック・フルーツ」について、少しだけ北上した地域、すなわち、日本の南、沖縄での呼び名は「パラミツ」である。これはもう「ジャックフルーツ」とも「ナンカ」=「南果」とも何のつながりのないところの影響を受けた「名称」である。
結論から言えば、この「パラミツ」=「波羅蜜」は、インド、バングラデシュ辺りが原産とされ「サンスクリット語」の 'पारमिता'='Pāramitā'=「 パーラミター」や「パーリ語」の 'पारमि'='Pāramī'= =「パーラミー」を語源としており、その意味は、「仏教において迷いの世界から悟りの世界へ至ること」である。
ただ、「インド」から「インドネシア」にもたらされた「パラミツ」は、何故、「ナンカ」として、定着し、「パラミツ」で定着しなかったのか、これも疑問である。
この果物は、大きなものでは、40~50Kgにもなり、「世界一大きな果実」として「ギネス認定」も受けている。また、その含有する栄養分も高く、「奇跡の果物」ともいわれ、種まで調理が可能で、美容と健康にいいと注目が集まっている。
写真に大きな柑橘系の果物が移っていると思うが、これは個人的には、「フィリピン」にもあったので、馴染みも深く、英語では「ポメロ」='Pomelo'と呼ばれる「果物」である。これは、日本でも栽培されていて、その名は「ザボン」である。昔から「ボンタン飴」の原料としても親しまれている。「宮崎」では「ボンタン」、「四国」あたりでは「ブンタン」と呼ばれている。ここ「ベトナム」の市場や果物店にもたくさん並べられている。
前稿「トロピカル・フルーツ」で取り上げた「ランブータン」='Rambutan'、実は、大きな真珠のようで美しい、と書いたが、それと似た実で、やはり、白く透き通るような実をしているのが「ライチ」もしくは「レイシ」=「茘枝」呼ばれている果物である。まず、山盛りの「ランブータン」との山盛りの「ライチ」のが並べて置かれていると、毛むくじゃらの「ランブータン」のほうが、存在感はあるが、少し品がない感じがする。ほんのりと赤く染まった「ライチ」が山盛りにされていたほうが、見た目上品である。次に皮をむいてみると、その剥きやすさは、甲乙つけがたい。簡単に剥くことができる。皮をむくと、自慢の白い半透明のような実が姿を見せるわけだけれど、大きな真珠の玉だと思ってみてみると、「ランブータン」のほうが、格段に美しい。食してみると、どちらも上品な甘さだが、若干「ランブータン」のほうが、甘みが強い感じがする。そして、「ランブータン」の実のほうが、歯ごたえと弾力があって、好きだけれど、種離れが悪く、食べた後がちょっと美しくないかな。一方の「ライチ」のほうは、上品な甘さと、種離れの良さ、それに、種自体も「ランブータン」に比べると小さめだから、食べた後も処理しやすい。ということで、「来客用」として、並べて置く場合には、食しなければ「ランブータン」のほうが、視覚的には、アクセントが強いけれど、「ライチ」のほうが、見た目は上品だし、食べた後も、とっ散らかさずにきれいに食べられるので、適しているかもしれない。
以前から、ちょっと気になっていた果物に「釈迦頭」がある。最近、近くの果物店で見かけるようになったので、3個ほど買ってみた。食べ方もわからないし、手元にナイフもなかったので、釈迦の頭のような、小さな突起を手でむしりながら、中から見えてきた白い果肉にかぶりついた。ほんのり甘さはあったが「これはうまい!」と叫びたくなるほどうまくない。真ん中の黒い小さな種のあたりがほんのりとした甘さが増してきたので、多分熟すと美味しいんだろうと思う。なにせ、英文名が「シュガー・アップル」='Sugar Apple'とか「カスタード・アップル」=’Castard Apple' なので、多分、相当甘くて、美味しくなるんではないかと期待が大きい。残りの 2個は、しばらく熟成させてから食べようと思っている。
この「釈迦頭」、別名,「蕃茘枝」(バンレイシ)とも呼ばれる。この果実は、インドネシアでは、「シルサック」='Sirsak'と呼ばれ、「ブラジル」でのオリンピック開催後、女性に人気が出てきている「グラビオーラ」と同種であり、「ブラジル」では、「グラビオレイラ」='Gravioleira'とよばれていて、日本語では、「トゲバンレイシ」、そして、英語では「サワーソップ」='Soursop'といい、一般的には、それがなまって「シャシャップ」となっているようである。「インドネシア」では、この「トゲバンレイシ」は、その特有の香りと甘酸っぱい味から、食用として好まれているほか、果実や葉などは、腰痛や便秘に効く薬用としても活用されている。
ブラジルでは、「森のアイスクリーム」と呼ばれている「チェリモヤ」='Cherimoya' と「釈迦頭」を掛け合わせた「アテモヤ」=Atemoia' という果実もある。「釈迦頭」はただただ甘いばかりだが、「アテモヤ」='Atemoia' は独特の酸味と香りがあり、果肉も多いらしいので、当然ながら、これも「ジュース」や「アイスクリーム」にはいいかもしれない。
「グラビオーラの果実」にはビタミンBとビタミンC、カルシウム等を豊富に含んでおり、ガンの予防効果もあると言われている。
食べ方や保存方法は「チェリモヤ」='Cherimoya' と同様で追熟が必要とのこと。「台湾」や「タイ」などの熱帯地域で栽培されていて、日本国内では沖縄県産が少し流通しているようである。
ちなみに、「バンレイシ」は「アテス」とも呼ばれているが、これは「ブラジル」での呼び名からきているようだ。果皮が赤い「レッドアテス」=「赤釈迦頭」もある。また、「バンレイシ」の仲間「アテモヤ」の「アテ」は、この「アテス」から付けられているらしい。ブラジルでは、その見た目から、別名「心臓」='coração' ともよばれている。
今回は、「アジア近辺」の話から、ちょっと、遠く「ブラジル」のほうにまで、話が「飛び火」してしまったけれど、まあ、緯度的には、同じような位置にある国の話であるから、そのまま1周回れば、ほぼ元の位置に戻るはずなので、ここはご勘弁をいただきたい。
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