カリフォルニア便り ーFROM OQ STUDIOー

~南カリフォルニアから~
陶芸家の器と料理、時々王様の日々

彼が愛した国

2011年02月16日 | People

 

今から65年余り前、一人のアメリカ人建築家が特別な任務を負って海を越えた。

そして彼はこの国に魅せられ、2度と祖国に戻る事は無かった。

誰よりもこの国とシルクを愛した彼の人生はとても謎めいている。。。。。


もう何度、彼が熱い情熱を持って暮らしたこの家を訪れたことだろう。

 

 

彼がこつ然と姿を消した後も彼の残した建築は、静かに時の流れとともに生き続けてきた。

 

 

 

この場所に立った時に私が抱く気持ちを言葉で表現することはとても難しい。



 

祖国を離れ、渡った先の国をこれほどまでに愛した彼に深い敬意を抱くのは、

私もまた、自国を離れて暮らしているからなのかな。

西洋の建築家の目でアジアの文化を解釈し、

ここで生まれ育ったで人々が見落としがちな美を様々な形で切り取り、

彼の建築の中に再現している。

命の趣くままに成長し続ける、熱帯の生命力溢れる植物達、

野生動物、豊かな水、熱帯の気候、食、そしてシルク。

彼の建築の中で全てが共存して、永遠の美を造り上げている。

「建築は人が創り出す美の原点」

ここに来るたびに、私はずっと信じ続けている事が間違いではないと確認する。

 


 

彼が命がけで愛した国を私も愛している。

この家で暮らしていた頃、彼は幸せだった。

私はそう信じたい。



 



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