要綱設置の市民懇話会は、従来、簡単に違法とされていたが、最近、大きな変化が出てきた。
出雲市では、自治基本条例の市民懇話会を設置していたが、これが地方自治法の「附属機関」にあたり、要綱設置で運営されたことは違法であり、支出(委員への報償費・費用弁償)は違法な公金支出として、市長に対して損害賠償を請求された。
平成25年8月25日松江地方裁判所判決は、この請求を退けた。
まず、地方自治法第138条の4第3項の附属機関の解釈では、制度の趣旨から、濫設置には当たらず、かつ、議会による民主統制の必要のない機関であれば、首長の合理的な組織編成権限に委ねられており、「附属機関」には当たらず、附属機関条例主義の適用外となるとした。
次に、その判断基準は、�常設的機関ではないといえるか否かという形式的要素、�民意を反映させる実質(いわゆる市民参加型審議会)を有するか否かという実質的要素 を総合して判定することとした。
その結果として、原告の請求は理由がないとされたのである。
有力学説も、ここにきて、いくつか方向転換したし、また判決も、今回の松江地裁判決を契機に、大きく方向転換していくだろう。
こうした状況になって、私自身、いくつかの反省点がある。
政策法務の論者がほとんど音なしの構えのなか、ほとんどお一人で新しい流れをリードしたのが、兼子仁先生である。大先生でもあり、かつご高齢でもあるが、常に新しい問題意識を持って、取り組んでおられるのがすごいと思う。翻って、私自身、問題意識を持って、1、2年ほど前から、論文を書くぞ書くぞと言っていたのに、後回し、後回しにしてきたのが、恥ずかしい限りである。
そんななかで、後追いのような論文を書くのは気が引けるが、実務的には、附属機関と準附属機関の線引き等も課題になるので、そういった点も含めて論文を書いてみよう。
ただ、困ったこともある。一般に政治学の論文と比べて、法律学の論文のほうが、パターンが決まっていて、だんぜん書きやすいが、最近、単行本ばかり書いていたので、地道な論文が書けなくなってしまったからである。論文の小見出しを思わず「続く「違法」判決」といったように、中吊り風に書いてしまうのである。このあたりのリハビリを兼ねて、がんばって論文を書いてみようと思う。
出雲市では、自治基本条例の市民懇話会を設置していたが、これが地方自治法の「附属機関」にあたり、要綱設置で運営されたことは違法であり、支出(委員への報償費・費用弁償)は違法な公金支出として、市長に対して損害賠償を請求された。
平成25年8月25日松江地方裁判所判決は、この請求を退けた。
まず、地方自治法第138条の4第3項の附属機関の解釈では、制度の趣旨から、濫設置には当たらず、かつ、議会による民主統制の必要のない機関であれば、首長の合理的な組織編成権限に委ねられており、「附属機関」には当たらず、附属機関条例主義の適用外となるとした。
次に、その判断基準は、�常設的機関ではないといえるか否かという形式的要素、�民意を反映させる実質(いわゆる市民参加型審議会)を有するか否かという実質的要素 を総合して判定することとした。
その結果として、原告の請求は理由がないとされたのである。
有力学説も、ここにきて、いくつか方向転換したし、また判決も、今回の松江地裁判決を契機に、大きく方向転換していくだろう。
こうした状況になって、私自身、いくつかの反省点がある。
政策法務の論者がほとんど音なしの構えのなか、ほとんどお一人で新しい流れをリードしたのが、兼子仁先生である。大先生でもあり、かつご高齢でもあるが、常に新しい問題意識を持って、取り組んでおられるのがすごいと思う。翻って、私自身、問題意識を持って、1、2年ほど前から、論文を書くぞ書くぞと言っていたのに、後回し、後回しにしてきたのが、恥ずかしい限りである。
そんななかで、後追いのような論文を書くのは気が引けるが、実務的には、附属機関と準附属機関の線引き等も課題になるので、そういった点も含めて論文を書いてみよう。
ただ、困ったこともある。一般に政治学の論文と比べて、法律学の論文のほうが、パターンが決まっていて、だんぜん書きやすいが、最近、単行本ばかり書いていたので、地道な論文が書けなくなってしまったからである。論文の小見出しを思わず「続く「違法」判決」といったように、中吊り風に書いてしまうのである。このあたりのリハビリを兼ねて、がんばって論文を書いてみようと思う。