――放送席、そしてスタンドを真っ赤に染めてくれた前田選手ファンの皆さん、お待たせしました! ヒーローインタビューです! 今日のヒーローはもちろん、2000本安打、見事達成されました前田智徳選手です!
(大歓声の中、前田がダグアウトから小走りに登場。)
――前田選手、本当に本当におめでとうございました! 今のお気持ち、いかがですか。
いえね、あのー、えー、ねえ、凄い試合をみんなしてくれたんで、いやもうその事の方が、ちょっとびっくりしてるんですけど。えー、ほんとにね、えー、えー、ほんとベンチにいる、えー、後輩達ね、凄いですね。ありがとうございます。
――少し前の事から振り返らせていただきます。残り3本で地元広島市民球場に戻って来られました。昨日、どんなお気持ちでプレーされていましたか。
そうですね、あのー、その前の試合ね、あの、ノーヒットだったんで・・・。まあ予定では1本打つ予定だったんですけど(笑)、あのー、私の責任でね、あのー、チャンスで打てなくてね、えー、ほんとにね、えー、負けてしまったという事で、ちょっと引きずって来たんですけどね、あのー、幸いね、試合が、あのー、移動日じゃなく、試合があったんでね、もうそのまま試合に入る事ができたんで、何とか昨日、あのー、2本ね、まあ打たしてもらったんですけど、ただね、あのー、昨日もね、ほんとに惜しいゲームだったんで、できれば昨日も勝ちたかったですね。
――昨日2本打たれて残り1本。今日、球場に入られる時、報道陣の数、そしてファンの方がたくさんいらっしゃいました。物々しい雰囲気の中での球場入りでした。どんなお気持ちで球場に入られましたか。
あのー、やっぱり、まあ自分ね、あのー、個人の事でね、ここまで、あのー、えー、騒がれるって言うか、取り上げられるっていうのはね、非常に、自分としてはね、えー、残念な事なんでね、えー、ここまでのね、えー、チームの戦い方、えー、考えるとね、非常に悔しい思いばっかりなんですけど、あのー、まあ、その責任をね、非常に、自分がね、あのー、今シーズン、いいシーズンを送ってないという事で・・・、(涙声で)責任を感じてます(涙)。
――前田さん、ぐるっと見渡してみて下さい。広島市民球場、前田選手の偉業達成、こんなにたくさんの方が見つめてくれています。
そうですね、ほんとに、えー、ほんとね、あの、怪我をして、えー、チームの、えー、足を引っ張って来ましたけど、ほんとにね、こんな選手をね・・・、応援していただいて、ありがとうございます(涙)。
――8回の第5打席は、前田さんは9番目のバッターでした。あそこに並んでいる仲間達が繋いで繋いで前田さんに回してくれました。その時、打席に向かう時はどんなお気持ちでしたか。
まあ、もうほんとに、もう今日はね、ほんとに、えー、嶋がね、凄い逆転のホームラン打ってくれて、これで勝ったなと思ってね、もう回って来ないと思ってたんですけど(再び笑顔を見せる)、えー、ほんとにね、えー、みんなほんとに、東出にね、えー、アレックスに新井にね、もうみんなに・・・、ありがとうございます。
――そして打席に入られて、ライトに鋭い打球が飛んで行きました。その打球を見ながら走っている時、どんな事を思われましたか。
もうね、ほんとに最高の、えー、形で、回してくれたんで、えー、もうここでね、えー、打たないわけにはいかないと、まあ、打てるシチュエーションはできてるなと、信じて行きました。
――チームメイトみんなの力、そしてこのたくさんのファンの皆さんの後押し、素晴らしい2000本目になりましたね。
そうですね、あのー、ほんとに今日という日をね、もう、一生忘れる事はないです。ありがとうございます。
――思い返してみれば、18年、色々な事があったと思います。改めて振り返ってみられていかがですか。
いえ、もうほんとにね、えー、たくさんの方に、えー、助けていただいて、たくさんの方にね、えー、迷惑を掛けて来たんですけど、自分にできる事はね、こうやって元気にグランドで、えー、精一杯走る事、とにかく走れるようになりたいという事で、ほんとにね、トレーニング、色んな事をね、できる限りの事はやって来て、精一杯、ここまで来る事ができまして、えー、ほんとに、ありがたい、その気持ちだけです。その言葉しか、自分には言えないですけど、本当にありがとうございました。
――今、前田さんの言葉の中にもありました、怪我をされてからこの日を迎えるのは、夢のまた夢だとおっしゃり続けて来た事が、今日現実に変わりました。改めて今のお気持ち聞かせて下さい。
もうほんとにね、えー、こういうチャンスをね、与えてくれた、えー、球団やね、スタッフ、選手のみんな、裏方の方(かた)ね、そして家族、色んな事をね、支えてくれて、えー、色んなね、もう全てにおいて、嫌な顔をせずね、えー、手助けしてくれた事をね、ほんとここでね、ほんとに心からお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
――今もずーっと、たくさんのファンの方が、前田さんに声援を送り続けてくれています。最後に今一度、ファンの皆さんに一言よろしくお願い致します。
(主将らしい真剣な顔で)えーと、チームはね、えー、ここまで非常に苦しい戦いをしていますが、まだまだ、あのー、1か月以上残ってます。選手はね、一つ一つ、こつこつとね、トレーニング、色んな事を、みんなトレーニングに励んでやっています。えー、一つ一つ、えー、一つのね、勝ちを、ファンの方にね、えー、プレゼントする事によってね、ほんとに申し訳ない気持ちはありますが、まだまだ、強い気持ちを持ってね、選手一人一人、戦って行きたいと思います。ありがとうございました!(深々と礼)
――今日のヒーローは、見事2000本安打を達成されました前田智徳選手でした!
(前田コールが響く中、四方のスタンドにお辞儀を繰り返す前田。)