オーストラリア不動産事情 2

2010-08-21 15:22:14 | 福岡&中野&メルボルン時代
経済と法律というのは、社会を動かす二つの要素ですが、大まかに見て、
経済がエンジンならば、法律はステアリング、舵のような役目を担っています。

メルボルンへ行ったときに感じたのは、危うさ。というのは、暴走列車に
近い感じでした。つまり、エンジンを吹かせているのに誰も舵を握っていない、
そんな状態です。

大学教育はむしろ”押し寄せる”人口を捌くのに必死だったように思います。

ずいぶん前ですが、タイへ行ったときには経済成長著しく、生き生きしている、と
いう印象を持ちました。当時中産階級が成熟し、やっと消費社会を迎えたところ
だったのです。

ベトナムでは経済成長の夜明け、という感じで”やってやろうぜ!”とでも
言いたげな意欲を感じました。

カンザスのオーバーランドシティでは、資産の運用利益で十分喰っていけます、
とでも言いたげな圧倒的な裕福さ・・・全米3位の豊かな地域だったので、
それこそ有閑階級でした。

振り返って短期間の滞在による、端的な印象程度ですが、印象を得た後は
私はいつも裏取りをするので、大体の印象と大きく変わらない結果だったなと
思っています。

日本でも何がしかが行過ぎる時、法の整備が後手に回ってしまっていることに
原因を求められるときが多いように思います。例えば、偽装請負にしてもそうでした。

メルボルンは今度の選挙で、ギラードかアボッツか、という感じですが、
緑の党のBobBrown氏に私は好印象を持ちました。

メルボルンの人口問題で、矛盾しているのは、難民には難色を示しているくせに
移民には積極的だったということです。表向き経済成長には人口が必要だ、
という理由を人口増容認派はとっていますが、それは決してホンネではなく、
移民にくっついて流入する外貨の獲得が主なる狙いではないかと思われます。Brown氏は難民の受け入れに積極的でした。

オーストラリアの闇は、日本のようなワーキングプアに難民をはじめ、資産を
持たずに流入した移民1世が陥っていくこと、そして、アボリジニをはじめとする
既に落ちこぼれた人たちへの救済がほとんどないことです。

食いものにしているのは一体誰でなのか?何なのか?もう少し勉強しないと
見えてこない気がしますが、ひとつには資源をがぶ飲みする巨大なインフラ設備が
あるのでは?と疑っています。 アメリカでもそうですが、イギリスから難を逃れた人たちの
”空間”に対する渇望感は激しく、多くの人が抱く夢は郊外の一戸建てですが、
日本の一戸建てが5件分くらいの豊かさを意味しています。なので、インフラに
かかる投資は単純に考えても日本の5倍です。何もかも大きいちゃ大きい。
そのコストを誰が払っているのか・・・?

住宅ローン金利が8%のかの国ですが、友人に確認したところ、30年ローンが
主流だそうです。 100が8%で毎年成長すると30年後には931になります。
うーん、9.3倍。1億円の家は実質9億円ということです。実際には
元金が少しずつとはいえ減るので9倍まではいかないかもしれませんが
2-3%程度の金利でも35年ローンで家を買えば実質総額は倍です。
この9倍が実際にありえるとは思えないので、実際はどこかに着地点が
あるはずです。

友人は早くに返せたようなので問題ないと言っていますが、実際ローン完済
せずに転売益を狙うのが正しいようです。オーストラリアではキャピタルゲインが
非課税なのです。まず良い物件を選ぶ。そして転売に良い時期が来たところで
売って自分はより安い家に転居する。こうすると一応自宅は資産、と言い表す
ことができます。

また家計が赤字状態だと税制上優遇措置が与えられますから、実際には住宅ローン金利が税の役目を果たしているようです・・・。

家が大きいという以外は物質的には何も買えない生活をある意味
住宅ローンによって強いられる。一方預金には課税されますから、
お金を貯めるよりも住宅ローンに節約できるすべての金を突っ込む
のがもっとも合理的になる。それがオーストラリア不動産の実態の
ようです。

基本的にキャピタルゲインがエグジットということは、家を所有
している人にとっては、不動産価格が上昇局面にあってくれないことには破綻する、ということ、それとできるだけ早く上がってくれ、と
いうこと、そして、上がり続けるというのはこの世の中ないわけなので
ババを引く人にできるだけ早く手渡ししてしまったほうが良い、と
これはバブルを誘引する要因として働きますよね…

一体ババは誰が引くのか・・・


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