なにを隠そう、わたしはとてもとんぺい焼きが大好きです。今も一杯作ってぺろりといきました。余韻にまだ舌がリフレインを楽しんでいます。フランス人がワインをたしなむように、アタクシはとんぺい焼きをたしなむって訳です。訳ですってなによ?まぁそうなんです。
平凡な材料でできるのに、魔法のように美味しくなるのが不思議。たしか出会いは岡山か鹿児島の居酒屋だった気がするのですが、なんかやたら美味くて気に入ったのに、その調理の名前が分からない。ソースもマヨネーズも美味い。焼きそばも美味い。なのに名前がとんとわからない。
それが判明するのは後々名古屋駅前の居酒屋でメニューに「とんぺい焼き」と写真付きで載っていたときで、たしかおかわりもした記憶があります。うれしかったな。美味しかったな。こういう出会いなので、世に言う「とんぺい焼き」は「飲み屋のメニュー」なんだと私は認識する事になりますが、そのうち店までいかずとも、自宅で作るようになりました。そしてやっぱり美味いと来てる!最高!今日は天かす入れてみたよ。
私の言うとんぺい焼きは「卵の薄焼き皮で包まれた、焼きそばソースたっぷりの焼きそばを味わうもの」なんですけれど、あってます?世界とんぺい焼き協会(?)にドヤされません?一瞬、関西のお好み焼き、広島のお好み焼き、が脳内で錯綜するんですけど、正直生地は焼きそばの方が断然美味い派。派?派ってなによ。でも好きなのさ。美味いのさ。
お好みソースにマヨネーズにあおさが乗っかりゃなんでもごちそうよね。たぶんフランス人くらいなら「Bon!Bon!Tre Boooon!」位は言い放つと思います。ロバート・フルガムさんだったら「ヤミヤミー!」と外国語で感嘆すると思います。
この午後に係るアンニュイな時間を、贅沢にもとんぺい焼きで過ごす間にも、世界はコロナウイルスと、アメリカ、フランスの黒人差別に端を発した暴動のニュースにあふれています。ああ、なんで争いは絶えないんだろう。どうして人を憎む事になるんだろう。たき付ける人がいるからなのか。それともうんと前から「憎しみ」は爆発できる機会を伺って、蓄積してただけなんだろうか。いつまでこんなのが続くんだろうか。エスカレートした時に、人はどこにたどり着くんだろうか、と高尚な考察をした振りをしながら、私はとんぺい焼きを貪り食っておるのでした。様にはなりません。むしろ滑稽です。とんぺい焼きを汗、流しながら食いながら世界情勢・・・・・
トランプもとんぺい焼き囲んで、国民と話すりゃ、もっと通りのいいこと言えるだろうにとか思いました。バーガーばっかり食ってるからだよ、とんぺい食え、とんぺい焼きをよ。そういや明日でamazonで購入した姪へのプレゼント到着予定日だったっけ。購入して1ヶ月で届かず、香港の郵便局で止まってるそれは、もはや中国とアメリカの狭間で「動けませぬ!」と意思表明してるようなもので、それなのに配送元は「2週間くらいで届きます」「コロナのせいで遅れてるんです」とメールしてきました。その後に続く「香港一国一制度の凶行」で、このまま香港にプレゼントは四散してしまうのではないかと、時々ニュースで香港を見るたびに、amazon箱が映らないか、見ているのです。当のamazonでは、その配送状況をついに「荷物の所在が分かりません」となった。こんな店ってある?とんぺい焼き食って猛省せよ!
などなどと、世界の困りごとを悉(ことごと)く、遍(あまね)くとんぺい焼きの魔性の美味さに昇華させ、平和になれ、平和になーれ、と藤岡弘。先生の淹れるコーヒーの呪文のようにつぶやく私なのでした。
はい!今回はとんぺい焼きの話。バハハーイ!