松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆焼津みらいまちづくり研修会の最終回(焼津市)

2023-02-26 | 1.研究活動
 この日は、焼津みらいまちづくり研修会の最終回だった。6回目なので、和気あいあいの会となった。途中、市長さんのマジックショーや参加者によるけん玉ショーなどもあり、いかにも焼津のまちづくりらしい(自治基本条例の時さんざんやった)。人のつながりはできたと思う。

 この日は、つながりをどう作るのかにつながるような観点から話をした。

 まずつながりの反対は孤立であるが、
 孤立は次の4要素から成り立っている。
(1)社会的交流の欠如(家族・友人等との行き来や会話がないこと)
(2)社会参加の欠如(ボランティア活動やスポーツ・趣味等の活動等に参加してないこと)
(3)社会的サポートの受領欠如(行政や地域・NPO等からの支援を受けられていないこと)
(4)社会的サポートの提供欠如(他者への手助けをしていないこと。つまり自分を頼ってくれる人がいないこと)

 ならば、つながりをつくるには、これを逆転すれな良い。 
(1)行き来や会話の場や機会
(2)社会活動への参加の機会や場
(3)地域やNPO等とのつながり
(4)他者への手助けをする機会や場
これらを創ればよい。

 そのために大事なのは、
(1)人づくり
(2)場づくり
(3)仕組みづくり
である。

 そこで、議論してほしいのは、
(1)つなぐ人の重要性 どんな条件ならやる気になる、こんな出番をつくればいい、つなぎ人の発見方法
(2)地域の交流拠点づくり どんな拠点なら使いやすい、隠れた地域交流拠点、公民館の変身可能性
(3)これらを支える組織・団体の後押し 自治会・町内会の負担軽減、ニーズに応じられる多機能化、専門化、行政のサポートのありよう

 今回の研修会の全体目標は、ここに据えた。結果的には道半ばになってしまったが、来年もあるので、引き続いて、詰める作業をすればよいだろう。何か、自治基本条例の検討と同じようになってきた。

 忘れるといけないので、ポイントを書いておこう(後から増やせばよい)。
 
 まず基本は、つながりづくりの政策は難しいということである。行政は苦手と言ってよいだろう。

 いくつか理由があるが
(1)これには市民の当事者性が前提である。
  市民の行政依存性が過度にあると、先に進めない。ここは、自治基本条例づくりで見せた焼津の文化を改めて確認し、ここ成功体験を発展させていくことである。これは、これまでの講義でも、今回も、強調したことである。

(2)私的世界へ介入することになる
  孤独は主観であり、孤立は客観だという。客観的とはいっても、孤立する権利もあるから明確ではない。その中で、孤立に悩み、つながりを求めている人を掘り起こし、探し出し、声を上げるように後押しする作業が必要になる。これだけ見ても簡単ではない。役所は、その行動原理から見て、干渉にならないように私的世界に肩入れするのは、限界があるし、効果も限定的なものにとまってしまう。

(3)行政は事後救済的
 孤立自体というよりも、孤立によってさまざまな問題が起こる。孤立死などがその例であるが、ここでの政策は、これを予防することである。問題が起こって、その対処という場合は、行政は得意であるが、問題が起こる前に起きないように介入するというのは、これも行動原理から困難を伴う。

(4)行政は縦割り
 法制度が縦割りなので、行政の仕事も縦割りである。こども、障がい者、高齢者などごとに組織ができている。しかし、実際に起こってくる課題は、そのすき間であったり、重なり合っているものも多い。組織横断的だとか積極的に関与だとか、いうのは簡単であるが、コンプライアンスの問題もあり、難しい。

(5)費用対効果
 つながりづくりは、伴走型の支援なので、手間がかかる。人手がかかり、コストがかさむということである。費用対効果は、よくない。ただでさえ、さまざまなものが不足する中で、取り組まないといけない。

(6)市町村は難しさが倍加する
 都道府県ならば、各種の相談コーナーを開設しましたで済むかもしれないが、市町村は現場がある。難しさは、倍加する。

 以上から、自治体だけではできないのは自明である。支える人や組織を後押しし、連携することが必要になる。マイブームの「支える人を支える政策」であるが、これが必要であるとの問題意識がないと、結局、失敗に終わるだろう。

 今回は、そこまで行かなかったが、来年は、このあたりを詳しく考えていく必要があるだろう。

 前日に、ゼミ生もももちゃんから、焼津が舞台の映画を見ましたとラインが来た。「ちひろさん」という映画である。封切り日初日に見に行ったという。

 どんな映画なのかと聞くと、「孤独とつながりの映画ですね。まちづくりの映画と言えますね」。さすがわがゼミ生、これをまちづくりと喝破するのは、教え甲斐があったというものである。ももちゃんとは、焼津に一緒に、何回、来たのだろう。ファッションー、まちづくり市民集会ほぼ皆勤賞だと思う。

 このような、焼津は、若者を育てている。こんな話をして終えることになった。

 この日は、最終回なので、絶対遅れないようにと、早めに出かけた。第1回目の時、静岡の大雨(熱海のがけ崩れがあった)で、焼津に行きつかなかったことがあったからである。しかし、予定通りで早めについて、駅前の足湯(写真)に入って、ゆっくりして会場に出かけた。

 研修会が終わり、今日は何事もなかったなあと思って、新幹線に乗っていたら、お約束のアクシデントがあった。

 新富士の手前で、放送があり、小田原駅でお客さんが線路に降りたので、安全確認するとのことである。ならば、すぐに連れ戻して、すぐに再開すると思っていたら、下りた人が、どこかに行ってしまったらしいとのこと。警察も動員して捜索するとの放送である、

 たしかに、どこかに隠れていて、新幹線がひいてしまったら大問題である。だから、ちっとも再開せず、今日は帰れないのかと覚悟した。どこかで、外に出てしまったら、捜索網はもっと広がる。

 結局、1時間弱で再開したが、見つかったのだろうか。そもそも、本当に、線路にお客が下りたのだろうか。

 第1回目には、新幹線が運転中止になり、最終回の帰りに、新幹線がまた止まった。前と後ろで辻褄はあっていて、落ち着きはよいが、本当に、いろいろある。
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