こんにちは
東京マイクロスコープ顕微鏡歯科アシスタントakiです🌷
今日は引き続き過酸化水素低温ガスプラズマ滅菌についてです。
滅菌サイクル
滅菌物に対して適切な滅菌サイクルを選定後、滅菌器のスタートボタンを押すと滅菌工程が自動的に進行する。滅菌工程進行中は、コンピュータ制御により重要な滅菌パラメータがモニタリングされており、万一問題があった場合は自動的に滅菌工程を中止し、使用者にアラームで知らせる。
過酸化水素低温ガスプラズマ滅菌器の1つであるステラッド100Sタイプを例にした場合、滅菌工程は大きく以下の6つの工程に分けられる。
1)プリコンディショニング工程
被滅菌物をより滅菌しやすい状態にするための前処理工程である。
被滅菌物を滅菌チャンバー内に入れ、ドアを閉め減圧を行う。規定の圧力まで達したところで低温の空気プラズマを発生させ、被滅菌物を加温し少量の湿気を除去し滅菌しやすい状態にする。終了後、滅菌チャンバー内に空気を導入し大気圧まで戻す。
2)減圧工程
過酸化水素の注入に先立ち、滅菌に関与しない滅菌チャンバー内の空気を排除するための工程である。高圧蒸気滅菌や酸化エチレンガス滅菌よりも減圧の程度は低く、1Torr(1Torr=0.13kpa=1mmHg)以下まで減圧される。
3)注入工程
高真空に威圧された滅菌チャンバー内へ、専用のカセットより過酸化水素溶液(約58%)数mLが気化した状態で導入される。
4)拡散工程
導入された過酸化水素を、被滅菌物の細部まで効率的に拡散させるために、圧力変化を加える。
5)プラズマ工程
プラズマ状態にするために最適な圧力に調整した後、高周波エネルギーが加えられ、導入した過酸化水素が低温のプラズマ状態となる。このプラズマ状態となった際に生成される各種活性種などの作用、ならびに過酸化水素の作用により微生物が殺滅される。
6)空気置換工程
高周波エネルギーが止められ、HEPAフィルターを通した清浄な空気がチャンバー内に導入され、大気圧状態となったところで滅菌が終了する。この際、プラズマ工程で生成された活性種は水蒸気や酸素といった安全で安定な物質となる。
医療施設で用いられている過酸化水素低温ガスプラズマ滅菌装置の1サイクルは、これら6つの工程が図3に示したように組み合わされた状態で進行する。
滅菌工程を通して、大気圧以下ですべての工程が進行する。滅菌温度は50℃前後と、酸化エチレンガス滅菌法と同程度またはそれ以下である。滅菌に要する時間は機種によりことなるが、ステラッド100NXエクスプレスサイクルでは約24分間である。滅菌工程終了後は、被滅菌物をただちに使用することが可能である。また、放射線滅菌のような特別な建物構造や、高圧蒸気滅菌法、酸化エチレンガス滅菌法で必要とされる各種配管や無毒化装置、ガス漏れモニタリング装置などは必要なく、電源のみで使用可能である。

参考文献 改訂第4版医療現場の滅菌

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今日は引き続き過酸化水素低温ガスプラズマ滅菌についてです。
滅菌サイクル
滅菌物に対して適切な滅菌サイクルを選定後、滅菌器のスタートボタンを押すと滅菌工程が自動的に進行する。滅菌工程進行中は、コンピュータ制御により重要な滅菌パラメータがモニタリングされており、万一問題があった場合は自動的に滅菌工程を中止し、使用者にアラームで知らせる。
過酸化水素低温ガスプラズマ滅菌器の1つであるステラッド100Sタイプを例にした場合、滅菌工程は大きく以下の6つの工程に分けられる。
1)プリコンディショニング工程
被滅菌物をより滅菌しやすい状態にするための前処理工程である。
被滅菌物を滅菌チャンバー内に入れ、ドアを閉め減圧を行う。規定の圧力まで達したところで低温の空気プラズマを発生させ、被滅菌物を加温し少量の湿気を除去し滅菌しやすい状態にする。終了後、滅菌チャンバー内に空気を導入し大気圧まで戻す。
2)減圧工程
過酸化水素の注入に先立ち、滅菌に関与しない滅菌チャンバー内の空気を排除するための工程である。高圧蒸気滅菌や酸化エチレンガス滅菌よりも減圧の程度は低く、1Torr(1Torr=0.13kpa=1mmHg)以下まで減圧される。
3)注入工程
高真空に威圧された滅菌チャンバー内へ、専用のカセットより過酸化水素溶液(約58%)数mLが気化した状態で導入される。
4)拡散工程
導入された過酸化水素を、被滅菌物の細部まで効率的に拡散させるために、圧力変化を加える。
5)プラズマ工程
プラズマ状態にするために最適な圧力に調整した後、高周波エネルギーが加えられ、導入した過酸化水素が低温のプラズマ状態となる。このプラズマ状態となった際に生成される各種活性種などの作用、ならびに過酸化水素の作用により微生物が殺滅される。
6)空気置換工程
高周波エネルギーが止められ、HEPAフィルターを通した清浄な空気がチャンバー内に導入され、大気圧状態となったところで滅菌が終了する。この際、プラズマ工程で生成された活性種は水蒸気や酸素といった安全で安定な物質となる。
医療施設で用いられている過酸化水素低温ガスプラズマ滅菌装置の1サイクルは、これら6つの工程が図3に示したように組み合わされた状態で進行する。
滅菌工程を通して、大気圧以下ですべての工程が進行する。滅菌温度は50℃前後と、酸化エチレンガス滅菌法と同程度またはそれ以下である。滅菌に要する時間は機種によりことなるが、ステラッド100NXエクスプレスサイクルでは約24分間である。滅菌工程終了後は、被滅菌物をただちに使用することが可能である。また、放射線滅菌のような特別な建物構造や、高圧蒸気滅菌法、酸化エチレンガス滅菌法で必要とされる各種配管や無毒化装置、ガス漏れモニタリング装置などは必要なく、電源のみで使用可能である。

参考文献 改訂第4版医療現場の滅菌