きんいろなみだ

大森静佳

7月(付近):書いたもの

2021年08月02日 | 告知
◎短歌作品

「短歌研究」8月号(水原紫苑責任編集号) 巻頭100首「ムッシュ・ド・パリ」

◎それ以外

「現代短歌」9月号 特集「Anthology of 60 tanka poets born after 1990」対談
「歌壇」8月号 短歌時評
「短歌人」7月号 笹川諒歌集『水の聖歌隊』書評
「文藝」秋号 特集「怨」エッセイ「向こうがわのユトレヒト」

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そのほか、京都新聞のリレー連載「季節のエッセー」(5名で回るので5週間に1回、月曜日の朝刊に載ります)や「NHK短歌」のテキスト(選評、歌の鑑賞文など。この一年間は毎号)も執筆しています。

「塔」2021年7月号 作品2(三井修選)

2021年08月02日 | 短歌
付箋をつけた歌より

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一帯に麦の穂は出で青空に向かいて立てり 億の垂直 佐々木美由喜

一点に力をこめて鍬を打つ幾たびおろせど蔦の根うごかず 出岡学

ブラインドに規則正しく千切られた春の朝日がお前の頬に 大和田ももこ

長野に生まれてよかった理屈っぽさと大根足でコロナ禍を駆ける 長田尚子

制服とマスクが校門へ続く同じ音符の連続のよう 杉山太郎

音階のカイなんですとおとなしき柴犬の名を教へくれたり 竹尾由美子

かなしみと無縁の海をおもふ日の錦糸卵のひかりの波よ 千葉優作

彫刻の巨大な蜘蛛に「ママン」とふ名ぞ付されゐて「ママン」は立ちをり 宮本背水

満開のこぶしの大木風に揺れ白手袋の拍手のごとし 望月淑子

つり橋の丸太のやうな椎体が順に落ちても尾骨で生きる 吉田達郎