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とうめん博士 著「 アインシュタインほか “天才”物理学者が教える、人生、宇宙、音楽🎵」:人生を変える‼️「物理」的方法

アインシュタイン直系の弟子・とうめん博士 の ブログです
⚠️‼️写真は、ピアノを弾いている アインシュタイン博士

ドゥジェンヌ先生(私の恩師。ノーベル物理学賞(単独)受賞)

2018年11月15日 20時57分07秒 | 日記
(初投稿:2018年7月8日。最新改訂:2025年6月25日)

↑ 私の恩師ドゥジェンヌ先生(ピエール=ジル ドゥジェンヌ(orドジェンヌ orド・ジャン)。Pierre-Gilles de Gennes。1932〜2007)。 フランスの物理学者。 専門は、理論物理学(数理物理学、応用物理学)。 ノーベル物理学賞(単独)受賞(1991年)。 

 ドゥジェンヌ先生は、
原子核、 固体(磁性体、超伝導体)、 ソフト•マター(液晶、高分子)、 流体(界面、粉粒体など)、 生物物理 など、
物理学の広い分野で、多大の研究業績を挙げられました。
 複雑な凝縮系物質(ここでは、液晶、高分子〕の理論的研究において、量子場理論の数理的方法を導入した功績により、
1991年 ノーベル物理学賞 を受賞 ( 単独受賞 )。
( ⚠️ノーベル財団が発表したドゥジェンヌ先生のノーベル賞受賞理由(「 (邦訳)単純な系の秩序現象を・・・」)は、一般向けに書かれた概括的なものなので、かえって分かりにくい一面があります。 ドゥジェンヌ先生も「(先生ご自身に関する)ノーベル財団の発表した文章は分かりにくい」旨をおっしゃっていました。)
( ⚠️ノーベル財団によるプレスリリース(英語)には、ドゥジェンヌ先生の最初の研究分野は「magnetic phase transitions((磁性体の)磁気相転移)」とありますが、それは間違いであり、「原子核の同位体変換」が最初の研究分野です。)

 その数理的方法とは、「繰り込み群」、 BCS理論(の一部)、 などの量子場理論における方法( 繰り込み群の方法は ファインマン(1965年ノーベル物理学賞受賞)らによって考案された、素粒子を記述する量子電磁力学の骨格となる方法。 BCS理論は、超伝導を説明し、その理論におけるクーパー対が形成される際に現れる『自発的対称性の破れ』は、素粒子の標準モデルでゲージ粒子であるウィークボソンに質量を与えるヒッグス機構でも現れます。ドゥジェンヌ先生は『ボゴリューボフ-ドゥジェンヌ方程式』などによりBCS理論の応用発展にも業績があります ) であり、
アメリカの物理学者K.G.ウィルソン (1982年ノーベル物理学賞受賞) が 繰り込み群の方法を「相転移の臨界現象」へ適用したことによって、初めて凝縮系物理学(ここでは、磁性体〕にもたらされた方法です。
( ⚠️以上から、ドゥジェンヌ先生のノーベル賞受賞理由における「単純な系」とは、「磁性体、超伝導体(ひいては、素粒子や原子核)」のことを指している、ということが理解できます。)

 ドゥジェンヌ先生らと共に、 量子場理論などを通じて 素粒子物理学・原子核物理学凝縮系物理学における理論的方法を統合していく「 グランド・シンセシス( grand synthesis。 注意:ここに挙げた当人の方々がこの概念を唱えた、というわけではなく、アメリカなどの物理学界で一般的に使われている概念です。)」 を推進した、例えば、先述のK.G.ウィルソンは、
さらに、素粒子論において クォークの閉じ込めを数理的に記述するために、格子ゲージ理論をも提唱し、それは素粒子間の強い相互作用の解析的計算における基礎理論となり、量子色力学の進展にも貢献しました。

 ドゥジェンヌ先生のことを初めて知ったのは、私(とうめん博士)が修士課程一年生の時に「結晶中の個別イオンに対するポーラロンや格子振動の役割」を調べるために、「超伝導」現象や「BCS理論」を学んでいる際でした。 ドゥジェンヌ先生には、学生時代からの私を、博士論文作成などで直接ご指導なさっていただきました。
 私は博士号を取得した後も、フランスに滞在したりなどして、ドゥジェンヌ先生からご指導を受け、
物理学における理論的な方法論やその基底となる思想、科学(とくに物理学)における「芸術的」とでも言うべき感性などで、私が実際に出会った人物の中では最大の影響を受けました。

 ドゥジェンヌ先生は、物理学全般における数理的手法(数学を駆使する手法)に通じて熟知なさっていて、
量子場理論、 一般相対性理論 はもちろん、素粒子論弦理論など 。膜構造に関連してトポロジー(結び目理論など)も研究なさってました )、 天体宇宙論 ( フランスで、天体宇宙に関する講義もなさってました )などにも関心を持たれ、それらを数理的にも深く理解し、達観なさっていました。

 例えば、邦語で読める 一般読者向けの やさしく書かれた本( 元々はフランスの高校生向けに書かれた本 )
『科学は冒険!』( (訳書)ドゥジェンヌ他著。講談社ブルーバックス。1999年) を読めば、
上述のような、先生の物理学に対する幅広い学識(の一部)を 知ることができます。
 そのフランス語原著の原題は、“ Les objets fragiles ” (1994, Éditeur: Plon) です。
原題の直訳は「か弱い物(モノ)たち」または「脆き(もろき)物体」であり、先生自身が確立した概念「ソフト・マター」( soft matter、フランス語では matière molle )を暗喩していて、フランスらしい原題です。原著の表紙の写真はドゥジェンヌ先生 ↓。(下はその拡大写真) ↓



⚠️ ちなみに、 ドゥジェンヌ先生がノーベル賞を受賞したから、私はドゥジェンヌ先生に師事した、というわけではありません。
 ドゥジェンヌ先生がノーベル賞を受賞する以前から、すでに 私はドゥジェンヌ先生への師事を希望しており、
ドゥジェンヌ先生が研究していた分野の一部と同じ分野を研究していました。
 ドゥジェンヌ先生も そのことをご存知でしたので、私はドゥジェンヌ先生から結構 親身なご指導を受けることができた、と思っています。

🌕「数学」に対する見識が深かった ドゥジェンヌ先生 :
 フランスは、アメリカとほぼ並び、フィールズ賞の受賞者が格段に多く(現在13人。受賞者の人口比率では世界一)、
数学の研究レベルが世界で一番高い国ですが、ドゥジェンヌ先生も、数学に対して 深い見識を持たれ、
先生独自の「数学」に対する哲学・思想を、私は感じ取ることができました。
 例えば、おそらく、数学の一般位相幾何学(一般トポロジー)における 一部の「奇怪な」数学理論などを、先生は嫌っていました。

🌕「印象派」芸術を愛好していた、「絵画愛好家」・ドゥジェンヌ先生 :
 ドビュッシー、ラヴェル、モネ、ルノアール、など、地元フランスの「印象派」ピアノ音楽・絵画などの芸術を好み、絵を描くことを愛好なさっていた「絵画愛好家」・ドゥジェンヌ先生。
 先生の作による秀逸な絵画は、フランスの公共機関のパンフレット表紙としても採用されました。

🌕「貧乏時代」のドゥジェンヌ先生:
  ドゥジェンヌ先生もまた、アインシュタインなどと同様に、「貧乏」時代に心身が鍛えられた偉大な科学者・人格者の一人です。
 あまり裕福ではない家庭に生を受けた ドゥジェンヌ先生は、「貧乏時代」の若い頃、家庭教師など 多くのアルバイトをなさったそうです。
 このようなことも、私がドゥジェンヌ先生を尊敬する理由の一つです。

 ↓ アインシュタインが「一般相対性理論」を考案した場所であるドイツのベルリン自由大学( 旧ベルリン大学の一部)で、講演している ドゥジェンヌ先生。
(http://aquarius10.cse.kyutech.ac.jp/~otabe/berlin97_pic/pic2/a85.jpegより引用)


 ↓ 最終講演における ドゥジェンヌ先生(2006年)


 ↓ 笑顔のドゥジェンヌ先生。私に対しても、よくニコニコして、優しくご指導いただきました。思い出すと、涙が出てきます。 (つД`)ノ 

🌕ドゥジェンヌ先生と、地上戦、住民虐殺。
 フランスは、第2次世界大戦中、地上戦と住民虐殺を経験しました。
 ドゥジェンヌ先生の著書には、ドゥジェンヌ先生ご自身の言葉として、
「もし、私(ドゥジェンヌ先生)が、数年前に生まれていたら、(第2次世界大戦中のフランスの)レジスタンス(軍事抵抗組織)に所属できるような年齢に達すると、(ナチスからの無差別な住民虐殺を受けて)命を落としたかもしれない 」
旨が書かれています。
 地上戦や住民虐殺を経験した土地(那覇市)に生まれた私(とうめん博士)としては、その言葉は、心に重く響きます。

 以下は、フランス住民レジスタンスが、銃殺される直前の写真(1944年(ドゥジェンヌ先生が12歳頃の時)。
 以下は、フランス住民レジスタンスが、銃殺された直後の写真(1944年。上の写真の4人とは別人)。
 以下は、フランス住民が、住民虐殺(空襲ではない)によって死亡した写真(1943〜44年頃)。


( 上掲の写真における、犠牲者の方々のご冥福をお祈り致します )


( 2018年7月8日:初投稿 )
( 2018年8月30日:改訂 )
( 2020年7月8日:「ドゥジェンヌ先生と、地上戦、住民虐殺」の項目追加 )
( 2021年12月23日:「・・・年齢に達すると、(ナチスからの無差別な住民虐殺を受けて)」に訂正 )
( 2025年5月8日:ノーベル財団による発表、トポロジーの研究、天体宇宙の講義、などに関する文章を追加 )
( 2025年6月25日:『自発的対称性の破れ』に関する文章を追加)


以上







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