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Paraiso Bookshelf

友だちに、こんな本がよかったよとお知らせできるようにブログを始めましたが、途中で普通の日常報告&旅メモと化しています。

八甲田山死の彷徨

2009年12月12日 | 本棚(ぶんがく)
『八甲田山死の彷徨』
新田次郎
新潮社
★★★

近年(笑)、あまりこのようなしっかりした「小説」を読むことが少ない。
手をつける前は、一瞬躊躇するのだが、読み出すと、ほんと止まらない。
ストーリーテリングといおうか、綿密でアナログな(現代から見れば、おそらく)取材を組み立てる道筋に
パワーに圧倒され、読み進めてしまう。
なんだか意味不明な感想になってしまったが。
なぜ演習で死んでいかなければならなかったか
現代の論理では計り知れないのが歴史なのだろう。

wikipediaによると…
『八甲田山死の彷徨』(はっこうださんしのほうこう)は、世界山岳史上最大とも言われる犠牲者が発生した、青森県八甲田山における山岳遭難事故を題材として新田次郎が執筆した山岳小説である。




『悼む人』
天童荒太
文藝春秋
★★★

とても力のあるストーリーを書く人だが、実をいうと、脇役や状況の類型的な描写があまりしっくり来ず
今まであまり熱心なフォロアーではなかった。
そういうわけで、この本は、元同僚が貸してくれて、読んだら面白いのはわかっていたけど
しばらく置いてあったりもした。
改めて今日、一気に読んで、
メインキャラクターの書き込みの深さに、やはり涙して読んだ。
過去の「永遠の仔」について、救いのない話という知人もいたし、
これを辛い話だと思う人もいるのかもしれないが、私は希望を書き続けている人だと思う。


王国完了

2009年12月06日 | 本棚(ぶんがく)
『王国2、3』
よしもとばなな
新潮社
★★

図書館になかったけど、ブックオフで105円だった…
ちゃんとした本も105円で売ってるのね~
失恋の話なんだけど、恋愛でない「愛」について、しみじみ書かれていたのがよかった。

『チエちゃんと私』
よしもとばなな
ロッキング・オン
★★

よしもとばなな週間。図書館でかりて。
これは珍しく「中年」女性の話なのですな~、それが何となく楽しかった。




『イルカ』
よしもとばなな
文藝春秋
★★

自伝じゃないけど、小説家の女性が子供を産む話。
こうやってできたらいいねえ。



図書館の本

2009年11月29日 | 本棚(ぶんがく)
『アラスカ物語』
新田次郎
新潮社
★★★

藤原先生のお父さんの本を読んでみよう!とかりた。
いやー、一気だった。
アラスカで「日本から来たエスキモー」として
エスキモー集団のリーダー的存在となったフランク安田の一代記。
星野道夫さんの「イニュイット」なども思い出しつつ読んだ。
新田次郎体験は新鮮かも。またかりて来よう!


『肩ごしの恋人』
唯川恵
マガジンハウス
★★

現代の恋愛小説って、映画もだが、なんだかやっぱし見ると切なくて(←それが恋愛モノの狙いだろーに)
ほんのり落ち込むので(爆)あまり好きでなかったんだけど
友人が読んでいるというので、読んでみた。
しかし、唯川さんてやっぱり上手いんですね。(←どこまで偉そうなの)
面白かった!ヒロインと女友達二人の対比も、サッパリかき分けられていて
「あ~、あるあるー」と、楽しめる。

恋愛映画といえば…
最近、レンタルで「ホリデイ」を見て、これも意外によかった。
ジュード・ロウのファンなもので!そうでなくても、健気なgirlsの姿にはホロリとくるね。
こちらも、ヒロイン二人の対比モノでした。


『ハゴロモ』
よしもとばなな
新潮文庫
★★★

これまた恋愛ものには違いないけど「失恋の痛み」を正面から書いてる小説って
案外ないものなんだよな…と思う。




『体は全部知っている』
よしもとばなな
文春文庫
★★

この短編集に流れる空気、案外、山田詠美と似てる??
という発見。




デッドエンドを畏れつつ

2009年11月15日 | 本棚(ぶんがく)
『デッドエンドの思い出』
よしもとばなな
文藝春秋
★★★★

あとがきを読んだら「人生のいちばんつらかった時期の思い出がよみがえる」と書いていて
どんな恐ろしい小説だろう、とちょっと恐れながら読んだ。
でも、そんな恐ろしい話ではなくて
確かに、傷ついた思い出が書かれているけど
どちらかというと、そこから明るい気持ちを取り戻す、再生の過程が丁寧に読める本で
とても勇気づけられたのだった。
図書館で借りたのだが、また読みたいと思って
文庫本を買ってきてしまった。




『王国』
よしもとばなな
新潮社
★★★

これは、3巻まであるのだ。
図書館で借りたので、2と3がうまく見つかるかどうかわからないけど
ぜひ、続きを読みたい。
副題のアンドロメダ・ハイツという歌、いいですね。




『不倫は家庭の常備薬』
田辺聖子
講談社文庫
★★★

タイトルが、なんとも、連続ドラマか!?という勢いだが
まあ、それはそれとして、恋愛への思い込みとか肩の力をすいーっと抜いて
まあまあ、ええやないか、と思えるような小説。ま、ええか。




『春情蛸の足』
田辺聖子
講談社文庫
★★★

これまた不倫話も多いんですが、以下同文。。。
年をとっても楽しいことがありそうだ。
しかし、田辺さんの書く「若く見える女性」はタダゴトではない。
一回り以上下に見える女が、よく出てくるのだ。
うらやましいというかあつかましいというか、なんというか。


三部作、やっと

2009年11月08日 | 本棚(ぶんがく)
『苺をつぶしながら』
田辺聖子
講談社
★★★★

「言い寄る」三部作として、読みたいなあ、でも単行本しかなくて…と躊躇していたけど、とうとう買ってしまった。
でも、わくわくして読んだ。
この気分だけで、もう最高ですね。
35歳、バツイチになった乃里公が、ひとりの暮らしを楽しんでるところ
しっかり元気づけられてしまった。

田辺聖子さん、本屋さんで「祝!文化勲章」という棚で
講談社文庫の新装版を手ぬぐいとセットで売っていた。
とっても可愛かったけど、やっぱしパスして、普通のこの本を買ったのでした。
文化勲章は昨年なのね。




『神の狩人』
柴田よしき
文藝春秋
★★★

2031年の近未来を舞台にしつつ
去年書かれた本なので、去年の出来事が反映されていて、今を感じる物語。
副題が2031探偵物語、という。

しかし、ここで終わられると、どうしたらいいんだか~
あとがきには、続編を同じ形で書くかどうかわからない、と書いているのだが
いや~、そんなことを言わず、ぜひ、普通に、続編を書いてほしい。
主人公は、1999年(ぐらい)の生まれで、いわば現代っ子なんだけど
柴田さんらしいヒューマンさが、とても良かった。


わたしを離さないで

2009年08月09日 | 本棚(ぶんがく)
『わたしを離さないで』
カズオ・イシグロ/土屋政雄訳
早川書房
★★★★

ああ、すごい作家だ。
この本は、既に文庫にもなっていて、単行本で買って何年か積ん読になってたにも関わらず
読み終えたときは「やっぱり読む価値がある本だった」と思った。
もっと早く読めよ。
パワーズのガラティアなんかを思い出す、理知的で非現実的な世界。
中程まで来ると、もう止まらない。
カズオ・イシグロはまた新刊が出てるんだけど…
また積ん読になっちゃイカンから文庫化まで待とう。(それでもファンなのかー?)




『おぱらばん』
堀江敏幸
新潮文庫
★★

柴田先生と高橋源一郎氏の共著で、双方が挙げていた日本文学作家。
私はまだハマるとこまではいかなかったが、フランスが好きな人にはいいんじゃないか。




『月の砂漠をさばさばと』
北村薫
新潮文庫
★★
直木賞とったんですね。なんの作品で取ったんだろ。
(調べてみると『鷺と雪』。)
「月の砂漠を…」は、『ひとがた流し』のサイドストーリーとして読んだ。
何せ、あれはいい作品だったし、友達にふと勧めたら、すごく喜んでもらえたのだ。
だから、こちらはどうしてもインパクトは弱いんだけど、
おーなり由子さんの絵が、とてもいい。




『グレート・ギャツビー』
スコット・フィッツジェラルド/村上春樹訳
早川書房
★★★★

名著だし、『ホテル・ニューハンプシャー』のリリーも最高の小説と言った本だから
いつか読もうと思ってはいたけど、やっぱりいい本だった。
言ってみれば通俗的な世界なのに、
全ての情景とキャラクターが静かに終末へと向かって移動しているような。
そこが音楽のような、と表現されるのだろうか。
村上春樹の小説に似たところがある。


『日本文学盛衰史』

2009年05月31日 | 本棚(ぶんがく)
『日本文学盛衰史』
高橋源一郎
講談社文庫
★★★

下の、「柴田さんと高橋さんの・・」を読んで、高橋源一郎、久しぶりに読みたいなあと思ってアマゾンに行ってみると、あまり買える本がないのでした。
「官能小説家」とか、もう一度読みたかったが・・・。文庫は絶版だろうか、在庫なし。
感想になってなくてすみません。
明治の文学の歴史や交遊がわかり、もちろん高橋源一郎なので、それだけの小説ではなく、しかし、私には夏目先生の偉大さが心に残った。



『柴田さんと高橋さんの「小説の読み方、書き方、訳し方」 』
柴田元幸 高橋源一郎
河出書房新社
★★★

私は柴田先生の、翻訳小説以外の本も大好きで。
つい買ってしまったら、「柴田さんが選ぶ日本の小説30」などもあって、
トクをした気分である。
入手困難の本もあるというのが残念だが…
どうして、文庫はすぐ絶版になっちゃうんでしょうねえ。
「本棚」の分類ではエッセイなんだけど、ここに置いておきます。



まとめて読書メモ

2009年05月25日 | 本棚(ぶんがく)
GW前後、フレッツ光を導入したら、AirMacのつなぎ方がわからなくなって、しばらく放置していました。
先日、友人に「AirMacをリセットして、ソフトをバージョンアップするんだよ」と教えてもらった。
そしたら、けっこう簡単につながったのね。すごいなあ。

順を追えなくなったので、書名のみまとめてメモします。

『姥ざかり』
『姥ときめき』
『姥うかれ』
『姥勝手』
田辺聖子
新潮文庫

『ほどらいの恋』
田辺聖子
角川文庫

『私的生活』
『愛の幻滅』(上・下)
田辺聖子
講談社文庫

『九時まで待って』
『愛の風見鶏』
『金魚のうろこ』
田辺聖子
集英社文庫

『週末の鬱金香(チューリップ)』
田辺聖子
中公文庫

『うつつを抜かして』
田辺聖子
文春文庫

『ひとがた流し』
北村薫
新潮文庫
★★★★★

『ニッポン硬貨の謎』
北村薫
創元推理文庫
★★

『蹴りたい背中』
綿矢りさ
河出文庫
★★
どっちかとゆーと『インストール』を読みたかったのだが、それはまた今度。

『阿修羅ガール』
舞城王太郎
新潮文庫
★★★

『コルセット』
姫野カオルコ
新潮文庫
★★★


ロング・グッドバイ

2009年04月13日 | 本棚(ぶんがく)
『ロング・グッドバイ』
レイモンド・チャンドラー/村上春樹
早川書房

おお、この解説の長さが嬉しい。
確か、フィリップ・マーロウシリーズは、いくつか読んだと思うが
(多分『長いお別れ』と『さらば愛しき人よ』)
例によって、内容をあまり覚えていないので(私の本の読み方っていつもこうなんだけど、どうよ)
初読のように読んだ。

主人公と色々な人のやりとりが、非常に険悪なところがあったり
「め、めんどうな…」といい加減辛気くさくなるところがあったり
そういうところも含めて、「長いお別れ」の文体なんだろうなあ、
訳者は根を詰めて訳したんだろうなあ、と楽しんで読んだ。




『薄荷草の恋』
田辺聖子
講談社文庫

うん、一晩で読んじゃった…。まさに清涼剤のよーな。薄荷草のような。
「かわいげのある男」「話しかけやすい男」、こういう人が現れて
魅力を認める力があったら、楽しそうだ。




『風立ちぬ・美しい村』
堀辰雄
新潮文庫

ええ?続編?と思うような、ふたつの軽井沢の物語。
確かに、これは、すごい。
(書評『100年の孤独』で「うまい!」と書いていたので手に取った)
最近の小説ばっかり読んでいた私にも、すんなりと読めてしまう。
山はないんだけど、空気に浸れる。
こういう秀才がいたんだなあ。


乗り換えの多い旅

2009年03月15日 | 本棚(ぶんがく)
『乗り換えの多い旅』
『お気に入りの孤独』
『鏡をみてはいけません』
『ベッドの思惑』
田辺聖子
集英社文庫
★★★★

『うたかた』
田辺聖子
講談社文庫
★★★

『人生は、だましだまし』
『ジョゼと虎と魚たち』
田辺聖子
角川文庫

ここんとこ、田辺聖子をがーっと読んでいるのである。
田辺センセイがね、「恋愛小説を読んであたまを柔こうしていると、素敵な恋愛ができます」って
おっしゃるから~。

ここには、いろんな女性と「おっちゃん」「にいちゃん」の恋愛が語られている。
そんな恋愛小説を生み出した田辺さんは、どんな考え方をしていて、どんな暮らしをしているのか、
それがエッセイで読めるのも楽しい。

ついでに、通勤一往復と、家で少しの時間を足すと
一冊が読み切れるのも、まことに気分転換によい。

東京に暮らすようになって、小説に出て来る場所がわかるようになったのが嬉しかったけど
田辺聖子の書く場所も、8年の大阪生活と4年の神戸生活のおかげで
だいたい思い浮かべることができるのは嬉しい。