#ファントムスレッド #監督ポールトーマスアンダーソン
#主演ダニエルデイルイス 2017年アメリカ
アカデミー賞衣装デザイン部門賞受賞 他6部門ノミネート
なんというか明治大正の日本文豪の体面・体裁は絶対失うことができないけど、その実体はコンプレックスと女性に対する奥手とエロをこじらせたフェチ愛、みたいな空気感に全篇満ち滴っている。
食材に漱石と太宰を足して、花袋の鍋で煮込み、秘伝の川端の隠し味で仕上げたイマイチの懐石風創作料理って感じだ。
実に味わい深くギリギリの線で下賎に縁から堕ちないで留まっている(コレ、褒めコトバ)
ダンディーでハンサムで知的で成功しているドレスクリエイターの主人公を演じるのは本作で引退宣言のダニエル・デイ・ルイス。
食堂で見初めた田舎育ちの教養もセンスもないが、理想的なドレスの為にあるようなプロポーションの持ち主のウエイトレスを自宅兼工房に招き、やがて彼女と奇妙な関係性を持つに至ってゆく・・・
役者が主役からヒロインから助演まで、実に名演技!少しも作り物っぽさがなく、役者と映画のキャラクターが完全にシンクロしている。
露骨なラブシーンや扇情的なヌードやエロは地雷処理班の任務のように慎重の上にも慎重に、ラストまで回避する事に成功している。
観客はいつこのあやういバランスがエロポルノに振れるのか?はたまたサイコホラーのバッドエンドに壊れてゆくのか?とハラハラドキドキしながら画面から目をそらせない。
そして期待外れに、静かに、平穏に物語の幕は降りる。
そして観客は気付くのだ。なんと意味深な、中身の詰まった豊饒でグラマラスな肩透かしかと・・・・!
判りづらい表現になってしまって恐縮だが、褒めコトバである。
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