
玉川上水は、江戸時代に急激に増加した江戸の人々の飲料水供給のために
築かれた人工の川です。
羽村で多摩川から取水、江戸へ向けて武蔵野台地の尾根沿いに流し
四谷大木戸の水番所まで届けて、その後は地下水道で江戸市中に
飲料水として供給したのだそうです。
全長約43kmに及ぶ大工事でした。
工事を始めたのは、1653年4月4日、ちょうど362年前です。
羽村から四谷大木戸まで開通したのは、7ヶ月後の11月15日。
翌年の6月から江戸市中への通水が開始されました。
羽村から四谷大木戸までの上水工事の期間と
その後の江戸市中への給水工事期間が、ほぼ同じですね。
途中で難航した時期を経ても、半年少々でこれだけの大工事を
成し遂げるには、どれほどの困難を乗り越えたのでしょう。
物流のシステムや工法など、全てが想像を超える世界のように感じます。
全長約43kmのうちの一部区間は、今も私たち都民のために
東京都水道局の水道施設として現役で活用されています。
羽村から高井戸までの工事で幕府からの資金が尽き、工事を請け負っていた玉川兄弟は
自宅を売却するなどして残りの資金にしたという話も残っています。
歴史の中の人々の叡智と努力が、私たちの今の生活を支えてくれていることも
しみじみ感じます。
美しい風景から歴史が透けて見えてくるような...そんな思いが胸をよぎります。
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玉川上水沿いには、竣工当時から多くの桜の木々が植えられたそうです。
桜を植えた一番大きな理由は...
「たくさんの花見客を呼び込んで、堤を踏み固めてもらう。」
ということだったのだそうですよ。
短期間で厳しい予算内での工事の、最後の仕上げを花見客にしてもらおうとは
江戸流の粋な計らいでしょうか...
お陰さまで、私たちは美しい桜を眺めることができますね。
最後に、歌川広重が描いた玉川上水の風景をご紹介します。
「名所江戸百景」の中の1枚です。

玉川上水沿いを数回に分けて散策した私たちですが、
四季折々に訪れてみたい魅力あふれる散策路です。
ときには、江戸時代に思いを馳せて...










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