ツバキ(椿)Camellia spp. ツバキ科 /常緑低木または高木
ツバキ属のうち、ヤブツバキ(藪椿)やその類似種、それらの系統の園芸品種を「ツバキ」という。花は本来一重咲きで花弁の下部は互いに合着し、雄しべは筒状でその基部は花弁と接合する。このため園芸品種の一部を除き、開花時と同じ形で落花する。
アジアに33種自生するうち、日本で広く見られるのは標準和名をツバキというヤブツバキで、本州、四国、九州の主に海岸地方に自生する。しかし、古代から観賞用に植え、また種子からユバキ油をしぼって整髪用や灯用、薬用にするなど、生活に利用するためにも各地に植栽されてきた。
樹高は15mに達することもあり、照りのある厚い葉が互生する。花期は12~4月。ふつう紅色の五弁花が枝先に1個つき、杯形に開く。鼻の長さは3~5㎝、花色は変異が大きく濃紅、淡桃、白もある。
類似種の一つで豪雪地帯の山中に自生するユキツバキ(雪椿)は高さ1~2mと低く、紅色まれに白色の花弁はヤブツバキよりも薄く細く、ほぼ水平に開く。花期は雪解け後の4~5月。 ほかに、大きな実をつけるヤクシマツバキ(屋久島椿)など。
園芸品種はヤブツバキ系、ユキツバキ系、ツバキとチャ(茶)の雑種といわれるワビスケ(侘助)系、中国産のトウツバキ(唐椿)などを改良して作り出された洋種ツバキ系など多種多様。花色は白~濃紅色、白と紅の縦絞りや斑入りなど、花型は一重、半八重、八重、千重、牡丹咲き、獅子咲き、二段咲き、唐子咲き、抱咲きなどと変化に富み、名花も多数。