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かものはし通信

他是不有吾

「13時間前の未来」

2011-04-30 22:24:46 | 
リチャード・ドイッチ著「13時間前の未来 (上,下)」 新潮文庫

米国でベストセラーらしいが、、、
週刊ブックレビューでも紹介されたが、、、
それにしても、この軽薄さはどうだ!?

アイディアは、認めよう。確かに目新しい。
しかし、このWASPの美男美女夫婦はなんだ? おめでたいほど愛し合っていて思いやりに満ちあふれて、、、それで?
つまらん本を読んでしまった。映画化されるらしいが、まあ映画映えはするだろう。
というより、はじめから映画化を狙っていたとしか思えん。

最大の失敗は、この本を、読みかけだという理由だけで山形旅行へ持って行ってしまったことだ。
山形へ行くなら、藤沢周平を持って行くべきだった。。。

「ある小さなスズメの記録」

2011-04-25 00:03:12 | 
クレア・キップス著「ある小さなスズメの記録」 文藝春秋

副題に「人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯」とある。
週刊ブックレビューで2月に紹介され、気になっていた本だ。書店で手に取ってみると、その装丁に、というか箱に妙に惹きつけられてしまい、購入と相成った。

小さな動物との触れ合いの記録、と書くと、日本で昨今流行のお涙頂戴本と勘違いされそうだが、そんなものとは全く異なる、静謐な趣のある記録だ。ただし著者は学者ではない。ごく普通の生活を営む一般人の手による記録だからこそ、その客観的な観察眼と感情に流されない静かな語り口が、重みを増す。

「今、世界経済で何が起こっているのか?」

2011-04-24 17:19:51 | 
三橋貴明著「今、世界経済で何が起こっているのか?」 彩図社

同じく三橋氏著作の「ドル崩壊!」と併せて読んでみた。
以前同氏の著作を読んだときもそうであったが、統計や情報の選別がどうも作為的に感じられ、それらをもとに語られる主張も胡散臭く感じてしまうのは否めない。
こういった歯切れのよい文章と他人批判を痛快に感じる人が多いので、売れているのだろう。
だが、自分以外の他者を愚者扱いにしてこき下ろすようなことをせず、静かに主張を語ることができないのなら、その程度の人間であり、それを喜ぶ読者もその程度、ということだ。
「○○などという奴は、××を是非やってみてくれ。」という論調は、先の白戸氏の著作に出てくる「アフリカ社会から学ぶべきことがあるなどというなら、アフリカに永住しろ。」という匿名投稿と同レベルだ。

「日本人のためのアフリカ入門」

2011-04-24 12:21:49 | 
白戸圭一著「日本人のためのアフリカ入門」 ちくま新書

著者のいうところのアフリカ、即ちサハラ以南のアフリカ諸国に、学生時代に一度だけ足を踏み入れたことがある。
2週間ほどの旅程。訪問国はケニアと南アの2国のみ。観光に毛が生えた程度の目的。だが自分にとっては生まれて初めての海外旅行であり、刺激満載の経験であった。
帰国後しばらくの間は、学生の自由な身と豊富な時間を利用して、アフリカ関係の本を読み漁った。レポートなどもしたためた。特に南アに関してはいっぱしの専門家気取りだったことを、思い出してちょっと苦笑する。
しかしそれも、就職してしまえば目の前の仕事に忙殺される日々、20年以上もの間、アフリカに興味を覚えることも殆どなかった気がする。
自分の興味の問題だろうと思っていたが、もしや、1980年代まではアフリカに関する(砂漠化や貧困、饑餓以外の)書籍もそれなりに豊富だったのが、近年埋蔵資源やワールドカップで注目されるようになるまでの間、書店で関連書籍が目立たなくなるほど、国全体の興味が低下していたのではないか。

本著は、新聞というメディア側に身を置く著者自身の反省を含みつつも、メディアがアフリカに対する色眼鏡を作り出している事実を批判し、「日本人にアフリカを正しく理解してほしいのだ。」と真摯に訴えかけている。
著者の真剣な願いが行間から溢れるほど、日本のメディアの造りあげた色眼鏡は色だけでなく形まで歪曲するものであり、時に悪質で、その結果日本人のアフリカ観は激しく偏る。国の外交政策までもが影響される。一人の日本人として、心底情けない思いに駆られる。
全体的に、アフリカを題材にしたメディア論という色合いが濃い。が、そこで語られるまさに今現在のアフリカの様子は生き生きとしており、アフリカの力強さを感じられることは嬉しい。

それにしても、著者が記事に「アフリカの社会にも見習うべきところがある」と書けば、Web上で匿名で「日本に帰らず南アで永住してしまえ」と皮肉られるなど、日本は本当に低俗、野卑な国民が幅を利かせる下品な国に成り下がってしまったのかと、つくづく嫌になる。

「日本語の古典」

2011-04-17 08:16:24 | 
山口仲美著「日本語の古典」 岩波新書

学生の頃から、日本の古典文学を読みこなしたいという気持ちは人一倍。しかし根が面倒くさがりなため、文法や単語を覚えるのが苦痛で、学生の頃の古文の成績は思わしくなく。苦手意識を抱えたまま、今に至る。

年寄りになったらじっくり取り組もうか、、、などとも考えていたが、本著を読んで、年寄りになるまで待つなんてもったいない、と思い直した。
「やはり日本の古典文学はお宝の山。これを読まずして日本人と名乗れようか!」
という気にさせてくれる。
山口教授、この方はなかなかに侮れない。他の著作ももう少し探ってみたい。