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アジアの裏側

「赤ちゃん売ります、分割払いも可」

2006-12-06 09:59:12 | 報道
いっこうに経済回復の糸口を見出せないインドネシア,大規模プロジェクトは次々と凍結され日雇い労働者は仕事にありつけない。
長引く経済危機で多くの会社が倒産し、街には失業者があふれかえっている。
こんな超不景気の中、業績300%増しという急成長ビジネスがある,「赤ちゃんの販売業」だ。
インドネシアの首都ジャカルタ、その衛星都市のひとつであるブカシにある『スリ財団』ではお金さえ払えば誰でも赤ちゃんを買うことができる。
「日本の方もどうぞ来てください。」と、財団の主宰者・スリ女史はにこやかに言う。
売買をビジネスとして継続させるためには商品の安定供給が不可欠である,この財団では実に"画期的な"方法でそのルートを押さえている,いわゆる"青田買い"である。
経済的事情、宗教・道徳的倫理感、レイプなど諸般の理由から子供を出産することを望まない(できない)妊娠女性は少なくない。
「困窮婦人への援助」を名目にインドネシア政府から福祉財団としての認可を受けているこの機関では、そういった女性たちを"駆け込寺"的に受け入れている。
例えば恋人の子を孕んでしまった19歳の少女はイスラムの倫理観では結婚しない限り到底田舎にはいられない,だがこの経済危機で恋人にも安定した仕事はない子供はすでに中絶できないほど大きくなっている。
彼女はスリ女史を頼るしかない,この施設へ来れば毎日の寝泊まり、出産・産後の休養そして帰郷の交通費まで出してもらえる。
また、同じ境遇の仲間が何人かいて互いに励まし合える。
皮肉なことにこうした"供給元"が経済危機で激増し、スリ女史のビジネスは繁盛の一途である。
さて「販売」となると気になるのはそのお値段である。それを確認してみると、「赤ちゃんに値段をつけたことなど一度もありません。」と、スリ女史はかたくなに"売り値"を否定する。
だからと言ってタダで赤ちゃんを引き取れるわけではない。それまでにかかった養育経費を財団に収める必要があるからだ。それはおおむね500万~1000万ルピアなんだそうだ。
子宝に恵まれない夫婦が「ぜひ子供が欲しんです愛情をもって精いっぱい育てます、お願いします。」といくら頭を下げたところで、この"養育経費"と銘打たれた金銭が払えなければ望みはかなえられない。
「養父母がキチンと子供を育てられるかどうか、その経済状態を見極めるのは赤ちゃんの将来にとって重要なことなんです、今は教育費もバカになりませんし…・」と女史は言うが、実質的にはお金の多寡、要するに高く買ってくれる人が"販売先"として選択される。
もっとも最近は長引く経済危機からか買い手のサイフも固くなり、さりとてあまり長く施設に赤ちゃんを置いていても経費がかさむばかりなので、ディスカウントにも応じているようである。それでも折り合いがつかない時は、ローン(分割払い)も可能だという。

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