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Paraiso Bookshelf

友だちに、こんな本がよかったよとお知らせできるようにブログを始めましたが、途中で普通の日常報告&旅メモと化しています。

見たかった歌舞伎

2010年08月15日 | 本棚(ぶんがく)
『21世紀を憂える戯曲集』
野田秀樹
新潮社
★★★

「ロープ」「オイル」「THE BEE」を収録。
「THE BEE」は見ていないのだが、こんな芝居をやっていたのか!と
見なかったことが悔しくなるような、今までにない脚本だった。
どんな風に演じたのか。




『野田版歌舞伎』
野田秀樹
新潮社
★★★

野田演出の「マクベス」を観て、オペラはやっぱりオペラかな?などと思い
野田演出の歌舞伎にもは、それほど興味をもっていなかったけど、脚本だけでもかなり面白そう。
いまさらだが。

ああっ、これはやはり見るべきだったっ!!

チケット取りに血道をあげる(ってほどでもないんだけど
平日だといくら仕事中にやろうと思っててもタイミングのがすし
クジ運も悪いし、早い話が要領が悪くて苦手)価値を、久しぶりに思い出した。


1950年のバックトス

2010年07月10日 | 本棚(ぶんがく)
『1950年のバックトス』
北村薫
新潮文庫
★★★

『ひとがた流し』以来、ますます冴え渡っているなあ、と思う北村薫さんのオンナゴコロ描写。
男女はあまり関係ないのかもしれないけど、やっぱりこの方の書く女性の心の動きには痺れます。




『三十すぎのぼたん雪』
田辺聖子
新潮文庫
★★★

これもまたオンナゴコロの短編集。
タイトルがなんともいえませんねー、いたたた
しかし、いつもこの小説集のように、気持ちは柔らかくしておきたいと思う。




『父の遺産』
フィリップ・ロス/柴田元幸 訳
集英社文庫
★★★

頑固で強くて、自分を信じていて、子どもたちに対しても自分の信念を通す父。
そんな父に対して、大きな葛藤もなく
暖かく見守れるのは、小説家として成功している息子だからなのか、
もう大人だからなのか、アメリカだからなのか。
日本だと、いろいろ違うような気がする。




『不毛地帯』
山凬豊子
新潮文庫
★★★★

いや~、五巻、一気に読んでしまいました。
『白い巨塔』に次ぐ(と勝手に思っている)巨大ドラマ。
シベリア拘留中の話もすごいが、商社の戦いもすごい。
これを楽しめる鮫島さんって面白い。
しかし、何より驚くのは、商社マンの妻の働きぶりだったりして…。
夫ときたら、家事・子育てはもちろん、出張のパッキングも妻任せだ。
そこに一番時代を感じた。
それはともかく、興奮のドラマでありました。


まだまだ幕末

2010年05月23日 | 本棚(ぶんがく)
『最後の将軍』
司馬遼太郎
文春文庫
★★★

幕末の色々な小説で脇役として登場する徳川慶喜さん。
よく考えると、本当なら主役なのに、
中学校の歴史にもほとんど名前と大政奉還しか出てこないし、実に不思議な人物だ。
(私、確か高校でも社会の入試は日本史を選択してましたが、内容をあまり覚えていません…)
『最後の将軍』は、その慶喜さんを主役として
その不思議な人間性を描いている。
長州の話が出てこないかな~、と期待したけど
雄藩の藩士とは積極的に関わらなかったという彼のことだから
あまり出てこないんだな~。

ただ、龍馬が「この人のために死んでもよい」と言ったことと
明治維新後はひっそりと過ごし、何も語らず亡くなったことが心に残る。

ちょっとぐぐってみると、NHK大河ドラマで主役になったことがあったのですね。


萌えよ剣…

2010年04月29日 | 本棚(ぶんがく)
『燃えよ剣』
司馬遼太郎
新潮文庫
★★★★

ひょっとすると、新撰組モノを読むのは初めてかもしれない。
ヒョーかっこいい!と声をかけたくなるのが、土方&沖田コンビの殺陣シーン。
あまりの爽やかさに、「たしかに萌え…」と歴女の気持ちがわかるのが沖田君の言動。
同時に、ほの暗い情念や、歴史の影にあった残酷さを感じさせられて
ただ「萌え」るには、躊躇を感じる物語でもある。
若い頃ならば、「おとこの生き様見せてやるぜ!」とでも言いそうな
美学の塊のような土方君に痺れたかもしれないのだが…。
新撰組の歴史が、どうしても明治維新の「裏」に感じられるのは、私が長州ファンだからであろうか。
いろいろと、年取ったなりの(笑)迷い(?)はありつつも
だいたい二日で読み切ってしまった興奮本であった。




『人斬り以蔵』
司馬遼太郎
新潮文庫
★★

土佐の武市半平太に仕え、帯にも書いているように「龍馬伝」にも登場している岡田以蔵を書いた「人斬り以蔵」のほか、
大村益次郎(長州話♪)の「鬼謀の人」などが入った短編集。
この二編を目的に買ったため、ほかの短編があまり印象に残っていないものの、幕末短編にも満足。
読めば読むほど、多くの人が志半ばで死んで行った乱世が
現実にあったのだということが不思議に思えてくる。


長州2連作

2010年04月04日 | 本棚(ぶんがく)
『世に棲む日日』(一~四)
司馬遼太郎
文春文庫
★★★

吉田松陰と高杉晋作。
名前は知っていても、幕末初心者の私には、初めて知ることばかりで
まさに本を置く能わず。

吉田松陰は、禁欲的で難しい秀才かと思ったら
信念の強さを「狂」と呼びながら
それを貫く強さと明るさを持つ人物として描かれているし
高杉さんは、破天荒でありながら
他の藩との交流をほとんど避けているに近く、
あくまで長州の武士として生きた人として描かれている。
育ちの良さという強みを如何なく発揮する、やんちゃなお坊ちゃんだ。
私はシバリョーの本しか読んでいないが、
近い時代の話と思うせいか、志士たちの個性がありありと感じられて、
おそまきながら幕末ファンの気持ちがわかってきた今日この頃。

これからは、「高潔」といえば吉田松陰を
「坊ちゃん」というと、高杉さんを思い出すだろう。




『花神』(上中下)
司馬遼太郎
新潮文庫
★★★★

こちらは、大村益次郎を主人公にした長州幕末話。
大村益次郎、通称村田蔵六さんは、いわゆる志士ではないが
村医者の息子として修行して、あちこち旅するうちに、官軍の総司令官になっていたという
ドラマチックな人。このあたり、幕末のお医者さんの実態なども興味深い。

面白いのは、「暑いですね」と挨拶してきた村の人に
「暑中は(夏は)暑いのがあたりまえです」と返事をして
人をしらけさせたというエピソード。

彼は、自分を機械として扱っていて、
人に慕われたいとか、出世したいとか思わなかった人として描かれている。

機械だから、どう扱われても(地位が低くても、大物扱いされても)
そういうものだ、と受け入れる。
機械だから、自分の能力が計算してはじき出した技術や戦略は正しいし
戦争には勝っても当たり前。
感情論で反論されても、腹も立たないが弁解も説得もなし。
それで、最後に斬られる。

この愛想のない人の才能を発見して、信頼して、取り立てた桂小五郎がいいんです。
もともと、桂小五郎のことが知りたくて
長州の話を読んでいるのだが、なかなか出てこないんだよな、桂さん。

吉田松陰も、桂のことは評価しなかったし
(無能と見たわけではなく、評価しづらかったらしい、と司馬さんは書いている)
脇役として登場することが多い。
でも、腕は立ったのに、人は斬らずに逃げてばかしいたとか
憂鬱症で愚痴っぽいのに、生涯西郷さんを悪く言わなかったとか
なんだか小粋で(?)素敵な人じゃないですか。

ともあれ、「花神」、医者のことや
現代の大学(大阪大学、慶応義塾…)につながる学問の話も面白いし
分厚い上中下巻でも退屈しない興奮本でした。


翔ぶが如く、やっと

2010年03月21日 | 本棚(ぶんがく)
『翔ぶが如く』
司馬遼太郎
文春文庫
★★★

ながかった…
3ヶ月ぐらいかかった、全十巻。
最後のほうで、わかっちゃいるけど薩軍が破滅に向かうのが怖くて
読み進められなかった。(でも意地で!読んだけど!)

かなり、桐野さんや西郷さんを突き放してないですか?
西郷どんの素晴らしさを、史実ぬきで(いいのか?)、感じたかったなあ。
むしろ、大久保さんの苦悩を偉大に感じたよ。

でも、焼酎屋さんで「桐野」って焼酎を見つけて悦に入ったり
冬に旅した薩摩の歴史を、少し知ることができたのが収穫。
さて、次は長州だ!!




『孤独な夜のココア』
田辺聖子
新潮文庫
★★★

復刊シリーズだそうで、最近田辺聖子にハマった者としては嬉しい。
復刊の続きもあるそうで(帯の予告)、次の予定が『三十すぎのぼたん雪』だそうで、うーん
ますます、癒しを求めそうな予感…
いま復刊するということは、そういう人が増えているのだろうか??
密かに売れ行きが伸びてるとか?

たまにハッピーエンドでほっとする短編もあるけど
ほとんどは、「ちょっぴり」苦い結末を、やさしく見つめるような…
あかん、書いてたら少々もの悲しくなってきた。
田辺聖子を読むということは、夜のココアのように、ほっとするものなのだが。


歴史に名を残す音楽家には才能だけじゃなく人との大事な出会いがあるものさ

2010年01月04日 | 本棚(ぶんがく)
『竜馬がゆく』
司馬遼太郎
文春文庫
★★★★

これは文句なしですね。
鹿児島旅行から、幕末にハマろうと決め(?)まずは読破。
竜馬がこの時代に生まれたことがひとつの奇跡ではあるけど
この時代に、自由で型破りな発想や行動を受け入れ、愛し、支えた人がいたことが興味深い。
勝海舟という偉人にも思うところが多い。

「歴史に名を残す音楽家には才能だけじゃなく人との大事な出会いがあるものさ
ボクもそういう人間のひとりになりたいんだよ」
@のだめカンタービレ


お風呂で読書

2009年12月30日 | 本棚(ぶんがく)
最近、仕事が落ち着いてるので、ほぼ毎日湯船に浸かって本を読んでいる。
そんなとき読んだ本。

『インストール』
綿矢りさ
河出文庫
★★

うまいっ、て言われているんですよね~、本当に読みやすい。
小学生の男の子と高校生の女子のエピソードもいい。




『Bランクの恋人』
平安寿子
実業之日本社
★★

個人的に、サエない主人公が上手な平さん、としてインプットされている。
その普通な感じが安心して読めて、お風呂にもぴったり。




『High and dry(はつ恋)』
よしもとばなな
文藝春秋
★★

こういうのを読むと、若いのも悪くないなあ、と思える。
中学生って、もっと醜いものだろうから、やっぱりよしもとばななならではの
世界なのかもしれないけど。




『彼女について』
よしもとばなな
文藝春秋
★★

驚いた、意表をついて、オカルトだった…。
こういうものを書かなければいけなかったのだろうな、と少し辛いけど
読んだ感触はもちろん、怖いとか悲しいというものではなく、癒しを書いた物語だった。


顰蹙カフェ

2009年12月26日 | 本棚(ぶんがく)
『顰蹙文学カフェ』
講談社
高橋源一郎 山田詠美
★★

対談なので普通だと「エッセイ」に入れるのですが
もう一冊があるので、とりあえず。

対談相手として東上するのは、
島田雅彦、中原昌也、車谷長吉、古井由吉、瀬戸内寂聴。

あまり読んだことがない人も多いのですが、面白そうな人たちであった。
つまりは、文壇や文学賞の審査員の顰蹙をかうような作家が面白い!と、
寡作な方が多いようなのだが、図書館にあったらかりてみよう。




『ミヤザワケンジ・グレーテストヒッツ』
高橋源一郎
集英社
★★

改めて…高橋源一郎って本当にうまいんだなあ。
他の小説を読んでいるときと比べて、何というか、文章のぎこちなさが全くない。
ミヤザワケンジの作品のタイトル(だけでなく中身ももちろんなのでしょうが)の短編集。
短編集があまり得意でない私は、いろんな順で読んだけど
全部読まなくてもいいかあ、と思っていたら、つい全部読んでしまった。


ばなな週間続行

2009年12月20日 | 本棚(ぶんがく)
『なんくるない』
よしもとばなな
新潮社
★★

沖縄でいいことに出会う主人公たちを見ていると(読んでいると)
ぼーっとふらふらしてるのも悪くないことだなー、と思える。
だめか、やっぱり…



『ひとかげ』
よしもとばなな
幻冬舎
★★

これを読んで気づいたけど、男性が主人公のおはなしは少ないなあ。
よしもとさんが言う、ダンスをする女性への愛しさが表れた小説。
後半のダイジェスト(?)の意味がよくわからず…




『まぼろしハワイ』
よしもとばなな
幻冬舎
★★

傷ついた変形家族の愛情を描く、私にとってはばなならしい小説。
どの本を読んでもこれだけスラスラ読めるって、やっぱりすごいなあ。



『みずうみ』
よしもとばなな
フォイル
★★

過去の傷を、強く生きて癒して行く、私にとってはばなならしい小説。
やはり、水のように飲める小説。癒される。




『もっと、わたしを』
平安壽子
幻冬舎
★★

小説の主人公になりそうにない、サエない(と言っていいかどうか)普通の人を描いた連作集。
こういう生活ってあるよなあ、と面白く読んだ。




『くうねるところすむところ』
平安寿子
文藝春秋
★★

こちらは、仕事のできる女(と言っていいと思う、たぶん)の勢いが表れていて
なかなかすっきり。リフォーム業を主に営む工務店を舞台にしているからこのタイトルなのだが
仕事そのものが、くうねるすむことなんだなあ、と思う。