goo blog サービス終了のお知らせ 

Paraiso Bookshelf

友だちに、こんな本がよかったよとお知らせできるようにブログを始めましたが、途中で普通の日常報告&旅メモと化しています。

オースティン、ゆっくり読んでます

2011年08月20日 | 本棚(ぶんがく)
『説得』
ジェイン・オースティン/中野康司訳
ちくま文庫
★★★★

ジェイン・オースティンは多分、どれを読んでも楽しいんだけど
文庫が高いので(笑)、少しずつ読んでいる。
『説得』は、最後の完成した作品と言われていて
やはり完成度が高い作品と思う。
『高慢と偏見』ほどコメディ色はないのだが、
ヒロインのお父さんの准男爵とお姉さんなんて、気位が高くて浪費家で
なかなかバカで(失礼)面白くて、もっとはじけてほしかったぐらい。
ヒロインはものすごく賢明で
一歩間違うと嫌味になるんだろうけど、そこはオースティンの筆力か
とても好感が持てて、応援したくなるヒロインなのだ。

次はどれにしようかなあ…。



『塩の街』
有川浩
角川文庫
★★

実家で母の本をかりて読んだ。
意外に、母の本棚には、ベストセラーがはいっているのだ。(『阪急電車』もあった)
もともと、電撃文庫だったということもあって
非常に読みやすくて、キャラクターもよい。
震災前に書かれたものだけど
震災後の日本においては、非常に現実味があり、預言的ですらある。
しかし、ツンデレ系青年と、天然系少女のカップルは
ちょっと少女マンガ的だったかな~。
一貫して、ストレートな愛情を書きたい人なのかなあと思う。



縁を感じる小説

2011年07月31日 | 本棚(ぶんがく)
『阪急電車』
有川浩
幻冬舎文庫
★★★

本を読まない人が、飛行機で見た映画の中で
『阪急電車』が意外に良くて泣けたよ、と教えてくれた。
「ああ、原作が売れてるよね」って言ったら
「原作があるんだー」と言っていたほど、文学に縁のない人に
こういった日常淡々系が面白い、と思わせるというのは
やっぱり原作がいい本なんだろうな、と思っていた。

私は学生時代に、阪急神戸線を使っていたし
もちろん気になる小説ではあったのだが。

その翌日ぐらいに、別の人から
「阪急電車を読んで、ゆうこさんのことを思い出しました」って
メッセージをいただいて、その人にかりて読むことができた。

ああ、こういう小説を書く人なんだなあ。
「胸キュン」と表4に紹介されている通り、きれいな恋愛小説なんだけど
一本筋が通っていて、恋や欲だけじゃない「正しさ」を信じる人々。
そして、縁あって、阪急電車今津線で出会う人々。
縁を大切にしてきれいに生きたい、と思わせる小説でした。


『自負と偏見』
オースティン/中野好夫訳
新潮文庫
★★★★

河出で読んだ『高慢と偏見』が好きすぎて
違う訳も読みたくなって、読んだ。
河出版の、阿部さんの訳のほうが格調高くて評判がいいみたいだが
中野さん訳で読んでもやっぱり良かった。
ところどころ、急に現代的な文章が挟まる気もしたけど、
どちらも読みやすい。

あまりに好きすぎて、映画
『プライドと偏見』(エリザベス=キーラ・ナイトレイ)
『高慢と偏見』(ダーシー=コリン・ファース)
も見てしまった。コリン・ファース版は、レンタルしてないから買いましたとも。
そして、映画も、どっちもなかなか良い。
英国でファンが多くて、『ブリジッド・ジョーンズの日記』が
現代版「高慢と偏見」だったとは、自分がハマるのも当然だ。
日本でいうと、なんだろうなあ…
源氏物語か、内容的には細雪か…
ファンの熱狂度でいえば、新撰組か赤穂浪士か。



続:米原(まいばらじゃないよ)週間

2011年07月31日 | 本棚(ぶんがく)
『笹まくら』
丸谷才一
新潮文庫
★★★

丸谷さんの本は初めて読んだ。
読んでない本がいっぱいああって、他に読むべき本もたくさんあるけど
この本を読んだのは、米原万里さんの『打ちのめされるようなすごい本』から。
トマスH.クックの「夜の記憶」「心の砕ける音」をすすめられて読むうちに
「同じように現在と過去を絶え間なく往復する構造ながら、もっと打ちのめされるようなすごい小説を、しかも日本人作家のそれを読んだことがあるような…」と思い出して紹介される本。
しかも、「ミステリー畑では抜きん出て細やかなはずのクックの文章の肌理が粗く感じられる」というからすごい。
トマス H.クックの本は読んだことがあるし、
ハマるまではいかなかったけど、おもしろかった記憶があるので
それはすごい!と思って読んだ。
確かに、この過去と現在の行き来の仕方は肌理が細かく、かつ大胆。
次の行になると、突然過去に戻っている。
それが、人の思考の流れと一致していて、読んでいる側もするっと過去へ戻される。
文章や構造というものの面白さに改めて気づかされる。


そして、丸谷才一さんの全ての本が旧仮名遣いというわけではないのね。
もうひとつの必読書として紹介されていた『たった一人の反乱』も次回に買おう。




『魔女の1ダース』
米原万里
新潮文庫
★★★

本棚としては「エッセイ」だけど流れで。
笑える下ネタをはさみつつ、外国の文化と日本の文化を往復し、
「正義と常識に冷や水を浴びせる13章」。
昔、外国人が日本文化や常識を批評したり比較したりするエッセイが流行したけど
いつからか、日本人は、自ら比較して楽しめようになっていたのだな。



名作の幸福

2011年06月11日 | 本棚(ぶんがく)
『高慢と偏見』
ジェイン・オースティン/阿部知二 訳
河出文庫
★★★★

さすがの名作!読み終わって幸福な気分になった。
ちょっと古めかしい日本語であるこの訳がいい、という評を読んで、河出版を選ぶ。
読み始めからまあまあの引力を発しつつ、後半はかなりのジェットコースター。
「世界文学屈指のラブストーリー」、コメディとしても素晴らしい。

まず、ヒロインのエリザベスの家族がいい。
娘を嫁にやることしか考えてない頭カラッポのお母さん(失礼)が
コメディには欠かせない存在。
偏屈で、ちょっと変人のお父さん。
上流婦人の高慢さを体現する、昼メロの鬼姑のようなダーシーの叔母が
終盤でエリザベスを攻撃するところが、最も面白かった。
身分は低いながら、そんなご婦人にもハッキリもの申す、しっかり者のヒロイン。
ツンデレのお坊ちゃまダーシーが
生意気で、キツい性格で、しかし率直で愛情深いエリザベスに、心を開いていく物語。
現実に、よく見る恋愛模様である。
美しく優しい長女ジェインとビングリーは、学校公認のさわやかカップルという感じ。

これが、イギリスの貴族社会で展開されると
非常に美しくて、心豊かなドラマになる。
これは確かに、映画化したくなるなあ。
今度、見ようっと。



降参。

2011年06月05日 | 本棚(ぶんがく)
『シェイクスピアのソネット』
小田島雄志 訳/山本容子 絵
文春文庫
★★

先日、日本橋丸善の山本容子展に行ったとき、
まだ買ってなかったな~と思って、読んでみたんだけど
どういう「愛」なんだかよくわからなかったなあ。
若い人に恋人を見つけよ説教してるかと思えば
それっぽい女性を「その女はやめとけ」と嫉妬してる感じ。
シェイクスピアはやっぱし、パッと読んで鑑賞できるものではない、
手強いのう、というのが
苦心して読破した結論だった…。敗北。


バルザック的

2011年05月08日 | 本棚(ぶんがく)
『ゴリオ爺さん』
バルザック/平岡篤頼 訳
新潮文庫
★★

挫折しました、かなり。
最近読み返した『男流文学論』に、三島由紀夫の小説がバルザック的だという批評があって
ちょうど読み疲れていたところだったので、なるほどなあ、と頷いた。
斜めに読めばどこまでも斜めに読める、超長文の細かい描写。
だから、こんなに分厚いのね。
そこが読む楽しみでもあって、いい読書体験なんだし
そう思うと、もう一度気力がわいてきて、読了したけど
人に勧めるかというと、他に読んでほしい本がある。
というわけで星ふたつ。


人間であるということは、

2011年04月24日 | 本棚(ぶんがく)
『人間の土地』
サン=テグジュペリ/堀口大學訳
新潮文庫
★★★

寡聞にして知らずといいますか、「星の王子様」しか読んだことがなかったけど
「人間の土地」、アマゾンでもとても評価が高く、愛読している方が多いみたい。
有名な「愛とは、見つめ合うことではなく、同じ方向を見ること」という名言も登場。

---
ぼくら以外のところにあって、しかもぼくらのあいだに共通のある目的によって、兄弟たちと結ばれるとき、ぼくらははじめて楽に息がつける。また経験はぼくらに教えてくれる、愛するということは、おたがいに顔を見あうことではなくて、いっしょに同じ方向を見ることだと。


私が、「うーん」と噛み締めたのは、親友のギヨメについてこう描写したところ。

---
彼もまた、彼らの枝葉で広い地平線を覆いつくす役割を引き受ける偉人の一人だった。人間であるということは、とりもなおさず責任をもつことだ。人間であるということは、自分には関係がないと思われるような不幸な出来事に対して忸怩たることだ。人間であるということは、自分の僚友が勝ち得た勝利を誇りとすることだ。人間であるということは、自分の石をそこに据えながら、世界の建設に加担していると感じることだ。


職業飛行家という、命に危険のある職業だからこその重みもあるけど
今、誰もが感じている感覚ではないかと思う。





『椿姫』
ヂュマ・フィス/新城嘉章 訳
新潮文庫
★★★★

色んな作品で題材に取られているから、内容は知っているけど読んだことがなかった作品。
どこがどう、というのではないけど、勢いがあって、よかったなあ。
恋愛の国フランスは、こういうところもさすがだ。(なんのこっちゃ??)




おんなの自立

2011年04月03日 | 本棚(ぶんがく)
『ジェーン・エア』
C・ブロンテ/大久保康雄訳
新潮文庫
★★★★

久しぶりに古典的な文学作品を読みたくなったのは…
何かのコラムで「ジェーン・エア」を見たんですよね。
忘れちゃったけど……_| ̄|○
なんだか、果敢な女性の話だな、確か読んだことないし今度読もう、と思ってしばらくたってから買った本。
読み出したら、止まりませんでしたねえ。

孤児として叔母や親戚にいじめられ(キャンディ・キャンディか!?)、
慈善学校で育って、家庭教師として自立。
そこで出会った貴族のご主人との、偶然の初対面。
最後は、恋人のテレパシーを感知して飛び出していく、という
なかなか、エキセントリックなヒロインなのだ。

ところどころ、「ええーっ、どういう理屈!?」と笑える言動もあって
これが、ちょっと古い文学のいいところですよねえ。
またいろいろ読んでみよう、と思った。
しかし、実家から引っ張りだしてきた「嵐が丘」(E・ブロンテ)は
実家から掘り出してきたものの、あまりに細かい活字に挫折中。



40年前の30歳

2011年02月26日 | 本棚(ぶんがく)
『猫も杓子も』
田辺聖子
文春文庫
★★

猫も杓子も、同じように一つずつ、トシとるなんてものじゃない。
解説にも冒頭に書かれている一文。
これは、40年以上前に書かれた、30歳のハイミス(当時)の恋愛を書いた小説。
今の40歳ぐらいですかねえ。
ますます、猫も杓子も同じように歳をとるもんじゃない、っていう時代になってるわけだ。
その意味で、今と全く変わりなく、恋愛小説として読める。
私は、最近出た恋愛小説はあまり読まないけど
自分ちには、田辺聖子があれば十分だ。
最近、復刊が多いのはそういうニーズが多いのではという気がしている。

今日は、花粉症で涙を流しながら。
確かに、今年はすごいのね。



まとめメモ2

2010年12月12日 | 本棚(ぶんがく)
『モリー先生との火曜日』
ミッチ・アルボム/別宮貞徳 訳
NHK出版
★★★

友人どうしで開いているSkype読書会一冊目の『星の王子様』が終わり
二冊目に選ばれた本。初読ではモリー先生の魅力が心に残ったけど
ゆっくり読んでいくから、これからが楽しみ。




『11分間』
パウロ・コエーリョ/旦敬介訳
角川文庫
★★★★

素晴らしい小説。
近頃、意識的に、小説以外のものを読んでいたのだけど
友達の「愛について書いてある」というおすすめで読んだところ
心からのヒット作(←もちろん昔からの名作なんで自分の中でのヒット、という意味)で
久しぶりに読んだ小説がこれでよかったなあ、としみじみ感じた。
恋愛小説といおうか、ひとりの女性のビルドゥングスロマンといおうか。
裏切られる結末もよかった。

あら、メモのわりに長くなりましたね。
やっぱり小説は感想が書きやすいね。




『薔薇の雨』
田辺聖子
新潮文庫
★★★

ハイミス(笑)の心のオアシス、新潮文庫の名作シリーズ。