ドオォォォン! ドオォォォン! ドオォォォン!
そんな風に激しい音が響き、そして地面が揺れている。地面に木が刺さったり、岩が地面にめり込んだりしてる。でもそこは流石はサル。体が大きいといってもその素早さはかなりの物だ。つづけざまにサルが野々野足軽へと投げつけてきた様々なものを投げ返してる今の状況。足軽は最初はそれこそ投げつけるたびにゆっくりと腕を前へと向けてたけど、それも何回もやってると面倒になってきたから、ただ前に右手を出してる。そしてその手の先をサルに向けて、照準にしてた。けど……
(なかなか当たらないな)
力を使って撃ちだしてる訳だけど、結構適当に力を使ってるから、届かないのもあったりしてる。それに大体はサルの前に当たるというよりも、後方に刺さっていってる。それってつまりは足軽の見立て以上にサルが素早く動いてるという事なんだろう。
「あまり長く戦ってる訳にもいかないから、もうちょっと先を狙うように……」
そうやって立派な木を打ち出した。まっすぐに空中を突き抜けた木はぶつかった方の木を粉砕していく。けどどうやらサルにはギリギリよけられた。でも……
(今のは惜しかった)
足軽は今の感覚を参考にしながら、再び打ち出す。そして次はさらにちゃんとサルの動きを見て――
「ここだ」
サルがよけたタイミングで今度は岩を打ち出した。体が横に崩れてるその態勢では避けるのは厳しいだろう。けどどうやらサルは覚悟って奴が決まりきってるらしい。真っ先に拳を向けて岩を砕く。けど拳にもダメージが残ってる。明らかに左腕をかばうようになってる。少しずつサルの部位を損傷していけば、そのうちあいつは動けなくなるだろう。
けど……
「流石にそれは……性格が悪いか」
なんかちょっと哀れに思えてきた野々野足軽だ。実際あのサルはかなり狂暴そうな見た目をしてる。明らかにただのサルじゃないのは明白だ。なにせ普通のサルなら、人よりも小さいだろう。小学生くらいだろうか? それとも幼稚園生くらい? そこまでサルをちゃんと知らない足軽だ。けどこれだけはいえる。あのサルはどう考えても足軽よりもデカい。それに拳だって頭を握りつぶせそうなほどだ。あんなのに普通に遭遇したらきっと絶望を感じるものだろう。
普通の人は……でも足軽はあのサルに脅威やら恐怖は感じてない。今だってちょっとじゃれあってる感覚だ。だからあまり痛めつけるのもどうかと思ってしまってる。
「さっさと捕らえるか」
その結論に達した足軽は残ってた木々や岩を一斉に放つ。一斉といっても結構適当だ。きっとサルのあの動きならよけきれるんじゃないだろうか? という逆方向の信頼を足軽はしてた。
断続的に響く轟音と地面の揺れ。地上がよく見えなくなってしまったが、足軽には関係ない。足軽の力によって強化された目にはその姿ははっきりと映ってる。それによるとサルは予定通りまだ生きてる。虫の息みたいだけど。
なのでここでさらに追い打ちをかけて捕らようと足軽は動きだす。けどその時だっだ。あらぬ方向から新たな岩が飛んできた。
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