松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆「条例の域外適用-ヘイトスピーチ抑止条例を契機に」(雑誌『ガバナンス』2020年4月、5月号)

2024-04-17 | 書いた論文の目次

「条例の域外適用-ヘイトスピーチ抑止条例を契機に」(雑誌『ガバナンス』2020年4月、5月号)に書いた、先行論文がないなかで、まとめてみた。

 元原稿は、2019年に自治体学会の公募論文に出してみた。一部書き直しになったが、面倒になったので、ガバナンスに出してもらった(面倒とは、査読をした人のコメントが、若干、的外れだったので、再提出はやめることにした)。

 この論文を書くマグマは、次の通りである。

「簡単な話である。自治体の住民たちが、自治体外から、ネット等によってヘイト攻撃を受けて苦しんでいる。そんなとき、当該自治体は、域外から行われた行為だからと言って、何もしないで放っておくのか。住民の福祉を実現するのが、自治体の役割である。住民が困っているのに、属地主義だからと言って、何もしない自治体がいたら、そんな自治体は、住民から即座にアウトを宣告されてしまう」

論文構成

条例の域外適用-ヘイトスピーチ抑止条例を契機に
はじめに
1.ヘイトスピーチ抑止条例
 ・ヘイトスピーチ抑止条例
 ・区域外で行われたヘイトスピーチと対応
2.属地主義の原則と例外
(1)属地主義の原則
 ・属地主義とは
 ・属地主義の根拠
(2)行政課題と域外適用の広がり
 ・反トラスト法、独占禁止法等
 ・個人情報保護法75条
3.条例の域外適用
(1)先行事例
 ・情報公開の開示請求権者
 ・個人情報保護条例の罰則
(2)域外適用の必要性・背景
 ・区域を越えた市民の暮らし
 ・新たな情報ツールと市民の暮らしへの影響
 ・法律の後追い-法律を待てない事情
4.域外適用の理論
 ・消極的属人主義・保護主義
 ・効果理論
 ・国際関係と地方自治の違い
5.域外適用の課題
 ・地域における事務 
 ・他自治体の権限を侵害のおそれ
 ・不意打ちのおそれ
 ・執行の困難性
 ・国への働きかけ
6.域外適用を認める規制条例の制定にあたって
 ①法律の不存在
 ②域外で自治体の住民に被害を与える行為が行われていること
 ③域外の活動によって、放置できないくらいに、自治体や住民の利益が直接的、実質的に侵害されていること
 ④行為者において③の結果が生じることが予測可能なこと
 ⑤当事者の認知や意見提出の機会等、手続的適正さが担保されていること
 ⑥実効性の確保に一定程度の見込みがあること
7.条例の域外適用理論の発展-域外をターゲットとするまちづくり政策へ

 6の項目が、ちょっと良かったと思っている。

 


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