松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆地域福祉計画の審議会に傍聴に行く(横須賀市)

2023-11-30 | 支える人を支える政策

 担当者からの連絡で、パブコメ意見の中間報告もあるということで、傍聴に出かけてみた。パブコメに意見を出し、続いて傍聴にくるなど、私はクレイマーだと思われているのだろう。

 あらためて考えてみると、たくさんの委員会をやって、傍聴者を迎い入れたことはたくさんあるが、傍聴に行ったことは、ほとんど記憶がない。珍しい体験ゆえに、感じたこと、新たな発見があった。

(1)委員会の運営の仕方が、私とだいぶ違う。この委員会は、大学の先生が座長であるが、静かで粛々とした議事運営であることに驚いた。委員会に笑い声もない。

 私の場合は、委員会が始まる前は、みんなに話しかけ、大いに冗談をいい、それから委員会が始まる。会議そのものが温まっているから、会議では、笑い声も絶えないし、みんなが活発に意見を出す。何もしゃべらない人がいれば、こちらから声をかけて、何かを話してもらう。ずっと、そういう会議をやってきた。静かで粛々と進む委員会は、ある意味、興味深かった。

(2)役所の提案を承認する会議運営になっているのではないか。ここは大事な点なので詳しく書いておこう。

・パブコメの中間報告があったが、この2週間で意見を出したのは、私だけだった。

・ただ、委員に配布された資料には、私の意見は、簡単に概要がまとめられていた。要するに、「福祉専門職に関する記載が消極的である。市役所は、もっと積極的に取り組みべきである」くらいの記載である。これでは、何が消極的で、どうしたらよいかが分からない。意見がたくさん出たのなら、省略するのもやむを得ないが、この1件だけなのにである。

・しかも、私の意見に対する回答は、「現在調整中」と書かれていた。たしかに、簡単には回答が難しいだろうから結論が出ないのはやむをえない。

・だから、今回の中間報告は、出された意見の内容を議論するのではなくて、パブコメの回答案の体裁(書式等)を検討する会という位置づけだった。

・会議全体では40分くらいで終わった。

 わざわざ集まってもらって、もったいないと思った。私だったら、

・提出された意見をできるだけ詳しく整理して、みんなの意見を求めるだろう。

・おそらく、さまざまな意見が出るだろう。賛成、反対、何でもよい。出されて意見をめぐって、委員同士で議論する場をつくる。

・そのうえで、大きな方向性が出るだろうから、それを了解してもらって、細部は事務局と相談して「回答」にまとめるだろう。

 ここで感じたのは、この地域福祉計画の検討委員会は、みなで大いに議論する場ではなくて、役所が出した「回答」を検討するような場として設定・運営されてきたのではないかということである。

 しかし、そもそも地域福祉計画は、役所主導では進まない。市民や福祉当事者が当事者とならなければ進んでいかない仕組みである。それなのに、その計画づくりが、役所主導になっていては、おかしな話である。計画づくりから、市民や福祉従事者が、当事者として大いに意見を出し、議論し、決めていくという仕組みでないとおかしい。なによりも、みんなに集まってもらって、書式の確認は、もったいない話である。

 福祉従事者を支える条例づくりが、地域福祉計画の内容にインパクトを与えたが、この策定プロセスにも見直しを迫ることになるのではないか。

 そこで、私としては、まずは、この委員会の1回目からさかのぼって、どのように運営してきたのかを調査してみようと思う。その際の仮説は、委員が自分たちで考えていくのではなく、「行政がたたき台を出し、それについて、意見を言う方式をとってきたのではないか」というものである。

 また、仮説の2は、質問が中心で、意見の提出や活発な議論が行われなかったのではないか。発言者は、限られていて、一度も発言しないという人もいるのではないかというものである。横須賀市の議事録は、たしか氏名入りだったので、今もそうなら、その確認ができる。

 仮説どおりになるかどうかは分からないが、一度、きちんと確認してみようと思う。

 そして、この仮説が正しければ、そのうえで市民や福祉従事者が当事者になれる策定プロセスを提案したいと思う。こうしたやり方は、別に横須賀市だけのやり方でなく、普通に行われていると思うからである。そして、このあたりは、地域福祉計画策定ガイドラインの見直しにも、つながっていくと思う。あるいは、委員会の運営方法の問題にも波及するかもしれない。

 やはり、地方自治は、現場に足を運んでなんぼである。そのうち、議事録が公開されれば、資料や発言内容は確認できるが、そこから、こうした問題意識まで持つことができるのだろうか。感覚が鋭い人ならできるかもしれないが、私にはきっと無理だろう。政策課題は研究室ではなく、現場で起こっているとあらためて実感した。

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