thaumatrope

ペテルブルグ幻想

エロスに頭を悩ます夏焼さんそして嗣永さんがその責任をとる話

2007-11-18 | 娘。小説
スパーンと小気味よい音が控え室に響いた。

「いったぁい」
「ちょっと! ツグさんでしょ、これ鞄に入れたの!」

叩かれた後頭部を抱える桃子の後ろから雅がよれよれの雑誌を机に投げつける。
その表紙にはきわどい姿でクネクネしている女の人の写真。
向かいに座っていた愛理がひゃあーと声を上げる。

「もう、それ何日前の話よ。気づくの遅いなぁ」
「遅いなぁじゃないわよ、学校で知らずに出しちゃうところだったじゃない!」

桃子は今日のレッスンを振り返る。
なんかいつにもまして突っかかるなあとは思っていたけど、このことだったか。
痛む頭をなでながら桃子はひとりなるほどと納得する。
雅が憤懣やるかたない様子でそんな桃子をにらみつけた。

「どうしてくれんのよ、誰かに見られてあだ名がゴニョゴニョ本とかになっちゃったら!
 やっと最近『ベリーズ工房』って呼ばれなくなってきたのに」
「ちょっとー、ベリーズとエロ本を一緒にしないでよ」
「エゥ…ゴニョゴニョ本とかはっきり言わないで!」

雅が顔を真っ赤にして地団太を踏む。
なにやら危険を感じたのか、愛理がそそくさと帰り支度を始めている。

「だいたいさ、こんなもんどこで手に入れたのよ」
「落ちてたの。で、ちょっといたずらしちゃえ! って思って」
「だからって普通拾う? 信っじらんない!」
「えー、楽しければいいと思うんですけど」
「ぜんっぜん楽しくないんですけど!」

「あのぅ…」愛理がおずおずと立ち上がる。
眼光鋭い二人の注目を浴びて愛理は泣きそうな顔になる。

「…あたし、もう遅いから先に帰るね」
「あっ! 待って愛理」

突然の桃子の声にドアノブに手をかけた愛理が恐る恐る振り返ると
手早く荷物をかき集めた桃子が慌てて寄って来た。

「ももも一緒に帰る。暗くなると危ないし。いいでしょ?」

体よく逃げようとする桃子に雅はますますご立腹だ。

「ちょっとツグさん待ちなさいよ。まだ話終わってないでしょ!」
「はいはい、ごめんごめーん。もうしませぇん。じゃあねー」

高音の余韻を響かせながら、桃子の声が遠ざかっていく。
雅は眉間にしわを刻んだまま、ソファにどかっと座り込んだ。
その目の前にはあのいかがわしい本。思わず目をそらす。
が、ふと気がつく。
そう言えば控え室にゴニョゴニョ本と二人きり。どうすんのこれ。

いっそこのまま置いて帰る。
いや、だめだ。明日はここでベリーズの新曲の練習がある。

 こらー、昨日この本控え室に持って来たの誰だー。
 はぁい、夏焼さんでぇす。
 やだーみやってそんなの持ち歩いてるんだークスクス。

うわあ、無理無理無理無理。

やっぱり持って帰って近所のゴミ捨て場に捨てる。
いや、まずい。誰かに見られないとも限らない。

 聞きました奥さん。夏焼さんとこのお嬢さん、こそこそとあんな本捨ててたらしいですわよ。
 まあ、はしたないですわねえ、アイドルなんてやってるのにクスクス。

うわあ、ないないないない。

じゃあ近所じゃなくて都内のどこかに捨てて帰る。
いや、やばい。最近はどこで写真撮られるかわからない。

 【スクープ!】B工房のM・N、都内某所でH本を捨てる【激写!】
 これって目線してあるけど絶対夏焼さんだよねー。
 ねー、ネットでもものすごい話題になってたしークスクス。

うわあ、人生終わる人生終わる。

突如訪れた大ピンチに雅はパニックを起こす。
どうするどうする夏焼雅。このままではもう生きてゆけない。
普段あまり使わない脳細胞をフル回転させて、ふいに思いつく。
前に映画かなんかで見た。そう。土は土に、灰は灰に、塵は塵に。
雅は鞄から携帯を取り出して大急ぎで番号を呼び出す。

「はぁいもしもーし」

相変わらずのハイトーンボイスが全面稼働中の脳を揺らす。

「ツグさん、この本どこで拾ったの!?」
「なんだみーやん、またその話? しつこいなあ」
「どこって聞いてんの!」
「えー、駅降りたそばの公園だけど……でももうそれ一冊しかなかったよ」
「違うわよバカッ!! コレ捨てに行くの、返しに行くの、元あったとこに!」
「ええぇ、なによそれ」
「いいから責任とって案内しなさい!」



駅前のベンチに桃子はいた。桃色のマフラーに口元をうずめ、少しふてくされている。
正直帰ってしまってる光景を想像していた。明日の朝、挨拶代わりにビンタするシミュレーションまでしていた。

「ほら、行くよ」

雅が桃子の小指を掴んで立ち上がらせる。
雅に促されるまま、桃子はため息混じりにとぼとぼと歩き出す。

「そんなのそこらへんに適当に捨てときゃいいじゃない」
「バカね、夜逃げしたいの?」
「はぁ?」

すっとんきょうな声を上げて、桃子が雅を見上げる。
が、雅の真剣な表情を見て、何も言わないでおいた。
どうせまたいろいろと考えすぎたんだろう。

日が落ちた公園には幸いにも誰一人いなかった。
すっかり冷たくなった秋風だけが二人の前を通り過ぎる。

「ツグさんはその辺見張ってて」
「え? 見張る? 何を?」
「いいから!」

雅はそう言うと公園の中ほどにある砂場へ座り込んで、例の雑誌を黙々と埋め始めた。
しばらくは雅に言われたとおり辺りをうかがっていた桃子だったがすぐに飽きて
孤軍奮闘する雅の背中を眺めていた。数分後、雅は砂場を足で踏みならすと
達成感に満ち満ちた顔で戻ってきた。砂まみれだった。

公園の水は冷たかったが、雅は手が真っ赤になるまで洗い続けた。
手を振って水を払い落としていると、桃色のハンカチが差し出された。
顔を上げると呆れた顔の桃子と目が合った。受け取って「ありがと」と呟く。

「みーやんさぁ」
「なによ」
「いいかげん大人になんない?」
「ツグさんにだけは言われたくない」

「うるさい」と桃子がこつんと雅の胸元を打つ。
あばらの感触が手の甲に痛かった。


おわり


原案:あみどさん
   701 名前:あみど[] 投稿日:2007/11/14(水) 00:23:00
     ボーノですか
     むっつりスケベな雅ちゃんの鞄にエロ本を忍ばせる話とか

大の子供がクマっぽい

2007-11-10 | 雑記
熊井ちゃん写真集のDVDは届くわ、ベリ新曲のPVは届くわ、実にいい週末。

なんで和風
菅谷さんが中1なことを忘れそうになる
2:05あたりの熊井ちゃんがサンピエトロのピエタ
まあさ再始動
間奏でのみやびちゃんのサブリミナル
桃子が楽しそうで何より
千奈美とキャプテンにもっと光を

キッズ一見さん時代を振り返っ子純情

2007-11-01 | 雑記
都会っ子が3万枚達成したそうでおめでとうございます。いいもんですね、こういうポジティブなニュースは。

萩原舞

「つんくとかきてたのしかった」に尽きます。キッズオーディションが開催されていることすらぼんやりしか知らなかった私が知っていたんですからそのインパクトはよっぽどです。熊井ちゃん前から自分の中でキッズといえばこの子の小さな姿が、顔はよくわからないながらに思い浮かんでました。あと、たぶんみんながみんな感じてたことなんじゃないかとは思うんですがサングラスキャラは微妙だなあと思ってました。ベリが告噴のスタジオライブのために出演して以来、時間が合えばおはスタをちょくちょく見ていたのできら☆ぴかのイメージは強いです。夏休み中、朝っぱらから1時間たらずの間に「はなをぷーん」を親の仇みたいに2回も聴かされていたのもいい思い出です。人前でうっかり口ずさみそうで危なかったです。彼女のあのあからさまな棒読みとやたらひっくり返るハスキーな声は意外と癖になりますね。youtubeかなにかで見たんですが、スポフェスで100m走の結果に納得のいかない熊井ちゃんがカメラに向かってもさもさ言ってるのをマイマイが冷めた目で見てるというシーンがあって、それも印象に残ってます。あとは持ち歌のディスコクイーンが大好きです。通学中に耳が取れそうなくらい聴いています。たぶん中崎ちゃんが絡んでるからってのもあるんでしょうけど。

有原栞菜

そういえば、この子キッズ出身じゃありませんでしたね。ベリキューって言わないと栞菜が入んないだろ!って怒られたらどうしよう。残念ながらエッグ時代の写真は持ってません。体臭フェチだったり突然カミングアウトしたり、そのせいかこのところディープなヲタが急増している気がする彼女ですがたぶんいちばん最初に見た写真はこれ。「中1コンビ」っていうのがやたら頭に残っていて、おかげで彼女について覚えるのは早かったです。「℃-uteに後から入った子がいる」というふうに聞いていて、てっきり村上さんの穴を埋めるために追加されたものだと思っていました。なのでPVで「まっさらブルージーンズ!」って叫んでて本気でびっくりした覚えがあります。何かと噂の、プイッてする有原さんがぜひ見たくて握手会ずっと横ではり付いて見てたんですけど、意外にニコニコでこなしていました。むしろ3歳児に文字通りじたばた身悶えててほんとにかわいかったです。

梅田えりか

私は別に高身長メンヲタのつもりはありません。確かにイリエワニが好きですし、飯田さん熊井ちゃんとグループ内最高身長推しが続いてはいますが、あくまで偶然です。ニシアフリカコビトワニだって好きですし、ジュンジュンよりかはリンリン派です。なので℃-uteのなかでは彼女が一推しなのもまったくの偶然です。彼女を初めて見たのはZYXとしてでした。小柄な面子の中で長い手足をぶん回しているのに目が留まりました。あの頃は群を抜いてでかいと言えば飯田さんでしたからZYXをTVで見て、ぱっと見で、あれ? 飯田さん参加してたっけ? と思ったのが最初です。体型とか明らかに違うんですけどね。それ以来「キッズに背の高い子がいる」というのはぼんやりですが頭の中に残ってて、いつだったか飯田さんが「キッズの子に身長を抜かれた」と発言したのを見て、てっきり梅さんのことだと思ってました。まさか熊井ちゃんだったとは。その次と言えば割と最近です。エコキュートにいきなり貼られたこの画像。ああ、こんな子いたねえ、ほうほう、なるほど、とか思いながらふらふらっと保存したのが久しぶりの再会だった気がします。成長っていいですね。あとあげパンのエピソードがすごい好きです。飯田―熊井―梅田ラインを分析した結果、私は身長云々というか見た目はきれいなのに中身がへっぽこというのに基本的に弱いんだと思います。熊井ちゃんはここ最近写真集を出したりゲキハロの宣伝写真でドカッと最前に座らせてもらったりと報われている感じがしますが、今も続く梅さんの不遇ポジションはあの頃の飯田さんを彷彿とさせてなんだか懐かしい気分にしてくれます。「写真集出します」って言い出したらどうするだろう。熊井ちゃんの時点でリミッターが外れたから買ってしまうかもしれません。


これで全員。キッズもといベリキュー総勢16人。10年前ASAYANで5万枚を手売りした負け組5人に感動し、「昨日に戻りたい」と真っ赤な目で呟く飯田さんを気にかけて以来、ヲタであることに悪い意味ですっかり慣れてきていたこの節目の年に、キッズの子たちのTV出演を事細かにチェックし、たった1行のコメントや写真1枚に一喜一憂する。新鮮というよりは懐かしい気がしてなりません。まるでヲタ初期の頃、娘。に関してしていたことの追体験のようです。むしろ℃-ute近所でイベント、熊井ちゃん写真集の発売と、個人的に非常にナイスグッドな出来事が重なったおかげで、今までずっと開けなかった扉を開けちゃった感もありますが。
娘。小説においてもキッズものが着々と増えだして、それで盛り上がってるのを横目で見たり「キッズかあ、ふーん」と歯牙にもかけない扱いをしたりしていましたが、先入観や偏見を捨てて読み出したら世界の広がること広がること。キッズ企画開催のタイミングもちょうどよかったんだと思います。今まで無視したり「ないわー」とか言ってた自分がバカみたいです。藤子不二雄の流血鬼の主人公の気持ちです。気がつかなかった、キッズがこんなに明るく優しい光に満ちていたなんて!
あいぼんやらののたんやら飯田さんによるトラジコミックを突きつけられては、ライトヲタなりに蓄積されてきた思い出とか期待感とかがみるみるうちに削られていくという怒涛の娘。10周年をなんとか切り抜けられそうなのもキッズの皆さんに興味を持てたおかげだと思っております。これを書いてる最中にも「さて、息抜きに昔のPVでも観て懐古するかなー」とネットに繋いだら後藤さん卒業のお知らせを目にしました。ほんと怖くなってきました。もうHPは0です。キッズたちにまで何かが起こらないことを願ってます。ていうかもうハロプロにこれ以上何も起こらないでください。お願いしますお願いします。