松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆外来語(三浦半島)

2012-09-12 | 1.研究活動
 お役所で使われる言葉には、外来語が非常に多く、わかりにくいと言われることがある。 
 議員さんの質問の典型パターンに、提言のカタカナを数えて、これでは分かりにくいだろうと指摘する方法がある(なかには日本語に変えるともっとわかりにくくなるものもあるにもかかわらず)。役所から離れて10年もたつが、議員さんは、今でも、このパターンで質問をしているのだろうか。
 役所言葉を見直そうという動きは、かなり以前からあり、すでに昭和27年(1952)の文部省国語審議会の建議のなかで、「将来は, 公用文の「殿」も「様」に統一されることが望ましい」とされているとのことである。戦後といわれた時代から言われ続けてきたということで、そこから、役所の仕事ぶりのスローモーさを感じる人もあるだろうが、私は、逆で、状況は少しずつではあるが、変わっていくということの証左になっている。というのも、全国で自治基本条例づくりを手伝うなかで、これは自治の文化を創るものと言っているが、自治の文化などできるのかという人に対して、自治の文化づくりも、目には見えないが、少しずつではあるが、前に進んでいるのだと言う状況証拠になるからである。
 お役所言葉の見直しが、理論的なバクボーンをもって取り組まれるようになったのは、NPM(ニュー・パブリック・マネージメント)の考え方が、自治体に導入されるようになった1990年ころからだろう。NPMは、本来は、住民自治から立論することができるはずであるが、スタートが、イギリスで英国病を克服する野に有効であったと喧伝されたことから、政府部門の縮小、競争原理の導入、規制緩和・自由化等という、やや歪んだ形になって展開されてしまった(それが今日、NPMが衰退した理由でもある)。お役所言葉問題も、もっぱら市民サービス、市民に愛される役所という問題に矮小化してしまったことになる。
 ただ、近年になって、お役所言葉を協働という観点から見直すという動きも出てきた。公共を担っている市民をバックアップするには、積極的に市民と情報を共有することが前提となるが、いくら自治基本条例等で、情報提供や情報共有するための方法や手続きを定めても、その情報を説明する文章や言葉が分りにくく、市民に伝わらなければ何にもならないからである。
 協働から論じることで、お役所ことば見直しも新たなステージに入ってきたのだろう。
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