知覚反応雑記帳

クオリアが誘うままに

一日中スマホの画面を見つめるホモ・サピエンス

2023年12月20日 | 認識論、倫理学、美学

実存主義者のサルトルが『人間は何かの目的地のたに生まれたのではない』と言った。人間として社会規範のなかで自己存在を形成しなければならない。人は生まれた時代特性に沿って流されながら、無意識のうちに欲望のなすままに不条理で意味不明な自己存在を生き続ける。この人間世界で他者同様な意識を共有し、敵対的他者への攻撃を内に秘めながらかりそめの微笑みを交わす。無反応な機械のような現代人は最先端の科学技術に取り囲まれたハイブリッドな生命器官へと変貌してゆく。20万年前に出現した現生人類、ホモ・サピエンスが握りしめた石斧は進化の果てにスマホを手中にした。どこへ行くにもスマホとの共存は人類の象徴記号である。手のひらのコンピュータは近未来の人間の変貌を指し示している。われわれはGANFAと言う資本主義の象徴たる巨大ATMに金銭を吸い取られる悲しき現代の奴隷と成り果てた。既に後戻りはできず、自己存在形成指数は限りなくゼロに近い。相変わらず生命を無化する領土紛争で近代科学兵器の犠牲者は後をたたない。ホモ・サピエンスはミサイル戦争の餌食のために生まれてきたのではないだろうか。まさに人間の歴史は領土獲得への覇権主義と殺戮兵器進化への歴史である。そこに登場する独裁者は自己存在を縛り上げる。古代から今日まで暴力という欲望の病に翻弄されるホモ・サピエンス。いまだ理想の政治生命は存在しない。街々は煌びやかなクリスマスの電飾に染まり、イエスの降臨を待ち続けている。神でしかつくり得ない壮大無限な宇宙の砂粒のようなこの回転するこの星のなかで、『人間は何かのために生まれたのではない』と言う存在論をメビウスの輪のような自己存在の有り様を、スマホの画面を見つめながらめまいを感じる昨今である。

 

 

 


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