スローライフの取り組みを紹介するメイン広場の中央に
筑紫哲也さん直筆の原稿パネルが展示されていました。
読んでとても感銘を受けました。
この2日間だけの展示ではあまりにもったいないので、
ここで紹介させてください。
「ふるさとを讃えて」
筑紫哲也
世の中は便利になり、昔より豊かになった。
それはとても良いことなのだが、その分だけ
私たちは幸せになったのだろうか。
便利や豊かさを手に入れる代わりに、
失なったものもいろいろあるのではないか。
私たちはそのことにもっと目を向けるべきだし、
未だ残されている良きものを見直し、大切に
すべきではないのか。
--さう思っている人たちが、こんなにもたくさんいる!
「味のじょんのびコンテスト」に寄せられた
作文、絵、写真を拝見しての私の感想である。
愛着を籠めて取り上げている対象は人によっ
てさまざまである。
蕗味噌。笹団子。枝豆。アカヒゲ。おから炒り。
いも汁。イサザ。雑煮。ぽっぽ焼き。
山わさび。バタバタ茶。
そして多くの人が讃える、おむすび、
ご飯、お米の味。
もちろん、その背後には新潟の自然と、そこに
生きる人たち同士の付き合い、家族のぬくもりなどがある。
なかでも私が心打たれた作文は、七十四才の
「父の農業」を描いた吉原輝美さんの作品。
手間のかかる、昔ながらの農法を続けるのはなぜなのか
と訊かれた父は「ひまだからねぇ」と答える。
何と見事な答だろう。
私たちはそういう、意味深い「ひま」を
失っているのではないか。
すべての問題の根本にあるのは、「ひま」という
時間の使い方ではないだろうか。
私も自分がやっていることはなぜかと訊かれたら
同じことを言えるようになりたい。
「ひまだからねぇ」と。
6月10日、11日に新潟のコンベンションセンター
“朱鷺メッセ”で「スローフード・スローライフ展」が開催されました。
「早く、はやく」となにかと急いできて、
ほころびがあちこちに見えてきた今、
過程を楽しみ、地域を大切にして、感性を磨き、
「ゆっくり、ゆったり、ゆたかに」というスローライフの考えは
全国に広がりを見せています。
企画は、筑紫哲也さんが理事をしている
“NPO法人スローライフジャパン”で、
ご縁があって、前日からスタッフとして、お手伝いをしてきました。
食品の成分を合理的に補給するための「サプリメント」と
古くからの食材や伝統を見直そうという「スローフード・スローライフ」
この2つは、とても関係があります。
今回の「スローフード・スローライフ展」であらためて考えさせられることが
たくさんありました。