帰り時間を使って、長いこと時間を掛けて、ようやく読破いたしました。
単行本で上下全2巻。
本当は一気に読みたかった気もしますが、夜中一睡もしないで読むハメになってしまうので、そこはじっと我慢。
読み終わっての感想は、 「面白かった。」
の一言に尽きます。
本の批評などでも書かれていましたが、
「読み始めると止まらない」 という表現がまさにそのままぴったりでした。
もう少し早く読めばよかったかなあ、とは思いましたが、本自体あの厚さ。
到底手が出せずに今日までズルズルときてしまいましたが、
映画を見に行かなければこのままだったと思います。
この小説を読むキッカケは、まさに映画でした。
ところで、この京極夏彦さん、めちゃめちゃ人気があるようで、
追っかけがいるんですか?
確か盛岡で毎年10月頃に開かれる 「ミステリー映画祭」
というイベントがあるのですが、その時、京極夏彦さんがトークショーに来る
というので私もふらりと出掛けたのですが、時間的にダメでした。
午前中のうちに整理券が配布され、会場満杯状態。
その人気ぶりに恐れ入りました。
ちなみに私は、再び激戦区になるであろう、“宮部みゆき”さん、
“菊地秀行”さん、“中津文彦”さん 三人のトークショーに参加するべく、
やはり午前中から配布されるであろう整理券ゲットに行きました。
お陰で、凄い近くで三人を見れて幸せでした。
特に私は菊地さん狙いでしたが、他の方々は宮部さん狙いだったらしく、
整理券配布の方も 「宮部さんのトークショーですね」
と渡してくれました。
……私、宮部ファンに見えるのか………。
でも、内容は凄く充実してまして。
特に宮部さんの場合、ちょうど話題になっていた新刊 「模倣犯」
の話なんか聞けてよかったです。
菊地さんに至っては、普段どのような姿勢で小説を書いているのか
知ることが出来ましたし。
サインも(ハート付き)貰っちゃった上、握手もしちゃったし。
幸せだったなあ……。
…と、そんな話はさておき。
京極夏彦さんの「姑獲鳥の夏」が映画化されたんだって!?
やったあ、観に行くぞ~。
…ということで、横着な私はまたしても原作を読まずに、
映画館へといそいそと足を運びました。(爆)
しかし、
それが悲劇の始まりだったんですよ奥さん!
(↑誰ですかそれは)
映画の第一印象は、
「何がなんだかちっとも分からねえぜ、旦那」 でした。
(↑だから誰だ)
始まって数分後からの疑問はそのまま継承されてゆき、
結局最後まで、映画の雰囲気というか内容にちんぷんかんぷん。
とはいえ、ストーリーは分かりますし、事件の部分や謎解き、
そして真実はよーく分かります。
それとは別な、映画そのものを覆う背景部分がまったく見えないのです。
主な登場人物達の背景がまったく分からず、そして
ストーリーの運びが物凄く悪い ということが決定打かと。
人物で言えば、関口くんはいつもぼんやりしているし、
かなりの妄想壁があるようにしか見えず、
見ていてこっちがイラついて仕方が無いのです。
だから、久遠寺涼子演ずる原田知世さんの
「関口さまは、不思議な方ですね」
というセリフがどうにもしっくりこない。
原作だと、このセリフの間に色々と会話が入ってのセリフなので、
しっくりこなかった理由が判明。
やはり、映画になると時間の関係か、と思っていても、ちょっとがっかり。
確かにあのセリフは無ければならないものかもしれないけど、
だったらもう少し何かあっても良かったような。
原作を読めば、関口くんは以前にうつ病を併発していて、それのクセで
すぐにも失語症にかかったり、また、ふさぎ込んだりすることが多い。
とあったので、なるほどとは思いましたが原作をまったく知らない人が見れば、
ちょっと違和感があるなあ、と思うのですが。
そして映画にはCGが使われすぎ、というか、
関口くんの妄想する「姑獲鳥(うぶめ)」炸裂。
とにかく出まくりです。
しつこいくらいに出てくるのには少し幻滅。
実際、関係の無いシーンにはいらないとは思うのですが……。
そして、背景自体が作りこみすぎ、という風にしか見えず、
どうもお粗末な大衆劇を見ている雰囲気。
演技というよりは、
何かのパロディっぽく見えたのは私だけでしょうか………。
全てにおいて出演者が大袈裟すぎ、というのが鼻につきます。
確かに物語は妖怪「姑獲鳥(うぶめ)」がキーワードではありますが、
原作では別段そんなおどろおどろしいシーンもないし、
逆に理路整然とした京極堂の語りが大半を占めているので、
物語自体はかなり淡々と進んでいます。
映画を面白くしようという試みなのかは分かりませんが、
肝心な原作の雰囲気を思いっ切り壊しているようにさえも伺えるのですが、
私の意見はキツイでしょうか。
ところでこの 「姑獲鳥の夏」 において、
最大にやっちゃいかんこと が一つだけありましたね。
原作見るまではそこまで思わなかったのですが、
原作を踏まえてよーっく考えてみると、この妖怪「姑獲鳥(うぶめ)」
とやらは、小雨が降る中、子供を預けてもらえる人物を待っている妖怪。
だとしたら、
映画のラストにある、久遠寺病院炎上は
絶対に有り得ないんじゃねえの!?
つーかそれ、
肝心の「姑獲鳥」のテーマに
ちっとも合ってないじゃん!!!
映画がそこを否定してどうすんだああああ!
と後で気付きました。
うん。 どうりでしっくりこないと思ったよ。
それから肝心なのが、配役。
“京極堂”こと中禅寺秋彦演ずる堤真一さんはまだいいとしよう。
榎木津さんの役、阿部寛でよかったのかなあ。
なんか原作と比べると、めっちゃ違和感があるんですけど。
それと刑事役の木場さんって、宮迫さんでいいの?
この人も何かがちょっと違う気がしてならないのですが………。
でも、京極堂の妹、中禅寺敦子役の田中麗奈ちゃんは
めっちゃ似合っていると思いました。
麗奈ちゃん、可愛いかったし。
関口くんは、まあ、あんな感じでいいかなあ……。
未だよく分かりませんが。
でも、不思議なのが、小説を読んでいる最中、
その人物に関しては映画の配役さんたちが浮かんでくるので
非常に困りました。
原作そのものでは、京極堂が関口くんのみならず、
読んでいる私達にも
“詰まらぬ先入観や思い込みは捨てろ”
とあれほどおっしゃっているのも係らず、
読んでいる私自身は先入観だらけ。
しかも脳内に流れてくるは堤さんの声なもんで、どうしようもない。
いや、
堤さんのことは めっちゃ好きだから別にいいけど。 (おい)
劇中での着流しのお姿、
惚れ惚れするほどに素敵でしたわ。
憑き物落としをするときの服装(の配色)も、私好みでグラグラでした。
一番困ったのがその配役に合わないんじゃないかと指摘した二名。
阿部寛なんかでしゃばってきて、
読みながら脳内から追い出すのに、本っ当に苦労しました。(笑)
榎木津さんは、私の中で想像するところ
少年隊の東山くんあたりがいいかなあ、と。
年齢的に考えても釣り合うと思うんですが。
(だって、榎木津さんって、男も惚れるほど整った、
西洋人の人形みたいな顔立ちだって書かれているし。
しかも、関口くんすらも、見慣れたはずの榎木津さんの顔に
見惚れてぼうっとなったくだりもあるくらいだし。)
木場さんは……
もう少し身長の高い俳優さんを選んだ方がいいのでは………?
……とまあ、散々映画を酷評してしまった私ですが、
いかに原作に惚れ込んだか、
というのが可笑しいくらいに出てますね。
でも、冷静になって考えてみれば、映画が意味不明(おい)
だったお陰で、原作を読むキッカケになったので、
これはこれでよしとします。
この勢いで、京極さんの本を読もうと決心。
今まではあの厚さにヘコんでましたが、単行本も出てきたので
読破しますわ。
この京極堂シリーズを。
(いつになるか分らんけど)←おい。
…………ところで、疑問が一つ。
京極夏彦さんのファンになった若いお嬢さんたちは、
一体この小説のどこに惹かれたん?
あの、中禅寺秋彦さんの小難しくも長ったらしい語りの部分?
それとも榎木津さんのコスプレじみた(笑)行動?
学生時代から一緒だったという、三人の関係?
(榎木津さんは先輩らしいですが)
私は断然、
京極堂の主人の語る、学会の論文のように難しい
理路整然とした内容と、それを聞いている関口くんの様子に
萌え。
なんですが。
この話って、絶対、男性受けしそうな話なんだけどなあ……。
まあ、面白いからいいか。
わしが初めて読んだ京極氏の小説は「巷説百物語」だったりするw
あれも、癖のある登場人物多くて素敵だよ^^
ほいじゃ、また~
僕も読んでみようと思います。