#海獣の子供 1巻 、2巻
#五十嵐大介 小学館 IKKICOMIC
ここ何年も僕の携帯のモーニングコールはこの映画の米津玄師の「海の幽霊」なのだが・・・朝の気怠い彼我の分かれ目がぼんやりまだしている時にこの歌が流れるのが妙にしっくりして気にいっている
たぶん これからも使い続けるだろう・・・
さて斯様にお気に入りの本作にもかかわらず 古書業界ではまだまだ品薄でいい値段がするため なかなか原作が読めずにいた
巻数も五十嵐大介にしては長編の全五巻である しかもみっしりと詰まった5冊であり その画の密度もファンにはご存じの細字ボールペンによる偏執的なまでの描きこみの5冊だ。
いったい彼はどんだけの熱情とリビドーをこの作品に注いだのだろうと思うと気が遠くなりさえする。
この度、最近登録して通いだした隣の武蔵野市の図書館で結構なマンガのライブラリーがあることを発見して、その中に海獣の子供も入っていた。
パソコンで予約もできるため、これから楽しむことができそうだ。
原作マンガだと映画アニメで感じていたこの作品のダークでシビアな自然とか海とか生命についてのベース固有振動音が、さらに強く顕在的に響いているように感じている。
ふわふわと、きれいでかわいいだけの海の世界、ストーリーとはかなり違う、
頁を繰っていると突然、人や、海獣が死んだり喰われたり、或いは消滅したりしまう。
だが、ホラーのように怖いか、というとこれも違う、シビアなのだけれど これが当たり前で、当然のこと、自然のことなのだ。という感情が読者に生まれている。
読んでいる時は、なぜか、地上の空気の中ではなく、自分の周りに海の水が満ちているか、水蒸気のようにまとわりついていて、しかもそれが静止しているのではなくて常に潮目のように流れていて、その中で自分も揺蕩いながらこの世界に参加しているような不思議な気分になるのだ。
この第二巻のラストでは衝撃的でトラウマチックな引きで終る、
早く次巻に行きたいような、怖くてためらわれるような、なんとも複雑な気持ちでありました。