シャチの分類

これは過去にツイートした記録である。
ちなみに私のTwitterはこちらだ。
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虫は元気に育っている。私がそっと近づくと、動きをとめて、葉っぱの一部のフリをする。警戒しているのだ。私が恐ろしいのだ。
それは、私が地球上で最も強く、賢く、獰猛なシャチだからだと思っていたが、そうではないのかもしれん。
私が空っぽだからなのかもしれん。このちっぽけな虫も、ウンベラータの芽も、中身がギッシリ詰まっている。

私は、私は……
空気を抜き、クルクルと折りたたまれたくなった。そうすれば、少なくとも中身が無い訳ではなくなる。
小さくなって、携帯に適したフォールディングシャチになるのだ。薄く、軽く、防水機能付きだ。ヒヨコのポケットにも楽々入る。便利だ。

だが、そんなものはシャチとは言わんな。ペッタンコだ。

私が天井付近にプカプカ浮きながら深く深く沈んでいると。ヒヨコが会社から帰ってきた。
能天気にピヨピヨ笑いながら、シャチ！シャチにいいもの買ってきたよ！という。
いらん！
なんで！？
私はどうせ中身のない、怖くてキモい、ゆるキャラなのだ。
私はいっそ空気を抜いて、ペタンコになろうかと、考えているのだ。空っぽはスペースの無駄だからな。
ヒヨコにそう告げたところ、ヒヨコは不思議そうに言った。
でも、シャチはゆるキャラじゃないでしょ？うきわだし。ハンドルついてるし、乗り物よね。

………！！！
その通りだ！！

私は乗り物だ。哀れな浜辺の人間を広大な海へ導く乗り物なのだ。

見よ！このしっかりしたハンドルを！人間は波にさらわれないようにこのハンドルを握るのだ。
車も、飛行機も、船も、電車も中が空洞になっているのだ！私と同じだ。私は今も昔も誇り高い、有用な、自由な、世界の果てまでも皆を導く為の乗り物なのだ！！

良かった。
私はくまモンのやバリィさんの仲間ではなく、むしろスペースシャトルの親戚であった。
さあ、明日は月曜日だが、ヒヨコは会社が休みだ。ヒヨコよ、私に乗って大海原へ出るのだ。鮮やかな、2016年の夏をお前に見せてやろう！

で？
買って来たものはなんだ！？
何を買ってきたのかな？



可愛い！とヒヨコは言った。だが私は可愛いのではない。カッコイイのだ！