松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆中核自治体の矜持(本郷台)

2016-10-11 | 1.研究活動

 政策形成実践研究の第7回である。

 研究のポイントは、水平補完、垂直補完であるが、水平連携ができる条件の一つが、中核自治体の矜持である。連携の場合、そのまとめ役は、大きな事務負担を負うが、それを「よし」と言って肩代わりする自治体がいて初めてうまくいく。

 昨年の調査でも、東三河広域連合を取り上げたが、ここでキーとなっているのが豊橋市である。損得勘定では、豊橋市は、負担部分が多くなるが、それでも広域連合を取り仕切るのは、自分たちが頑張らないでどうするという、東三河の中核都市としての矜持ゆえである。前回の提言では、この点について、「大きなまちの責任感と小さなまちの連帯感」と書いた。

 逆に言うと、どんぐりの背比べ同士で連携することは容易なことではないということである。今回の研究会では、地域リーダー都市としての役割を都道府県が担えないかという問題意識である。

 そのうえで、次の問題は、実際、都道府県がそれを担えるかである。担えるには、余力を生み出さなければいけないが、その方法の一つが、県から中核都市への権限移譲である。現在いくつかの都市は、中核市になれる体力があるのに、中核市になってしまうと、自前で負担するのが多くなるからと言って、損得勘定で、中核市になるのを避けているところがある。そうではなく、中核都市としての矜持を持って、その地方のリーダーとして、挑戦してほしいということになる。

 地方分権が進められ、基礎自治体に権限が下ろされた。それが善とされるが、なぜそれが良しとされるのかといえば、身近なところで行う行政が一般的には住民の利益にかなうからである。しかし、基礎自治体のその体力がない場合は、事実として住民にサービスができず、結局、住民の幸せにつながらない。

 地方分権は、国や県、市町村サイドからものを見ることになりがちで、逆に、住民から見れば、効率的で質の良いサービスを提供するものならば、それが県であっても市町村であっても、どちらでもよい。市町村の仕事を県に逆移譲できないかという今回の研究は、住民サイドから、地方分権を見直す試みでもある。

 どんな提言になるか、これからであるが、楽しみである。

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