
●あらすじ●
海上保安庁の潜水士として厳しい訓練を受けた難波麟太郎は、初出勤直後に長年決別していた父親が急逝したと知らされ地元へ。地元の門司で待っていたのは、父親が残した15億という莫大な借金と家業の難波サルヴェージを息子に譲るという遺書だった。しかし麟太郎はサルヴェージ業を憎んでおり・・・
※この本でのサルヴェージとは?→海難事故での船舶の修復・曳船のこと
●感想●
海で働く仕事といえば[漁師][海軍][海上保安庁]を思い浮かべますが、この漫画は[サルヴェージ]という稼業の話です。正直、この漫画を読むまでサルヴェージ屋をしりませんでした

面白いです!!!
原作の小森陽一は『海猿』や現在も連載中の『トッキュー』の海が舞台の漫画に欠かせない原作家です。『海猿』『トッキュー』は海上保安庁という公務員が主人公で人命救助がメインですが、『海師』は人命救助の傍らで行われている船舶事態の救助物語。
でも主人公・麟太郎は海保の潜水士(1巻の時点で)で人命救助もせず、故障した船を(金の為に)助ける?!ことしかしない仕事が嫌いで家を去り、人命救助をする潜水士になったのに、父の遺言でサルヴェージ屋を継がねばならなくなった事に悩み苦しんでいる様子が作画と合っていていい感じです。私は『トッキュー』より好きです。
『トッキュー』は主人公がガムシャラに頑張っている姿が偽善者面に見えて暑苦しく(だって主人公のキャラや内容的にめ組の大吾の海版って感じ&絵が少年誌だからかコマ内の書き込みがゴチャゴチャし過ぎで合わない)2巻で読むのを止めたのですが、『海師』の主人公は1巻ではずーと悩みっ放し・・・その姿が人間味が感じられて好感が持てます。海での海難事故で人命救助は勿論大切なのですが、人を助けた後、海に残された船はどうするのか?これも遠回しながらも人命救助の一環のはず。そのまま船が沈没し魚礁になるからいいじゃないかと思われがちですが、エンジンオイルなど漏れたら海が汚染され私たちが口にする魚が危険です。
小森氏は原作連載2本で潜水士目線で人命救助と海の怖さを訴え(今現在トッキュー)ながら、その裏で行われている直接的でないながらも海の助けとなる仕事を知ってもらおうと青年誌での原作を引き受けたのではないでしょうか?
先月末発売した2巻も楽しみです♪友達の所へ借りに行かなくちゃ
