はい、どうもー!
オリンピックも終わり、パリに遊びに来ていたMさんも帰り、再び静かな日常が戻ってきました。
ここ10日間ほどは毎日歩きまくって、夏のパリを大いに堪能しました。7月までの寒い日は嘘のように、今、パリは暑いですよ!。ようやく夏がきたという感じです。今日も快晴!今週日曜日は最高気温が36度ですって! その一方、日に日に陽が短くなっていくのを感じます。道路や公園の木々、芝生は青々さを過ぎて、枯れ葉も多くなってきています。秋はすぐそこですね。
今日の話は、2日前に出くわしたちょっとした恐怖体験です。ヴァンセンヌの森へ行かれる方は注意喚起ということで読んでいただきたいのですが、性的描写が含まれるので無理な方はご注意を。
水曜日15日のこと。
フランスは祝日でした。バカンス中ということもあり街はとっても静かでした。お店も大抵閉まっており、街の中は閑散としていました。
日光浴がしたいMさんの希望で、私たちはパリの東に位置するヴァンセンヌの森へ行きました。1週間前もそこに日光浴をしに行ったのですが、空が広く、森に囲まれて寝そべりながら見る景色は最高でした。なので、今回もそこへ行こう!という流れになったのは自然な流れでした。
メトロのporte doree駅の目の前の入口から入ると、目の前には大きな人口湖(lac daumesnil)が目に入ります。湖を正面に左手に歩いて行きます。ここは週末になると、ジョギングをしている人がとても多いのですが、この日も多くのランナーが走っていました。いつもの週末と比べたら、やはり人々は少なかったものの、湖のほとりでは、友人、家族、恋人同士がピクニックや日光浴を楽しんでいました。
私たちは、もっと静かな方がいいと、湖を離れて、森の中へ入って行きました。目指したのは、1週間前にも行った「あの場所」です。ヴァンセンヌの森はとても大きく、道や獣道が複雑にあるのですが、今回はあっという間に「あの場所」へ着きました。
森のおよそ中心(ちょっと左)に、大きなplace ronde(丸い場所)があるのですが、そこから放射状に7本の道がでています。
そのうち、北側にallee Royaleという名前の道が2本平行してあるのですが、その道に挟まれた場所が絶好の日光浴スポットでした。
天気が良くて飛んでいます。この左側が日光浴の絶好スポット。
手入れがされていない雑草が伸び放題、枯れ放題的な感じはするのですが、1mくらいに伸びた雑草が人目を遮ってくれるのです。前回来た時は何人かがそこで日光浴をしていましたが、ぱっと見、草のおかげで人がいるとはわかりませんでした。向こうも人の声がすると、まるでウサギが2本足で立って草むらから顔をのぞかせる感じでこっちを見たので、ようやく、「先客」がいることがわかる程度なのです。そんな感じで、今回も前回と同じ場所にレジャーシートを敷いて寝そべりました。前回と違うことは、先客がいなかったことくらいです。誰もいなかったので、ちょっと心寂しかったのですが、犬の散歩をしている人や走っている人、自転車に乗っている人は普段よりも少ないながらも絶え間なくいました。
私は適当ながらも一応美白派なので、洋服のまま、そして帽子をかぶり首にはカーデガンを巻いて寝そべりました。その横でMさんはビキニ姿でサングラスをして寝転がりながら本を読んでいました。(パリは公園によってはビキニで日光浴をしている人がいるので、公園でビキニは一般的な光景です。)
寝そべってしまうと、草のおかげで、犬の散歩や走っている人も、私たちには気が付かないで通り過ぎていきます。
そんな感じで、広い空からの太陽光線と、森からやってくる心地よい風にうとうとしながら、本を読んでいました。
そんな時、一人の黒人が目に入りました。向こうはこっちを凝視しながら道を歩いています。
ここで、ビキニの日光浴は珍しいのかな?だから凝視?などと、思いながらも、私も黒人を目で追いかけました。
横では、Mさんが読書に没頭しています。私はサングラスを持っていないので、本を読むのが辛くなっていました。すぐそばの道を行き交う人々をボーーっと眺めていました。
バカンス期間とはいえども、こうやってパリに残っている人も多いのだなぁー。なんて思いながら。
そうこうしているうちに、あれ、、、向こうから黒人がやってくる。再び私たちをジロジロと見ながら先ほどとは違う方角から歩いてきました。ひょっとして、さっきと同じ黒人か?!と思い、その人の着ていた黒のTシャツを見ました。胸には大きな「5」の数字。背中にも「5」が。何かスポーツのユニフォームみたいでした。その人は、後ろを振り向きながらも私たちのことをジロジロと見ながら去っていきました。アジア人の水着姿が珍しいのか!?
なんか、気味悪いわ。さっきの人と同一人物か?と思いながら、その黒人のことを読書中のMさんに報告しました。
この日は、私たちの他に日光浴をしている人がいなかったということもあり、つまり人気(ひとけ)が少なかったので、私は一抹の心細さを感じでいました。そのせいでしょうか。側を通る人々をボーーッと
眺めていた観察していたのは。
そんな時、、
「Mさん、大変!、あの男がまたやってきたよ」と小声で伝えました。「5番」の男でした。そいつはゆっくりとした歩きで、私たちのそばの道を歩いていきました。顔そのものをこっちに向けて、見ています丸出し状態でした。最初の黒人もそいつならば、私たちの横を通るのはこれで3度目です。これはねーー、単なる散歩ではないでしょうよ。
「ところで、私たちここにどのくらいいた?」とMさん。
「まだ40分しか経ってないよ。40分で3回出現ということは、20分で1回の割合だからこれは変だね。場所を移動しましょう」
ということで、すぐにレジャーシートをたたみ、Mさんは洋服を着て私たちはその場を離れました。
「このすぐ近くに、ホモ(ゲイ)エリアがあるから、そっちに行こう。そこなら人もいるだろうからここよりも安心だと思うよ」と提案して、ホモエリアに向かいました。
このホモエリアとは、知る人ぞ知るパリのホモの方々のご用達!?の出会いの場なのです。さっきの広場のplace rondeから放射状に伸びているroute de la faluereという道があるのですが、route dauphineと交差する手前半分のエリアがホモエリアなのです。ヴァンセンヌの森の標識⑭というのが目印です。
私たちは、route de la faluereの芝生に腰をおろしました。ここなら、普通の芝生で見通しは良く、目の前をサイクリングする人や散歩をする人が通ります。近くには、男女のカップルがホモエリアを知ってか知らずかピクニックをしていました。
しかし、いつものようにホモの方々は多くはありませんでした。まあ、人通りが多いからこっちのほうが安心ということで、私たちは再び日光浴を始めました。
左が森。右手に歩道があります。
読書に夢中のMさんの横で、私は再びボーーーっとしていました。ここはホモエリアだけあって、相手を探している人が多かったです。男一人で来ている人もいれば、男同士カップルで来ている人もいます。
えっ!あの人がまさかホモ!?というようなジェントルマン的な雰囲気のような人もいて、未知の世界を垣間見ているようでした。そんな時、私たちの側にあった大木に一人の老人男性が腰をかけて休んでいました。そこへ、一人の男が近づいて行ったのが見えました。私の視界から消えたので、目で追うことはしませんでしたが、その時「ヴァットン!」と聞こえました。
読書に夢中だったはずのMさんが「今の見た?!」って起き上がりました。
「今ね、あの休んでいるおじいさんの側に男性が近寄っていったのだけど、おじいさんがあっち行けって手で追い払っていたよ。」
なるほど、だから「ヴァットン!」(vas t'en)って聞こえたんだね。「お前、あっち行け!」っていう意味で、普通はそうそう使う言葉ではないのです。つまり、休んでいたおじいさんはあの男性が相手を探しているって知っていたんですね。
そうこうしているうちに、遠目からでも目に飛び込んできたのは「5番」のTシャツでした。
まさか、、って思いましたよ。
5番がこっちをガン見なら、私もガン見してやると思って、にらんでいたら、向こうが頭を軽く下げて挨拶してきました。私はそのまま無視でガン見し続けました。
そいつは、ゆっくりとした歩調で私たちをジロジロ見ながら、左から右に歩いて行きました。そして、再び森の中へ入っていったのです。
あいつ、私たちのこと探してきたんじゃない?これで4度目だよ。
時計を見たら場所を移動してから25分経っていました。一度目から20分に一回来ているので、もし次に現れるとしたら25分後くらいだね。そんな話をしながら、辺りを見回すと、先ほどの男女のカップルは私たちの近くでまだピクニックをしていました。また木イチゴを摘んでいる人もいたりと、5番の男がいなかったらとっても快適なのにと思いながら、再びボーーッとしていました。
読書に夢中のMさんの横で、私はヤツが次はどこから出てくるのかが気になって、360度を見渡していました。森はちゃんと整備された道の他に、獣道のような道や子どもが好きそうな薄暗い細い道がたくさん入り組んでいます。私たちが移動してきた芝生は手前が道、自分たちの後ろは森というふうになっていて、私は森を背にして座っていました。だから、背後から急に人が現れてもおかしくないのです。
もうそろそろヤツが現れる時間だ。辺りを念入りに見渡すと、先ほどの男女のカップルが抱擁を始めていました。ということは、当分人がいるだろうからまだ安心。と思っていた矢先、ヤツが右から出現したのです。そして、いつものように凝視しながら、左へ歩いて行きました。男女のカップルの前を通り、その向こうにある大木に腰をかけたのです。私たちのところから距離はあるものの、こっちを見ているのがわかります。
本当に気味が悪い。そう思っていると、男女のカップルはイチャイチャを止めて帰ってしまいました。
ナヌーー!!
あー、きっと、アイツがこっちを見ているのを、カップルは自分たちが見られているのだと思ったのだろう。だから帰ってしまったのかしら。と。
その時、ヤツがこっちに歩いてきました。
再び目の前を通るのかと思いきや、私から見て背後の森へ消えてきました。
「Mさん、あいつが後ろの森に消えた、急に私たちの背後から出てきたら怖いね。」そんなことを言いながら、私は360度を見渡しました。その時、「バキバキ!」と私の後ろの森から音がしたのです。
読書家のMさんもさすがに起き上がり、そこから森の中を凝視していました。
「あっ、誰かいるよ!。森の中!。黒人?じゃないな。白人みたいだよ。」
Mさんは、ビキニ姿のままで座りながら薄暗い森の中を凝視しています。
私は、Mさんとは反対の道側を見ていました。
「まだいるの?」と私
「うん。向こうもこっちを見てるみたい。上半身裸で黒のズボンみたい。」
「何しているの?」
「わからない。良く見えない。体操かな?犬の散歩?、でも木の陰からこっちを見ている気がする。」
Mさんと森の影で身をひそめる謎の人物はそのまま5分10分とお互いを観察するかの如く向き合っていました。
「まだいるの?何しているの?その人。そんな所で。」と私は5番の男を探しつつも背後の森が気になっていました。
その時、Mさんが突如低い声で言いました。
「あっ!!白人の男、露出狂だ!右手にチン○ンもって、シコシコしている!!」
Mさんはすぐに洋服をはおりました。私は白人の男を探すべく、背後の森に入りましたがシコシコ男の姿はもうありませんでした。
私とMさん、かなりの衝撃にしばし呆然でした。そんな時、左手からヤツがこっちにゆっくりと歩いてくるのが見えました。
「5番」は遠目でも目立ちました。
その時、さっきの男女のカップルがいたところに、別のの黒人が携帯をいじりながら座っていました。
その光景を見て、私の脳内アラームが作動しました。
「もし、あの二人がグルなら。」「5番が仲間を森に呼んだとしたら。」
Mさん、もう行こう!ヤツは危ない。これで6度目だよ。
私とMさんは、レジャーシートを素早くたたむと5番の男が来る方向へ向かいました。(帰り道がそっちだったの、、)
距離を保ちながらも男とすれ違いました。私は後ろを振り向くと、男もこちらを振り向きそして、「こっちにこい」と腕でジェスチャーをしました。
キター!危険!そして、もう一度、振り返ると男は、こっちを見ていました。そして、再び腕を振ってジェスチャーをしてきました。
私たちは足早にその場を離れ、place ronde まで出てきました。後ろを振り向くと男はもういませんでした。
のんきなMさんは、place rondeで日光浴をしようと提案してきましたが、私はヤツが再びやってくると思い、湖の方へ戻ろうと言いました。
そしてplace ronde を横切ろうとした時、遠目に「5番」が見えました。私が見えたということは、ヤツにも私たちが見えているはずだ。
足早に来た道を戻りました。私たちがplace rondeから放射状に出ている別の道を歩いていると、男はようやくplace rondeに着いたようでそこから、こっちをずっと見ていました。
ようやく湖に着き、人も多くなったのでここで気を取り直して3度目の日光浴をしました。Mさん日光浴が大好きみたいです。
私たちは、今起こったことを整理しました。
あの5番の男は、私たちがplace rondeに着いた時から、私たちを狙っていたにちがいない。
つまり、ヤツは散歩が目当てではなく、覗きや乱暴が目的で森に来ていたのかもしれない。
ホモエリアはホモに興味がある人がいるものだと思っていたが、シコシコ男などの露出狂、覗きも出現する。
森の中で「バキバキ」と音が鳴ったら、それは空耳ではなく本当に人がいるので「気のせいかもと」思ってはいけない。
湖はいつも人が多いので、ここまでなら一人で来ても大丈夫だがその奥の森は一人では危険である。万が一変質者に会って、叫ぶ間もなく殴られたらそのまま乱暴されてしまう可能性があるので、一人で森の小道探検など危険。皆が皆、散歩に来ているとは思わない方がよい。誰に目を付けられるかわからない。
うちのアゼルバイジャン人にヴァンセンヌの森に限らず森は絶対に一人では行ってはいけないと日ごろから言われているので、今まで一人では行ったことはありませんでした。今回はMさんと女性二人でしたがそれでも閑散とした森は危険だということがわかりました。
ホモエリアは、通常週末に多くの方々がいるので、見まわりのポリスもよくいますが、今回はバカンスで閑散期?ということもあり、ポリスは見かけませんでした。
ヴァンセンヌの森に限らず、森は何が潜んでいるかわかりません。一人での訪問は人気が多い所にとどめ、静かな所は複数人で行きましょう。また、変な人に遭遇したら移動しましょう。森のバキバキは気のせいではありません。誰かがいます。
個人的には、こういう道は大好きなんですよね。
と、こんな体験をしました。
残りのバカンス、みなさん気をつけて楽しんでくださいね!!