2021年の初登山は天狗岳へ。
慎重派な自分が、過信と油断によりまさかの敗退。
新年早々、苦い思い出となってしまった。
今回同行してくださったのは、shinichiさんとyoshiさん。
yoshiさんは、shinichiさんのクライマー仲間。
新穂高から高天原をワンデイで往復してしまう強靭なトレイルランナーでもある。
私との山行はお初。
登山口はいつもの渋の湯から。
気温はすでにマイナス14度。
汗をかかないようにゆっくり登っていくが、shinichiさんにとってはペースが遅すぎて寒かったようで、一人で走ったり上り下りをしたりしている。
思い返してみれば、このあたりのペースの違いがすでに不吉な前兆だったのかもしれない。
また、腕時計を家に忘れてきたこともペースに気づかない要因であった。
スマホがあるからいいやと考えていたのが甘かった。
ほぼコースタイムで八方台に到着。
私は暑くてハードシェルを脱ぎ、shinichiさんとyoshiさんは寒くて足踏み。
八方台から黒百合平までは、緩やかに高度を上げて行く。
スノーモンスターが徐々に大きくなってくる。
コースタイムから少し遅れて黒百合平に到着。
黒百合ヒュッテ前の気温計は、マイナス18度。
ここでアイゼンをつけて、ピッケルを準備。
ゴーグルも装着。
このとき、私は自分の体調の変化に気づいておきながら、言い出せなかった。
今までにないくらいアイゼンを重く感じ、背負い慣れたザックにもかかわらず、肩が妙に痛い。
それでも天狗岳の山頂までは、あと1時間30分くらいだから、なんとかなるだろうとタカをくくってしまったのだ。
過信と油断。
この日の天狗岳の気温予想はマイナス20度で、風速20m。
八ヶ岳全体が雲で覆われている。
重い体を引きずりながらギクシャク登る。
ちょっとした岩場に難儀する自分が歯がゆい。
ピークまであと40分くらいのところで、shinichiさんから「降りましょう」と声が掛かった。
私は、少し先に行くとピークが見えるからと、そこまで進むことにした。
これもよくなかった。
shinichiさんに、「あの判断はよくない」と後で叱られた。
確かにその通りである。
黒百合ヒュッテに戻り、昼食をとってから高見石小屋に向かう。
今回は高見石小屋を予約してあるのだ。
中山から高見石小屋へのルートはかつて知ったる道。
まさかここでルートを見失うとは思ってもみなかった。
中山展望台から高見石へ至るルートが見つからず、わずか50~60mの距離でロストした。
思った以上に雪が吹きだまっており、下山口が見つからないのだ。
悪いことは重なる。
最近使い始めたYAMAPがあるからと、紙の地図とコンパスを持ってこなかった。
低気温でスマホのバッテリーは完全に落ちてしまい、まったく起動しない。
少し考えれば、デジタル機器が低温で使えなくなるくらい小学生でもわかる。
ここにも過信と油断があった。
低温と強風でゴーグルはバリバリに凍ってしまい役に立たない。
ネックゲーターで顔を覆っていても、目の周りはどんどん凍り、コンタクトレンズが外れそうになる。
ルートを見つけようと40分以上うろうろし、なんとかyoshiさんが見つけてくれた。
私は、日没までの時間を考え、あと10分間探して見つからなければ、黒百合ヒュッテに戻ろうと決めていた矢先であった。
高見石小屋のスタッフさんには、我々の到着が遅いので心配をかけてしまった。
私の携帯に電話を掛けたそうだが、スマホの電源が落ちていたのであれば、わかるはずもなかった。
ちなみにYAMAPの軌跡を見ると、中山峠から天狗岳に登り始めてすぐに電源が落ちていたようだ。
マイナス20度では、まったく使い物にならなかった。
高見石小屋では穏やかで静かな夜を過ごすことができた。
ランプの灯りを見ながら、自分の過信と油断をひたすら反省した。
スタッフさんが小屋から見える星座について、パワーポイント資料をもとにミニレクチャーをしてくださった。
星座の見つけ方を丁寧に教えてくださった。
豆炭のこたつで暖をとりながら、翌日の作戦会議。
私の体調のこともあり、下山一択となった。
一晩しっかり休んだら、体調は回復した。
この時期なので、まさかあの病気では?と思ったが、そうではなく単なる体調不良であった。
ここ数年、私は登山中に急に疲労感に襲われることがある。
いずれも休めば元通りになるので、日々の疲労の蓄積からくるものだとは思うが、厳冬期には致命傷になりかねない。
自分が若いころのイメージだけで登れる年齢はとうに過ぎていることを、改めて自覚し深く反省した。
また、今回の山行で自分への過信と油断にも気づいた。
雪山では、さまざまな状況に応じて臨機応変に的確な判断が求められるが、低温と強風でそれがブレることもあるのだ。
若い時にはできていたことが、だんだん年と共にできなくなってくるのだ。
恥ずかしながら、今回の過信と油断をもう一度書いておく。
▲ 腕時計を忘れてきた。撤退時間を見誤った。
▲ 自分の体調不良に正対せず、体力を過信していた。
▲ 紙の地図を持ってこなかった。
▲ スマホに依存するのは危険。
▲ 雪山では地形が変化する。自分の記憶はあてにならない。
shinichiさんとyoshiさんには、ずいぶんご迷惑をおかけした。
申し訳なかった。
自分と山との関わり方を考え直し、もっと真剣に、もっと慎重になるべきことを改めて学んだ。
次はしっかりと準備し、謙虚に山と向かい合い、安全第一で楽しみたい。
慎重派な自分が、過信と油断によりまさかの敗退。
新年早々、苦い思い出となってしまった。
今回同行してくださったのは、shinichiさんとyoshiさん。
yoshiさんは、shinichiさんのクライマー仲間。
新穂高から高天原をワンデイで往復してしまう強靭なトレイルランナーでもある。
私との山行はお初。
登山口はいつもの渋の湯から。
気温はすでにマイナス14度。
汗をかかないようにゆっくり登っていくが、shinichiさんにとってはペースが遅すぎて寒かったようで、一人で走ったり上り下りをしたりしている。
思い返してみれば、このあたりのペースの違いがすでに不吉な前兆だったのかもしれない。
また、腕時計を家に忘れてきたこともペースに気づかない要因であった。
スマホがあるからいいやと考えていたのが甘かった。
ほぼコースタイムで八方台に到着。
私は暑くてハードシェルを脱ぎ、shinichiさんとyoshiさんは寒くて足踏み。
八方台から黒百合平までは、緩やかに高度を上げて行く。
スノーモンスターが徐々に大きくなってくる。
コースタイムから少し遅れて黒百合平に到着。
黒百合ヒュッテ前の気温計は、マイナス18度。
ここでアイゼンをつけて、ピッケルを準備。
ゴーグルも装着。
このとき、私は自分の体調の変化に気づいておきながら、言い出せなかった。
今までにないくらいアイゼンを重く感じ、背負い慣れたザックにもかかわらず、肩が妙に痛い。
それでも天狗岳の山頂までは、あと1時間30分くらいだから、なんとかなるだろうとタカをくくってしまったのだ。
過信と油断。
この日の天狗岳の気温予想はマイナス20度で、風速20m。
八ヶ岳全体が雲で覆われている。
重い体を引きずりながらギクシャク登る。
ちょっとした岩場に難儀する自分が歯がゆい。
ピークまであと40分くらいのところで、shinichiさんから「降りましょう」と声が掛かった。
私は、少し先に行くとピークが見えるからと、そこまで進むことにした。
これもよくなかった。
shinichiさんに、「あの判断はよくない」と後で叱られた。
確かにその通りである。
黒百合ヒュッテに戻り、昼食をとってから高見石小屋に向かう。
今回は高見石小屋を予約してあるのだ。
中山から高見石小屋へのルートはかつて知ったる道。
まさかここでルートを見失うとは思ってもみなかった。
中山展望台から高見石へ至るルートが見つからず、わずか50~60mの距離でロストした。
思った以上に雪が吹きだまっており、下山口が見つからないのだ。
悪いことは重なる。
最近使い始めたYAMAPがあるからと、紙の地図とコンパスを持ってこなかった。
低気温でスマホのバッテリーは完全に落ちてしまい、まったく起動しない。
少し考えれば、デジタル機器が低温で使えなくなるくらい小学生でもわかる。
ここにも過信と油断があった。
低温と強風でゴーグルはバリバリに凍ってしまい役に立たない。
ネックゲーターで顔を覆っていても、目の周りはどんどん凍り、コンタクトレンズが外れそうになる。
ルートを見つけようと40分以上うろうろし、なんとかyoshiさんが見つけてくれた。
私は、日没までの時間を考え、あと10分間探して見つからなければ、黒百合ヒュッテに戻ろうと決めていた矢先であった。
高見石小屋のスタッフさんには、我々の到着が遅いので心配をかけてしまった。
私の携帯に電話を掛けたそうだが、スマホの電源が落ちていたのであれば、わかるはずもなかった。
ちなみにYAMAPの軌跡を見ると、中山峠から天狗岳に登り始めてすぐに電源が落ちていたようだ。
マイナス20度では、まったく使い物にならなかった。
高見石小屋では穏やかで静かな夜を過ごすことができた。
ランプの灯りを見ながら、自分の過信と油断をひたすら反省した。
スタッフさんが小屋から見える星座について、パワーポイント資料をもとにミニレクチャーをしてくださった。
星座の見つけ方を丁寧に教えてくださった。
豆炭のこたつで暖をとりながら、翌日の作戦会議。
私の体調のこともあり、下山一択となった。
一晩しっかり休んだら、体調は回復した。
この時期なので、まさかあの病気では?と思ったが、そうではなく単なる体調不良であった。
ここ数年、私は登山中に急に疲労感に襲われることがある。
いずれも休めば元通りになるので、日々の疲労の蓄積からくるものだとは思うが、厳冬期には致命傷になりかねない。
自分が若いころのイメージだけで登れる年齢はとうに過ぎていることを、改めて自覚し深く反省した。
また、今回の山行で自分への過信と油断にも気づいた。
雪山では、さまざまな状況に応じて臨機応変に的確な判断が求められるが、低温と強風でそれがブレることもあるのだ。
若い時にはできていたことが、だんだん年と共にできなくなってくるのだ。
恥ずかしながら、今回の過信と油断をもう一度書いておく。
▲ 腕時計を忘れてきた。撤退時間を見誤った。
▲ 自分の体調不良に正対せず、体力を過信していた。
▲ 紙の地図を持ってこなかった。
▲ スマホに依存するのは危険。
▲ 雪山では地形が変化する。自分の記憶はあてにならない。
shinichiさんとyoshiさんには、ずいぶんご迷惑をおかけした。
申し訳なかった。
自分と山との関わり方を考え直し、もっと真剣に、もっと慎重になるべきことを改めて学んだ。
次はしっかりと準備し、謙虚に山と向かい合い、安全第一で楽しみたい。
改めて油断、過信をせず
安全第一に自然遊びを楽しみたいと
思いました。
ありがとうございました。(^^)
こんにちは!
情けない登山記録ですが、自戒を込めてあえてブログアップしました。
アウトドアで遊ぶからには、安全に帰宅することが一丁目一番地だと思います。
これからも自然を楽しめるよう、様々な準備を怠らないようにします。
久しぶりに雪山の風景を楽しませて頂きました
こんな風景の中に身を置けたのですから撤退でも十分に満足なのではありませんか?
僕らも樹氷とシュカブラと海老の尻尾を見たくて北横岳の予定でしたが鈍り切った体に自信がなくて潔く諦めました。
年を重ねると気持ちと体の間に大きなギャップが生じて歯がゆい思いをするのは僕もよく理解できます
悔しいけれど登りたい山と登れる山がイコールではなくなった今、
自分の体力と相談しながら無理せず、でも冒険心は忘れずに楽しみたいですね。
こんにちは!
今冬の寒波は、八ヶ岳を美しい姿にしてくれました。
せっかくの絶景を十分楽しめなかった自分が悔しいですね。
コロナ禍を過ごした1年間のツケは予想以上に大きかったです。
身の丈に合った登山をやることはもちろんですが、もう少しがんばり続けたい自分もいるのです。