ぺるちえ覚書

兎追いしかの山… 懐かしい古里の思い出や家族のこと、日々の感想を、和文と仏文で綴ります。

家族って、なに?

2021-01-20 01:23:37 | 日記/覚え書き

新型コロナ大流行のせいで、昨年(2020年)は毎年家族で楽しみにしている夏休みの日本帰省も叶いませんでした。実家の両親にとって唯一の孫である息子も、丸々一年以上も日本の祖父母に会えずさすがに寂しがっていました。😿


息子は小6から中学2年の一昨年まで、毎年6月の半ばにフランスの学校が終わると直ぐに東京の実家に戻り、実家のそばの公立校に仮入学をして一ヶ月ちょっとの間ですが日本での学校生活を享受していました。「日本の学校給食は美味しい!」と喜んだり、期末テストを皆と一緒に受けたり、放課後のクラブ活動(陸上部!)に参加したりと、日本で同い年の友達も沢山できてとても楽しかったようです。フランスのリセでも日本語バイリンガルのクラスに通っているので、高校一年生になった今も日本の漫画やラノベが大好きです。


...実は長年闘病していた父の容態が、昨年の夏以降かなり悪くなっていました。夏は無理だったけど10月の秋休みには帰省しておいた方が良いのでは?とも言われていたのですが、新型コロナの猛威は世界中で収まる様子もなく、移動中の感染リスクや到着後2週間の隔離期間などを考えるとやはり家族での帰省は難しいものでした。常から母には「必要だったらいつでも帰るから言ってね」と伝えていたのですが、母は「帰って来てくれたら助かるけど、長時間の飛行機はコロナ感染のリスクが怖いから無理しなくていい」と言い、父からも「恨まないから帰ってこなくていい」とまで伝えられて。。。 結局、秋も泣く泣く実家に帰ることを断念していました。


そうして2週間過ごした秋休みの終わり、11月のはじめにブルターニュの家からパリに戻る途中で「実家の父、危篤」の連絡が入りました。ノルマンディの義理の母の家を経由して総距離600Km強。軽自トヨタを運転してパリに帰宅したその足で独り飛行機に飛び乗り、羽田空港へ。「長くなるけど...」と言う私に「大丈夫!」と、年明けまでの長期の予定でパリを留守にする事を夫と息子は快く引き受けてくれました。(息子はちょっと不安そうでしたが... 笑) 


その日、私が羽田空港に到着して新型コロナのPCR検査の結果を待っている最中に「いま亡くなりました」の連絡が。ああ、私が日本の地に戻るのをギリギリまで頑張って待っていてくれたのかも、と最期に会えなかった父を思いました。


この一年新型コロナのせいで帰って来れず、最後にもう一度、孫の顔を見せてあげられなかった事だけは悔やまれました。この夏、いつものように実家に帰省していれば、もう少し最期の時間を一緒に過ごすことが出来たのにね...と。実は父は我儘放題生きてきた人だったので、最期のお別れもあまり悲しいと言う気持ちは湧いて来ませんでした。でも孫とは仲良しでした。最期に高校生に成長した孫に少しでも看病して貰えていたら、きっと喜んだろうなあ、と思わずにはいられませんでした。それは、どんなに辛く大変でも、息子にとっても祖父との大切な思い出になっていたに違いありません。普段離れていても、父と娘、祖父と孫、家族は家族なのです。


ひとつ残念だったことは、実家の家族の中に何を勘違いしてか、それが分からない者がいたこと。でも、理解できない者には何を言っても仕様がないから笑って諦めるしかない。どこにも理想の家族などなく、それぞれ自分のことで精一杯。凸凹なのです。


それにしても本当に自分の好きな様に生き切ったなあ、と思う父。「まだもう少し生きていたい」という思いはあったかも知れませんが、あまり後悔は無かったはず。お葬式でも家族は母も誰も泣いておらず、なんだか不思議でした。父が亡くなったのに悲しくない、と言うのも変ですね。お悔やみにいらした父の友人の中には、オイオイと涙して下さった方もいらっしゃいまいしたが。。。


父が亡くなったことで、今さらですが「家族ってなんだろう?」と、ふと思いました。父親と母親がいて、子供がいて、それが家族の最小単位でしょうか? でも、いろいろな形の家族があります。片親でも、夫婦だけでも、おばあちゃんと孫だけでも、兄弟姉妹だけでも、家族でありえます。再婚して家族が広がることもあります。我が家の夫もバツイチですが、クリスマスには夫の長男とそのお母さん(前妻)も一緒に集まって皆で祝います。大きな意味ではみな家族です。笑


もともと夫は7人兄弟の末っ子、フランスの大家族です。いとこやはとこも沢山いますし、姪っ子や甥っ子もわんさかといます。以前、義理の母の「いとこ会」にも出席しましたが、ヨーロッパ全土から150人ほど集まっていました! 日本にも昔はこういう大家族が沢山いたように思います。大家族が普通だったその頃は「家族って、なに?」なんて思うことも無かったかも知れません。


結局は自分が「家族だ」と思えば、それが家族なのかも知れませんね。

私にとって家族は「安心して帰れる場所」、シェルターです。そしてお互いに我儘を言い合えるのも、本気で喧嘩できるのも、信頼できる家族ならでは。笑


Ma petite famille comptes pour moi.

私の小さな家族に心からありがとう。

 

皆さまどうぞご自愛下さい。