ストッキーの喜びも悲しみも幾歳月

泣いて笑って記録して!

架空カフェ9

2013-02-17 23:24:21 | ケラケラ社長の架空カフェ

やはり禁煙に

ある日

コーヒーを飲みながら経済新聞を読む白髪の男性が

灰皿をくださいと言ってきた

「申し訳ございません、ここは禁煙です」

「やはりそうですか」

にっこりほほ笑む

「すみませんね、こちらは狭いところだし、席を分けることもできませんので

迷ったのですが禁煙にしました」

「そうですね」

っと温和にうなずく男性

ケラケラは

切り出した

「昔は、たばこの煙を追うのが大好きだったんですけどねぇ~

おじいさんが鼻から煙を出すのを不思議に見てました」

「そうですね、私もいつの間にか煙草を口にしてました。

今ではないと困ります。この頑固爺の自慢は

世間様に逆らって禁煙をしたことが一度もないことですよ、ハハハ」

「ほんとに申し訳ないですね」

「いやいやいいんですよ、ではもうしばらくここにいさせてくださいな」

「どうぞどうぞゆっくりしていってください」

そう言って振り向いたとき

懐かしいたばこの残り香が微かにした

愛煙者の方々には受難の時代となってしまった

こちらのお客様はもう来なくなってしまうのかと

案ずる昼下がり

そのお客様は

頬杖ついて窓の外、遠くをながめていた

 


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