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しずくな日記

書きたいなあと思ったときにぽつぽつと、しずくのように書いてます。

無言のエール

2012-07-04 22:13:58 | 日記
暑くなってきた。一挙に夏。
冷房なんてない公立学校では、自然の風が頼り。

明日は合唱コンクール。前期の大きな行事の最後を飾る。
全体のリハーサルでも学年の交流会でも、
うちのクラスは女子はものすごくきれいな音だけど、
男声パートが弱くてバランスが悪かった。
しかも男子、音程がまだしっかりと取れていなかった。
たしかに、自由曲の男声パートはものすごく難しいんだけど。。。


と思っていたら、2日前くらいから一気に伸びてきた。
男子の声が出るようになった。
音は不安定なところがあるけど、とにかく出る。
強弱にも気をつけて表現できるようになって、曲に表情がついた。
感情がこもってきた。なかなかいい。
これでだいぶん印象が変わった。

しかし、うちのクラス、何につけても自主性がないことがずっと気になっていた。

練習を始めるときはパートリーダーが声をかけて始めるんだけど、
うちのクラスの男声パートはそれができなかったから、
仕方なく、私が「男子、集まるよー」と声がけしていた。
そんなときパートリーダー2人は、じゃれて遊んでいることもあった。

普段、声を荒げることの少ない私だけど、
本番が迫ってもそういうアホな態度でいることにもうカチンときた。
暑いのに相変わらずじゃれている2人に近づいて、
「・・・・あんたたち、いい加減にしなよ。そんなんでパートリーダー名乗るな。
優勝したいとか、口が裂けても言うな。」
と怒りを抑えた声で言った。
やっとこさ、担任の殺気立った雰囲気に気がついたようで、ビクッとしていた。
昨年のクラスの男子が言っていたけど、
私は怒ると「マジで怖い」らしい。(笑)

「優勝したいとか思ってんだったら、それなりにやんなきゃ。口だけか、あんたら!」
フラフラしていた男子全員にも怒鳴った。
「もうさ暑いし、やりたくなかったらやんなくてもいいし。帰ろうよ、無駄だわ。無駄。」

パートリーダーがようやく喋った。
「・・・・ここまでやったから勝ちたいです。練習します・・・・。」


・・・練習したくないなら帰れよ、気弱か!ってまた腹が立つ。
親に可愛い可愛いで育てられてきた子たち。
叱られることにはぜーんぜん慣れていないから、
強い口調で言われるとすぐどぎまぎする。

私も、叱るのは4年目くらいまでできなかった。
おそるおそる注意してた気がする。子どもに嫌われるのが怖かったのだ。
でも、言うべきところ、譲れないところはしっかりと言うのが教師、というか大人の役割じゃん?
と今では思えるようになった。それで嫌われたっていい、
という開き直りができるようになった。
自分のすべきことがちょっとわかってきたのだ。



とはいえ、本当に合唱はうまくなった。
ほんの2週間くらいしかきちんと練習する時間がなかったけど、
自由曲「聞こえる」は特に素晴らしい。
担任の欲目かもしれないけど、優勝だって夢じゃないよ。


しかし。
合唱練習が終わって、退場をどうするかを考える段になって、
生徒が、私に話を振ってきた。
いつもそうだ。
意見があるとみんなに言わずに、私に言うのだ。
で、先生からみんなに言って、先生決めて、なのである。キレた。


は? 私は拡声器か?!
それに私が言ったら、何でも言う事聴くの?!

自分たちで意見を出し合って、調整しながら話し合えないほどあんた達バカなの?
15歳でそれ? 笑えるわ!そんなんで優勝しようとか思うなよ!
自分たちでやりなよ! 自分たちで決めなよ!

投げた。
もう知らんしー!
その後は無言で、配布物を配っていた。
ほんとに、ここまで言って自分たちでできないのなら、
もうそれまでだ、という思いがあった。
賭けである。これで火がつかなかったら、ダメだよ。

これは私の無言のエールなんだよ。


しーんとした教室の中、
教室の後ろをステージに見立てて、
入場から合唱、退場までの一連の流れをやってみようという声が生徒から上がった。
指揮者がしきり、生徒が廊下で整列した。
そして、廊下で必死に話し合っている声がした。
合唱委員、パートリーダー、学級委員、生徒会役員、
リーダー格の子達が必死でみんなの意見をまとめようとしていた。

そう、それだよそれ!!! 心の中で笑った。 それそれ!!

合唱のクオリティーだけでなく、入退場の仕方も審査される。
方針を話し合って、しずしずと教室後ろのステージに並び始めた。
課題曲を、自由曲を歌う。今まで歌った中で一番良かった。
気持ちが入っていて、訴えてくるものがあった。

退場の合図は、どうやら、指揮者・伴奏者が会場に向いて一礼して頭をあげた瞬間、
に決まったようだった。それに従って、全員がタイミングを合わせようとしていた。

もうこれで充分。賞を取れなくても。


通してみて、全員が席についた。
「どうだった?」的な表情でこちらをみている。
怒っているふりを続けるのはしんどい。

自分たちできちんとできたことが、私は嬉しかった。

第一声、こう言った。

「明日、優勝した時にステージに賞状とトロフィーを取りに行く人を決めといて。」

クラス全員、破顔一笑。
一番苦労した合唱委員がとりに行くことになった。
そしてもう一つ、私から言ったことは、

「今日、寝る前に、きれいなハーモニーで合唱してる自分、
そしてもう一度歌う姿をイメージしておいて!」ということ。
イメージトレーニング!というと、笑っていた。

・・・・優勝したら、2回歌うんだもんね!!(←やっぱし優勝はしたい。。。。)



最後、私に叱られた男声のパートリーダーがかけ声をして終わる。

男声パートリーダー「明日は、優勝しようぜ!精一杯歌おうぜ!!!」
みんな「おーーーー!!!!!」

気合いは入った。明日は野となれ山となれ?

しかし中学生日記か。。。と思いながら、教室を後にした。

心がそのままコロコロ転がっているようなところ、学校って。
だから疲れるし、でも面白い。
























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