「技量が足りない」
開催4日目にお邪魔した、川口オート、キューポラ杯。
思わぬ光景と思わぬ言葉に正面からガツン。
準決勝戦、最終カードの12レース、
高橋 貢選手が原因で他3台を巻き込んでの落車事故。
「貢の落車はここ何年も見たことがない」
「ましてや落因なんてあったかなぁ・・・」
呆然とししていると、
そんな言葉がロッカー内のあちらこちらから聞こえてきました。
幸い、怪我はなし。
戻ってきた貢選手、そこからはずーーっと走りっぱなしでした。
何よりも先に落車をさせてしまった選手の車を立て直すために、それぞれの選手のロッカーと整備室を機敏に行ったり来たり。
でも、貢選手の足取りは迷ったり、焦ったりすることなく、
「自分が何をすることが今この状況で最優先なのか」ということが、全てはっきりと分かっている歩運びでした。
お恥ずかしながら
どんな顔して、どんな言葉を発すればいいのかわからないまま・・・・
いったん外へ。
すると
この光景。
夕方と言えど、まだまだ熱気がムンムンしている走路に汗を流しながら、
落車でえぐられた部分を直している方たちが。
初めてみた落車の爪あと。
強力な接着剤を混ぜた、付け足し走路の部分。
速く走路にのせないと、この暑さですぐにカチっコチになってしまうそうです。
それを、えぐれた走路部分にのせて、
木のハンマーで叩き込む。
すると、
「濃い目の新走路」、完成ですっ。
もっしや、意外と簡単そうだなぁ~。と思いませんでしたかっ。
(あ、ごめんなさい、私だけですかね)
それがドッコイなんですよ皆さん。
一人前に出来るようになるまで、10年かかるそうなんです、
10年!
ちょーっとした走路の滑り、ハネ、のりあじ、違和感、その他諸々に敏感な選手たちです。少しの誤差も伝わってしまうそうなんです。
そこで恐る恐る・・・・伺ってみました。
「何年、やられているんですか?」
「さぁーーんじゅうねんやってるよ、はーっはは!!
でもこっれが楽しいんだよ」と。
走路直して30年、さらに今なおストレートに楽しい!と言い放ったおじちゃん。
(敬意をはらっておじちゃんと呼ばせてください!)
かっこいいです。
いや、本当にかっちょいいです。
作業にライトが必要になってきたくらいの時間に再びロッカーへ。
すると、業者さんから部品が届くまでの間、作業中断。
結局、どんな言葉も見つからないまま、訪れた貢選手のロッカーでしたが、
「お疲れさまでした・・ぁ」と行くと、
冒頭の言葉。
「無理しちゃったし、技量が足りないなぁ」
そして、
「スタートの時から悪循環みたいなものがあったかもしれない」とも。
”技術の量が足りない”
どうなんでしょう、、
ネガティブに聞こえますか?
ポジティブに聞こえますか?
いつも通り、
誰に対しても貢選手がそうであるように、しっかりと相手の目を見て話しをする貢選手のその言葉を受けた私は120%ポジティブ以外の何物でもないと感じました。
どうしますか、
どうしますか皆さん、
貢選手がさらに、さらに
技術の量を増やすチャンスを得てしまいました。
その後、いつも通り話しをして下さり、
最後に
「大丈夫です!走路もきれいに直ってきてましたよ!!」
(私が直したわけではないのですが・・・・)
というと、
「そうだよなぁ、いろんな人に迷惑をかけちゃったなぁ」と。
自身の体、車よりも、ファン、他の選手の体、車を心配し続けていた貢選手。
大丈夫です!
走路直してたおじちゃん、すんごいいい顔して「たのしぃんだよ!」って言いながら笑顔で走路直してましたから(^-^)!