ネナンちゃんの成長は凄い。けど、まだ覚醒には至ってない。きっと今のこの成長は追い込まれた事による火事場のバカ力的なものだろう。覚醒というよりも、潜在能力がようやく日の目を見た……的な感じだと思ってる。
なにせ今までネナンちゃんは大切に大切にされてた。前には出なくて、後ろで安全に魔法を使ってたからね。戦闘だって遠くで行われてたわけだからね。
きっと今、本当の戦場の空気に当てられてる。
「ありがたい!」
「ああ、これなら!!」
ネナンちゃんによって自身の武器が通用するようになったジャル爺達はその勢いが増した。こうなったらメタリファーも彼らを無視はできない。自身の周囲でちょろちょろと動きまわってる彼らにもようやく髪の毛を向ける。
けど彼らもこれまでの戦闘で髪の毛には対処できるようになってた。流石はこの世界でも上位に入る強さを有してるだけある。
そもそもが大きさが全然違うから、小さすぎるがゆえに正確には狙えないって弊害が起きてそうではある。それに……
「危ない!」
「すまん! たすかった」
そんな風に彼らは上手く連携をしてる。誰かが危なくなったら、誰かがフォローをして危機を回避する。そんな美しい連携。そしてメタリファーへと攻撃を叩き込んでるんだ。
その縦横無尽な髪の毛は彼らの足場になってメタリファー自身を苦しめてる。こうなるとある意味で勇者よりも彼らが問題になってるだろう。メタリファー視点ではね。
なにせまだ勇者は時空間に対応する術をもってない。もしかしたら勇者の中にいるノアがなんとかしようと解析してるかもしれないが……流石に彼の知識だけでは難しいだろう。
その力は圧倒的にジャル爺達を上回ってるが、メタリファーには前提として時空間の力をどうにかできる術が必要だ。でないといくら攻撃をしても意味をなさない。
時空間の別の自分……それを引っ張ってくるだけだ。けど時空間の力で攻撃されたら、それは起きえない。
「勇者様……受け取ってください」
今……ネナンちゃんは自分自身だけである物を生み出した。いつもは私がネナンちゃんからあふれ出る力……それを使ってアクセサリーを作ってたけど、今作ったのは完全にネナンちゃんが自分自身で作り出したもの。
それは小さな玉? 宝石のようにも見える球体だ。流石にG-01のように芸術性を入れることは出来なかったみたい。仕方ない。アイに近づいてもらって勇者にそれを渡したネナンちゃん。
「これは……」
「私がジーゼ様から受け取った情報を元に作ってみました。きっとあの存在に対応できるはずです」
手のひらに包めそうなその球体を受け取った勇者は「ありがとう」とネナンちゃんに伝えた。そしてそれをどうするのかと思ったら聖剣に近づけてる。すると手元部分が形を変えてその球体がカチッと聖剣にはまる。
そして聖剣が不思議な光を帯びだした。きっとそれは時空間へと対応できる力の筈だ。
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