松下啓一 自治・政策・まちづくり

【連絡先】seisakumatsu@gmail.com 又は seisaku_matsu@hotmail.com

☆論文の進捗状況-要綱設置の懇話会(三浦半島)

2013-11-13 | 1.研究活動
 要綱設置の市民懇話会は、従来、簡単に違法とされていたが、最近、大きな変化が出てきた。

 出雲市では、自治基本条例の市民懇話会を設置していたが、これが地方自治法の「附属機関」にあたり、要綱設置で運営されたことは違法であり、支出(委員への報償費・費用弁償)は違法な公金支出として、市長に対して損害賠償を請求された。

 平成25年8月25日松江地方裁判所判決は、この請求を退けた。
 まず、地方自治法第138条の4第3項の附属機関の解釈では、制度の趣旨から、濫設置には当たらず、かつ、議会による民主統制の必要のない機関であれば、首長の合理的な組織編成権限に委ねられており、「附属機関」には当たらず、附属機関条例主義の適用外となるとした。
 次に、その判断基準は、�常設的機関ではないといえるか否かという形式的要素、�民意を反映させる実質(いわゆる市民参加型審議会)を有するか否かという実質的要素 を総合して判定することとした。
 その結果として、原告の請求は理由がないとされたのである。

 有力学説も、ここにきて、いくつか方向転換したし、また判決も、今回の松江地裁判決を契機に、大きく方向転換していくだろう。

 こうした状況になって、私自身、いくつかの反省点がある。

 政策法務の論者がほとんど音なしの構えのなか、ほとんどお一人で新しい流れをリードしたのが、兼子仁先生である。大先生でもあり、かつご高齢でもあるが、常に新しい問題意識を持って、取り組んでおられるのがすごいと思う。翻って、私自身、問題意識を持って、1、2年ほど前から、論文を書くぞ書くぞと言っていたのに、後回し、後回しにしてきたのが、恥ずかしい限りである。

 そんななかで、後追いのような論文を書くのは気が引けるが、実務的には、附属機関と準附属機関の線引き等も課題になるので、そういった点も含めて論文を書いてみよう。

 ただ、困ったこともある。一般に政治学の論文と比べて、法律学の論文のほうが、パターンが決まっていて、だんぜん書きやすいが、最近、単行本ばかり書いていたので、地道な論文が書けなくなってしまったからである。論文の小見出しを思わず「続く「違法」判決」といったように、中吊り風に書いてしまうのである。このあたりのリハビリを兼ねて、がんばって論文を書いてみようと思う。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ☆新城市長選挙が終わった(三... | トップ | ☆若者の社会参画(本郷台) »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

1.研究活動」カテゴリの最新記事