東京顕微鏡歯科医院☆Advanced Care Dental Office ☆秘書・日本医療機器学会第2種滅菌技士aki

顕微鏡だけの歯科医院。☆Advanced Care Dental Office 日本医療機器学会 第2種滅菌技士認定

感染

2020-01-10 21:33:00 | 医学情報
こんにちは
東京マイクロスコープ顕微鏡歯科アシスタントakiです🌷

今日は久しぶりに引き続き感染についてお勉強していこうと思います。

多剤耐性緑膿菌(MDRP)
MDRPはカルパペネム系、キノロン系、アミノグリコシド系の3系統の抗菌薬に対し全て耐性を示す緑膿菌のことをさす。

1.特徴
緑機菌は傷性好気性グラム陰性桿菌で、自然環境中に存在する代表的な菌の一種である(図4)。特に湿潤した環境を好み,水まわりより高率に検出される。健常人では腸管に緑際菌を保菌していることがある。典型的な緑膿菌は、ピオシアニンと呼ばれる緑色色素を産生し(図5), 培養すると固形培地上で金属様光沢を示し線香臭を放つなど、特徴に富む(図6)。通常は弱毒菌であり,健常者に感染症を発症させることはほとんどないが,免疫力の低下した人には感染し、あらゆる感染症を起こす。
イミペネム(IPM), シプロフロキサシン(CPFX), アミカシン(AMK)の3剤に対し,薬剤感受性試験にて耐性を示した緑膿菌をMDRPと判定する。MDD感染症は効果的な薬剤がなく、治療が困難であることから,日和見感染や院内感染の原因菌として重要視されている。










2. 感染症
基礎疾患をもち、感染防御能の低下した患者や、抗菌薬や免疫抑制剤が長期にわたり投与された患者に感染を起こす。特に、手術を受けた症例や,人工呼吸器、血管カテーテル,尿道カテーテルなどの使用があった患者に感染が高率に起こる。創感染症,尿路感染症,肺炎、角膜炎,外耳炎、化膿性発疹などの局所感染を引き起こすほか、局所感染や創傷などから血管内への感染によって全身感染を起こし、敗血症、続発性肺炎,心内膜炎, 中枢神経感染などの重篤な疾患へとつながる。特にMDRP腹膜炎や敗血症では確立した治療法がなく、エンドトキシンを産生するためショックを誘発しやすく致死率は非常に高い。MDRP感染の監視と初期治療はとても重要である。

3. 耐性機構
緑膿菌が多剤耐性を獲得する機構として,以下の7つの機構が挙げられる(図7)。


・内因性の耐性機構
「特定の抗菌薬の長期使用により、菌が本来もつ内在性の遺伝子が変化し耐性を獲得する耐性機構。
①ODNAジャイレース,トポイソメラーゼなどの抗菌薬標的蛋白変異(キノロン系耐性)
②D2ポリンの減少など細菌外膜の抗菌薬透過性の低下・変化(イミペネム耐性)
③薬剤能動排出ポンプの機能亢進(キノロン系耐性、その他の薬剤耐性, 消毒薬抵抗性)
④AmpC型β-ラクタマーゼなど抗菌薬分解酵素の過剰産生(広域セフェム系耐性)
⑤細胞表層多糖体であるアルギン酸莢膜多糖などを主成分とするバイオフィルムの産生増加

・外因性の耐性機構
菌が他の耐性菌株から伝達性のプラスミドを介し、耐性遺伝子を新たに獲得する耐性機構。
①メタロ-β-ラクタマーゼの産生(広域セフェム系耐性,カルバペネム系耐性)
②アミノグリコシドアセチル化酵素などの薬剤修飾不活化酵素の産生(アミノグリコシド系耐性)

これらの耐性機構が重なって、MDRPが出現することとなる。また,内因性のD2ポリンの減少と,外因性のメタローターラクタマーゼの産生が重なると,カルバペネム系抗菌薬に対し高度耐性を示すことが明らかとなっており、警戒が必要である。

4.今後の動向
緑膿菌は環境中に多く存在しており、消毒薬や抗菌薬に対する抵抗力が元々高く、病院環境においていったん定着すると長期間生息し、排除することは難しい。そのため、後天的にさらなる薬剤耐性を獲得したMDRPが検出された際には,緊急に感染対策を十分にとり、感染を最小限に抑えることが非常に重要である。
本邦でもアウトブレイクが起こり, MDRP感染症による死亡者が続出し問題となってきた。本邦でのMDRPの出現は、院内感染対策の重要さを再認識させることとな
り、多くの病院で診療科・病棟の枠を超えた監視が行われる先駆けともなった。現在では、3剤耐性だけでなく2剤耐性の監視も重要視され,薬剤使用の監視を含め感染対策をとるのが当たり前となってきている。

5.感染予防策
MDRP, 2剤耐性緑膿菌の場合,隔離や接触感染予防策の徹底を行い,室内に湿潤環境を作らないことが大事である。蓄尿による感染拡大はよく知られており、不必要な蓄尿は行わない。

参考文献 感染制御標準ガイド

感染

2019-09-28 23:19:57 | 医学情報
こんにちは
東京マイクロスコープ顕微鏡歯科アシスタントakiです🌷

朝晩の風に秋の気配を感じるようになってきましたね!
私はこの時期がちょっと物寂しくなりあまり好きじゃないんですよねー
でもすぐに年末❗️
それはそれで怖い
一年があっという間に……

それでは久しぶりに感染についてお勉強していこうと思います。

院内で問題となる微生物と感染症
1)細菌感染症

Point
①感染制御上問題となる細菌のほとんどは、ヒトの常在菌または環境中に存在する菌が耐性機構を獲得したものである。
②多剤耐性菌の感染症の多くは免疫力の低下した重症患者に発症し、抗菌薬が効かず治療に難渋し、時にショックを起こし死に至る。
③薬剤感受性試験結果で特に注目すべき抗菌薬は、グラム陽性菌ではバンコマイシン、グラム陰性桿菌についてはカルバペネム系・キノロン系・アミノグリコシド系である。
④耐性機構獲得は、内因性のものと外因性のものとに分けられ、特にプラスミドを介した耐性遺伝子の獲得が現在問題視されている。
⑤多剤耐性菌の感染症は院内で起こるものだと考えられていたが、近年、市中での感染も多く確認され、外来患者由来の菌についても監視が必要である。

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)
MRSAは、Methibillin-Resistant Staphylococcus aureusの略語で、抗生物質のメチシリンに耐性を獲得した黄色ブドウ球菌を意味する英語名に由来している。



1.特徴
黄色ブドウ球菌は通性嫌気性グラム陽性球菌で、顕微鏡下でブドウの房のように複数の菌が集団を形成しているのが観察される(図1)。
黄色色素ん産生し、培養すると固形培地上で黄色いコロニーを形成し、多くの株が溶血素をもつため、血液寒天培地にて溶血環がみられる(図2)。
黄色ブドウ球菌は、コアグラーゼと呼ばれるウサギ血漿を凝集させる酵素を産生するかどうか他のブドウ球菌と判別され、さらにオキサシリン(MPIPC)の薬剤感受性試験にてMIC≧4を示すものをMRSAと判定する。
黄色ブドウ球菌はヒトの常在菌の一つであり、健常人の20〜30%の割合で鼻腔や咽頭などから検出される。同様にMRSAを保菌している健常人も(笑)散見される。
MRSAは1961年に英国で最初に報告され、米国では1970年代に、本邦では1980年代になって報告されるようになった。MRSAは歴史も長く、これからもその動向は感染制御上、最も重要であるといえる。

2.感染症
エンテロトキシン、毒素性ショック症候群毒素、表皮剥脱毒素、溶血素などあらゆる病原因子を有し産生するため、多くの感染症を起こす。特に皮膚・軟部組織疾患(SSTIs)の代表的な原因菌で、伝染性膿痂疹(とびひ)、毛包炎、せつ、よう、皮下膿瘍などの表在性皮膚疾患、蜂窩織炎、ひょう疽などの深在性皮膚疾患を惹起する。
また、毒素性ショック症候群(TSS)、ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)、新生児TSS様発疹症(NTED)、食中毒などの毒素性疾患と関連する。耐性菌であるために治療に難渋し、敗血症、感染性心内膜炎、肺炎、骨髄炎、髄膜炎などの深部感染症を起こすと重篤となり、死に至ることもある。

3.耐性機構
ペニシリン系抗菌薬をはじめとするβ-ラクタム系抗生物質は、細菌の細胞壁を構成するペプチドグリカンの合成を阻害することで作用する。
これに対して、ペニシリン耐性黄色ブドウ球菌はペニシリン分解酵素を産生することで薬剤耐性を獲得した。
そこで、これらの細菌に対しても有効な、ペニシリン分解酵素によって分解されないメチシリンが開発された。
しかしながら、β-ラクタム剤が結合できないペプチドグリカン合成酵素(PBP2 ’)を作ることでβ-ラクタム剤の作用を回避し、メチシリン耐性機構を獲得するMRSAが出現した。このPBP2 ’という蛋白質はmecAという遺伝子にコードされており、現在この遺伝子はDNAカセット染色体(Staphylococcalcasette Chromosome mec ;SC Cmec)と呼ばれる部分に、他の薬剤耐性遺伝子とともに存在していることが解明されている(図3)。
このためMRSAは、黄色ブドウ球菌の治療薬であるβラクタム系抗菌薬(ペニシリン、メチシリン、クロキサシリン、オキサシリン、第1・2・3世代セフェム)のほかに、マクロライド系、アミノグリコシド系、テトラサイクリン系抗菌薬など種々の薬剤に対し耐性を示す。
なお、SCC mecにはI〜X Iもの種類があることが報告されており、世界には大きく分けて5つのクローンが存在していることが明らかになっている。本邦ではSCC mec Ⅱ型を示し院内感染型と呼ばれるNY/Japanクローンが多くを占める。



4.今後の動向
近年ではcommunity- acquired MRSA(CA- MRSA)と呼ばれる市中で感染する MRSAが出現し、CA- MRSAの強毒株の感染により欧米では死亡例が出ており、本邦においても外来診療でも留意が必要となっている。また、 MRSAの治療の切り札としてバンコマイシンが用いられているが、近年、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)の院内感染の広がりがみられ、VREからバンコマイシン耐性遺伝子が MRSAに伝搬されることが危惧されている。
問題となるバンコマイシン耐性遺伝子はvan Aと呼ばれ、プラスミドを介して伝搬する。2002年にはVREのvan Aを獲得したバンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)の出現が報告された。1996年のバンコマイシン低度耐性黄色ブドウ球菌(VISA)の発見をはじめ、β-ラクタム系抗生物質との併用によってバンコマイシン耐性が発現するbeta-lactam antibiotic induced vancomycin- resistant MRSA(BIVR)も出現している。
VRSAはSCC mec Ⅱ型のクローンから容易に生じしやすいことが知られており、バンコマイシンの使用と薬剤の併用には注意が必要である。

5.感染予防策
MRSAの場合、接触感染予防策が適用である。
80%エタノールが消毒薬として有効である。

参考文献 感染制御標準ガイド

感染の知識

2019-06-05 12:35:04 | 医学情報
こんにちは
東京マイクロスコープ顕微鏡歯科アシスタントakiです🌷

関東もそろそろ梅雨入りですね
ジメジメして、お洗濯など嫌な時期ですよねー

それでは今日から感染についてお勉強していこうと思います。

病院感染の特徴
Point
①病院感染は、医療施設内において感染の機会を得て発症する感染症である。
②病院感染の対象となる入院患者は何らかの基礎疾患を有し、さらに医療行為も加わって感染防御能が低下している場合が多い。
③病院感染は、弱毒病原体によって起こる場合も多く、さらに耐性菌が占める割合が高い。
④医療従事者が院内で感染した場合も病院感染の範疇に含まれる。
⑤病院感染と対比して使用される概念として市中感染がある。

病院感染の定義
「病院感染」は主に入院中の患者が医療施設内において感染の機会を得て発症した感染症のことである。
入院患者は何らかの基礎疾患を有し、診療行為による医原的な要因も加わって感染症を起こしやすい状況となっている。そのため、病院感染の原因となる病原体は、弱毒のいわゆる日和見病原体も多く含まれている。
病院感染と判断する一つの基準としては、入院48時間以降に発症した感染症を発症した場合を病院感染として扱う場合が多い。これは感染症の潜伏期間などを考慮して定められた基準であるが、48時間というのは一つの目安であり、さまざまな病原体の特徴を考慮すると、この基準だけで病院感染と断定できるわけではない。
また、病院感染の対象は患者に限らず、院内で働く医療従事者が院内で感染した場合も病院感染の範疇に含まれる。職員の感染は、針刺しなどの業務に関連して発症する場合もあるが、インフルエンザやノロウイルス感染症のように、院内で患者や他の職員から病原体が伝播する場合も考えられる。
最近では「病院感染」という用語に加えて「医療関連感染」という概念も広く用いられるようになってきた。これは医療施設だけではなく、介護福祉施設や在宅医療などを含めた広い範囲を対象としている(図1)。



すなわち感染のリスクは入院中の患者に限定されず、介護福祉施設などに入所中の人でも高いと考えられるため、これらを包括した広い概念に用いられる用語である。
「病院感染」と対比して用いられる用語として「市中感染」がある。これは、通常の社会環境で暮らしている人に発症する感染を意味している。基本的に市中感染の患者は感染症のリスクを有しておらず、健常人の感染症と捉えることができる。しかし、入院前に糖尿病などを指摘されていながら、無治療の状態で感染症を発症した場合は、分類上は市中感染に入るかもしれないが、感染のリスクにおいては病院感染とほぼ同等と考えられる。

病院感染の要因となる疾患や医療行為
入院患者は何らかの基礎疾患を有しており、それに伴って宿主の防御能の低下が認められる。しかし、基礎疾患といってもさまざまであり、高血圧や精神疾患のように宿主の防御能にほとんど影響を与えない疾患もあれば、白血病や糖尿病などのように明らかに防御能の低下を考慮すべき疾患もある(図2)。また、入院後の投薬や手術なとの医療行為によっても、二次的に感染のリスクが高まる場合がある。これら医原性の要因もその種類によって障害を受ける防御能に差が認められる(図3)。
そのため、各疾患および医療行為によって、防御能のどの役割を担っている部分が障害を受けるかを理解しておく必要がある。



1.皮膚のバリアーの機能低下
皮膚はその表面の角質層により、体の外に存在する病原体が体内に直接入らないように強固なバリアーとなっている。入院患者は血管カテーテルの留置によって、皮膚のバリアーとして機能が障害され、外部からの菌の侵入を安易にしている。
さらに、外科的手術を受けた症例では創部から菌が侵入し、創部感染のリスクが高くなる。褥瘡も圧迫による血流の低下によって組織の壊死が起こり、さらに好発部位の仙骨部では便中の細菌による汚染を起こしやすく、局所の感染が起こりやすくなる。
2.生理的機能の障害
人工呼吸器管理下の患者では、挿入された気管チューブによって気道分泌物が排除されにくくなる。また、気管チューブや各種カテーテルは異物として作用するために、その表面で細菌が増殖しバイオフィルムを形成すると、菌の排除はより一層難な状況となる。尿路結石や膀胱がんなどでは、尿流の低下によって尿が停滞し、菌が増殖しやすくなるために複雑性尿路感染症の誘因となる。
3.好中球機能の障害
抗がん剤の投与による骨髄制御が、抹消血白血球数の減少を招き、発熱性好中球減少症の原因となる。さらに糖尿病は高血糖によって好中球機能を低下させる。ただし、糖尿病患者でも血糖がきちんとコントロールされていれば健常人とほぼ変わらない防御能を示すが、高血糖が長期間続くことで、動脈硬化の進行による組織の血流低下が起こり、下肢のの壊死などが起こりやすくなる。
4.獲得免疫の障害
H I V感染症は、CD4リンパ球の障害による細胞性免疫能の低下が認められる。臓器移植では拒絶反応を防ぐために、シクロスポリンなど免疫抑制剤の投与が必須となり、主に細胞性免疫が抑制される。副腎皮質ステロイドの投与はサイトカイン産生などを抑制し、リンパ球の機能障害を引き起こし、液性および細胞性免疫の機能が低下する。
5.耐性菌の選択・増殖
抗菌薬は本来、治療の目的で投与されるべきものであるが、予防的投与や必要以上の広域抗菌薬投与で耐性菌感染症のリスクげ高くなる。日和見感染症を起こしやすい病原体は、前述のように弱毒であるが、さらに細菌の場合は各種の薬剤に耐性を示す場合が多い。すでに各種の耐性菌を保菌した状態で入院する患者、すなわち持ち込み例もいるが、入院後に他の保菌者・感染者から伝播したり、院内の環境から、あるいは医療スタッフを介して伝播する例も多い。
ただし、いったん耐性菌が患者の体内に入ったとしても、いきなり感染症を引き起こすことはまれであり、保菌状態のまま経過する。その後、抗菌薬が投与されると感受性を示す多くの常在菌は抑制され、その代わりに耐性菌は選択的に増殖が可能となる。さらに宿主の感染抵抗性が減弱した状態が続くと、耐性菌は増殖し続け、体内の深部に侵入して感染症を発症する(図4)。もしも、その後に適切な抗菌薬による治療が行われなかったり、宿主の防御能が改善せず菌の排除ができなければ重篤な感染に至ることも少なくない。




参考文献 感染制御標準ガイド

表面の変化、付着物、腐食、劣化、膨潤および応力腐食割れ(8)

2019-04-04 21:52:51 | 医学情報
こんにちは
東京マイクロスコープ顕微鏡歯科アシスタントakiです🌷

もう4月…皆様、お花見はされましたか?
私は先日目黒川でしてきましたー

それでは今回で最後になりましたが、表面の変化、付着物、腐食、劣化、膨潤および応力腐食割れについてお話をしたいと思います。

金属/腐食ー隙間腐食
表面変化の種類



隙間腐食は局部的に加速された腐食なので 、腐食生成物の隙間の部分のみ付着する(鉗子の中間部の関節部の隙間、プローブの関節部の隙間や先端測定部のはめ込みまたはねじ込み部分など)。隙間腐食は、金属と他の材料との隙間に生じることもある。

残留物(特に有機残留物)を隙間腐食と間違えることが多い。

発生原因
隙間腐食は、周囲の条件に合致してしまうと、微細な隙間に生じる傾向がある(乾燥不十分など)。
その条件下では不動態皮膜が侵食されやすくなる。金属表面への酸素供給が妨げられているので、不動態皮膜はもはや再生できない。この錆は隙間や割れ目から広がっていく。
水分が存在する場合には、特に高い塩分濃度で錆が発生する。

推奨する処理方法
通常は他の器材への錆の拡散は避けられる。しかし顕著な場合には、錆びていない器材に影響を及ぼすこともある。

ゴム/脆化
表面変化の種類



発生原因
ゴム製品は不適切な洗浄剤や消毒剤を使用した場合に損傷を受ける。
これは弾力性がなくなり、素材に損傷を与え、結果として摩耗や損傷を早める。

推奨する処理方法
なし(修復は不可能)。

予防対策
製造業者が指定する適切なプロセスケミカルズを使用する。

リスク評価
損傷を受けた製品は求められる必要性及び安全な使用目的を果たせないため破棄しなくてはならない。

参考文献 歯科用器材の再生処理 器材の性能を長期間維持するために

表面の変化、付着物、腐食、劣化、膨潤および応力腐食割れ(7)

2019-02-24 23:01:28 | 医学情報
こんにちは
東京マイクロスコープ顕微鏡歯科アシスタントakiです🌷

今日も引き続き表面の変化、付着物、腐食、劣化、膨潤および応力腐食割れについてお話をしたいと思います。

金属/腐食ー接触腐食
表面変化の種類



ステンレス銅製器材のみを使用した時には、接触部分が僅かに腐食して小さな点状またはリング状の青褐色の変色を生じることがある。
この種の接触腐食は、孔食と間違えられることが多い。しかし、慎重に精査すると腐食部分の中心に孔がないことがわかる。このような個所は僅かに擦られていて表面はむしろ平滑である。

発生原因
接触腐食は、ステンレス鋼と非鉄金属(洋銀、真鍮、銅)の組み合わせで頻繁に認められ、湿気などの周囲の状況によって接触部分やその外側にも腐食層が生じる。ステンレス銅製器材のみで発生する接触腐食は、これまで洗浄装置を用いて洗浄を行った場合に見られた。接触部分での微細な摩擦によって不動態皮膜が部分的に磨耗する。それによってその部分は一時的に腐食保護層がなくなり、上記の表面変化を生じる。

推奨する処理方法
異種材料の組み合わせで造られた器材(真鍮とステンレス鋼)や、器材セットに新(ステンレス)旧(クロムメッキ)の器材が混在している場合、クロムやニッケル層の剥げたあるいは不完全な器材(管腔ハンドル付きのキュレットやリトラクターなど)によって、この種の腐食は洗浄中と同様に滅菌中にも発生する。

ステンレス鋼製器材のみを使用している場合には、表面変化は軽微で腐食のある器材にも他の腐食のない器材に対しても危険性はない。
このような表面の状態は、数回再生処理サイクルを繰り返すと消失する。酸性洗浄剤と中和剤によってこれらの付着物は通常直ちに溶解して、逆に不動態化が加速される。

ニッケルやクロムをメッキした器材の保護層が損傷を受けて接触腐食が発生した場合は、通常これを修復する方法がない。もし疑問点がある場合には器材の製造業者に問い合わせること。

予防対策
ステンレス銅製器材を超音波洗浄や洗浄装置などで洗浄するときには震動を避ける(例えば洗浄/消毒装置、あるいはウォッシャーディスインフェクターを確実に水平な状態で収納する)。
保護層の損傷が著しい(剥げ落ちた、剥がれた)ニッケルやクロムメッキの器材は、ステンレス銅製器材と交換する。

リスク評価
ステンレス銅製器材のみを使用している場合は、少量の汚染物質では損傷を起こすほどの腐食の原因になり難いため、器材にある既存の腐食の有無を問わずリスクはないと言える。この場合は患者への危険性もない。しかしステンレス銅と非鉄金属の器材を併用するときには、保護層の破損の程度によっては、損傷のない器材にかなりの腐食が発生することがある。

金属/腐食-外部要因および散在する錆/その結果生じる錆
表面変化の種類


発生原因
・個別に不規則に散在する微量の錆
・褐色で大部分が局在化した腐食の原因となる汚染物質(錆の発生)
・錆の著しい製品と広い面積で直接接触すると、接触面に錆による損傷が起こることがある。
・配管から出た微量の錆
・鉄分や錆を含んだ水の使用、あるいは微量の錆を含んだ蒸気の使用
・銅製のバーなど、耐腐食性のないディスポーザブル製品に付着した錆は、滅菌中な移動して他の器材全面に分散することがある。
・保護層が損傷または完全に剥がれてしまった(長期間使用した器材に多い)、耐腐食性のない鋼の再生処理

推奨する処理方法
ステンレスに限り、ほんの僅かな表面的な侵食であれば、酸性洗浄剤でその汚染物質を除去してもよいが、その器材の表面に損傷が生じなかったか、その後チェックする必要がある。損傷が表面的なものであれば、その器材の製造業者あるいは専門の修理業者が機械的に処理することも可能である。

予防対策
・炭素鋼製のディスポーザブル品は再生処理してはならない。
・ステンレス鋼製でない器材は廃棄するか、別々に処理する。
・廉価な未承認の製品の使用は避ける
・微量の錆が洗浄や滅菌の工程に混入しないよいに、配管内の有効なの防錆のための構造的処理を施す

リスク評価
・一つでも錆の生じた器材があると、同じバスケットに載せた器材全てに腐食損傷から発生する原因となる。
・微量の錆が配管から混入すると、処理した多数の器材に影響を及ぼして使用不能にすることがある。

参考文献 歯科用器材の再生処理 器材の性能を長期間維持するために