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ぽんぽこタヌキの独り言 Solilokui dari Rakun Pompoko

日本を見て、アジアを見て、世界を見て、徒然なるままに書き記す、取るに足らない心の呟き

各国通貨単位の由来について

2012年12月06日 08時41分47秒 | Weblog
アジア諸国をうろちょろしていると、国境を越えるたびに、通貨の単位が変わり、紙幣に印刷されている「偉人の顔」や硬貨に刻印されている「建物」や「樹木」や「花」などのデザインが変わるので、初めて訪問する国へ入国するときは少し「ドキドキ」するものである。もちろん、通貨の「交換レート」は毎日変動するし、変動幅が大きい場合は、1日に何度も変更される場合もある。
現在、中国経済と中国元が台頭する中、世界で最も大きな存在感を示している通貨は、やはり、「アメリカ合衆国」の「米ドル/ダラー」=‘USdollar'である。そして、この「ドル/ダラー」=‘Dollar'という単位は、「香港」「台湾」「シンガポール」「オーストラリア」「ニュージーランド」などでも使用されている。もちろん、「香港ドル」「台湾ドル」「シンガポール・ドル」「オーストラリア・ドル」「ニュージーランド・ドル」という呼称であり、「通貨価値」も各々異なっているのである。そもそも、この大きく幅を利かせている「ドル/ダラー」=‘Dollar'という「通貨単位」がどこの何に由来しているのかといえば、これは「ドイツ」で使用されていた歴史的通貨「ターラー」=‘Thaler'に由来するのである。この「ターラー」=‘Thaler'は、16世紀にボヘミアのザンクト・ヨアヒムスタール(現在のチェコ・ヤーヒモフ)という銀の鉱山で鋳造された「ヨアヒムスターラー」= ‘Joachimsthaler’ という「銀貨の名前」が短縮されて「ターラー」=‘Thaler'と呼ばれるようになったものである。
さて、アセアン諸国の「通貨単位」をそれぞれ見てみたいと思う。私が最も長く駐在した「インドネシア」は「香料貿易」の時代に、数多くの「西欧人」が来訪する過程で、オランダに植民地化された歴史があり、その当時は「オランダ」の通貨(銀貨)である「ギルダー」=‘Guilder'(英)/「グルデン」=‘Gulden'(蘭)が使用されていた。以前、私は「オランダ」=‘Holland'/‘Netherlands' の「通貨単位」について、英語の呼び名「ギルダー」=‘Guilder'であるという知識しか持たなかったため、その語源に辿りつくことができず、なんとなくすっきりしていなかったのだけれど、オランダ語の呼び名が「グルデン」=‘Gulden'ということを知って、その語源が「金」であることに辿りついたのである。それと同時に、「オランダ」で使用されている「銀貨」の呼び名の語源が「金」であるという奇妙な現実にも直面することになったのである。ところで、現在の「インドネシア」の通貨単位は「ルピア」=‘Rupiah'であるが、これは、「インド」の通貨単位である「ルピー」から来ているようである。1610年から「蘭印東インド会社」(1602)による経済的支配がはじまり、その時に使用されていた通貨が「蘭印ルピー」であり、この辺りから、「インド」=‘India'の「通貨単位」である「ルピー」=‘Rupee'が流入してきたのである。そして、「蘭印東インド会社」の支配が1817年に終了し、1942年~1945年の日本軍政を経て独立、そしてその4年後の1949年に、現在の「ルピア」=‘Rupiah'が「インドネシアの通貨単位」として定められたようである。この「ルピア」=‘Rupiah'は、その元になった「インドの通貨単位」「ルピー」=‘Rupee'と語源を共通にしており、それは、「サンスクリット語」=‘Sanskerta'の「ルーピャ」=‘Ru-Pya'に由来するのである。また、「モンゴル」=‘Mongolia'にも「ルピア」=‘Rupia'と言う単語があって、その意味は「銀」である。というわけで、「インドネシア」の通貨単位のそもそもの意味は「銀」に関係しているものと考えられるのである。「オランダ」の「ギルダー」との関連で、少しヨーロッパのほうに話が飛ぶことになるが、ヨーロッパに「レウ」=‘Leu'という「通貨単位」がある。「ルーマニア」と「モルドバ」の「通貨単位」である。17~18世紀の「ルーマニア」ではオランダの通貨「ギルダー」=‘Guilder'が流通していて、当時「オランダ・ギルダー」のことを「ライオンの通貨」と呼んでいたことから、「ルーマニア」では1867年に「ライオン」の意味をもつ「レウ」=‘Leu'を「通貨単位」として定めたのである。
インドの近隣諸国に目を転じると、「ネパール」=‘Nepal'、「パキスタン」=‘Pakistan'、「スリランカ」=‘Sri Lanka'の3カ国は「「インド」=‘India'の「通貨単位」と同じ「ルピー」=‘Rupee'を「通貨単位」としている。また、もう1つの隣国「バングラデシュ」=‘Bangladesh'の「通貨単位」は「タカ」=‘Taka'であり、見掛け上「インド」とは全く関係ないように見えるが、実はこの「タカ」=‘Taka'は「インド」=‘India'の「通貨単位」である「ルピー」=‘Rupee'の文字を「ベンガル語」に置き換えただけであり、表面上は異なっているように見えて、実は「インド」=‘India'としっかり繋がっているのである。そもそも「バングラデシュ」という国名から見ても「バングラ」=‘Bankla'(ベンガル人)+「デシュ」=‘Desh'(国)という構造になっており、「ベンガル人」を強く意識した(インドとは異なる)「国家」であることは間違いないようである。
順調に経済発展を続けている「ベトナム」=‘Vietnam'の「通貨単位」は「ドン」=‘Dong'である。ベトナムは、フランスに植民地化されたり、南北に分裂したり、複雑な歴史をたどってきた国であるが、フランスに支配される前は、「銅貨」が流通していたことに由来するようである。フランス統治下では「ピアストル」=‘Piastre'という「通貨」が流通していた。フランスでは、昔、「米ドル」=‘USdollar’のことを「ピアストル」=‘Piastre'と呼んでいた時期があり、これは、昔、アメリカの「1ドル硬貨」が「銀貨」だったことに関係しており、この「ピアストル」=‘Piastre'のことを、ベトナム語では「ドン」=‘Dong'(銅)と呼んだり、「銀」という意味の「バク」=‘Bac'と呼んだりするという奇妙なことにもなっていたのである。
マレーシアの「通貨単位」はというと、よく「マレーシア・ドル」といわれるが、正確には「リンギ」/「リンギット」=‘Ringgit'である。これは硬貨の淵の「ギザギザ」を意味する「マレー語」である。
日本人の観光地としても人気の高い「タイ」=‘Thailand'の「通貨単位」は皆さんもよくご存じの「バーツ」=‘Baht'である。この「バーツ」=‘Baht'の本来の意味は「金」でも「銀」でも「銅」でもなく、「重さ」の単位なのである。

1バーツ(Baht)=4サルン(Salung)=8フアン(Fang)=100サタン(Satang)=15.2グラム(Gram)

補助通貨である「サタン」=‘Satang'もまた、やはり、この「重さ」の単位が使用されている。

ヨーロッパで「重さ」を通貨単位にしているのは「イギリス」=‘England’/‘United Kingdom'の「ポンド」=‘Pound'である。「外貨両替所」では、この「通貨単位」を‘GBP'と略しているようけれど、これは「グレイト・ブリテン」=‘Great Britain'と「ブリティッシュ・ポンド」=‘British Pound'が重ね合わされているのだろうか。
最後に、「ベトナム」=‘Vietnam' の隣国である「ラオス」=‘Laos'の「通貨単位」は「キップ」/「キップ」=‘Kip'である。この「キップ」=‘Kip'が「ラオ語」に由来しているのかどうかは不明であるが、これが英語から転用された可能性もあるので、そうと仮定して、辞書で調べてみたところ、英単語「キップ」=‘Kip'には次のような意味があることが判明した。
1.(牛・羊・馬などの)幼獣皮(kipskin)またはその束 
2. 寝床、下宿、眠り、うたた寝 
3. ラオスの通貨単位
4. キップ:重さの単位;1,000ポンドに相当
辞書上では、区別して併記されているので、若干の違和感はあるが、「イギリス」=‘England'の「ポンド」=‘Pound'とか、「タイ」=‘Thailand'の「バーツ」=‘Baht'も「重さ」に関係していることもあるので、個人的には「重さの単位」=「キップ」=‘Kip'が「通貨単位」として転用されたと考えるのが妥当ではないかと思うのである。


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