「塔」7月号は
・第9回塔短歌会賞&塔新人賞の発表
・5月号からスタートしたリレー評論「平成短歌を振り返る」の第3回
=小川和恵さんの「オウム真理教事件はどのように詠われてきたか」(前篇)
・水原紫苑さんによる吉川宏志歌集『石蓮花』の書評
など読みどころがたくさんあって、268ページの分厚さです。
今月は「作品2」「若葉集」のみから10首選をしました。
***
春はゆふぐれ草や土の匂ひしておほきなものに掬はれてゐる 山尾春美(作品2)
冷血が顔で分かればそれでよし リー・ヴァン・クリーフにたりと笑ふ 林龍三(作品2)
この洞にしづかな円居のありぬべし幼き者は星を見つめて 与儀典子(作品2)
なめらかな石のかたちをたしかめる指に一途なものまだ残し 森雪子(作品2)
にんげんの醜き夢に見られたる馬よ今宵は夢を見返せ 丸山順司(作品2)
硝子窓積むビルディング、立つことはいつも足より昏れそむること 中田明子(作品2)
君のために生きんと思いし君なくて風吹く四月少し太りぬ 今井眞知子(作品2)
その日までひとまずねばる旗として賞味期限の遠い牛乳 小松岬(作品2)
女ひとりの顔はがされし写真あり天金あせし父のアルバム 宮城公子(作品2)
まず「はい」と前置きをする口癖にピアニッシモのごとにじむ夕暮れ 佐藤みのる(作品2)
おまへの詩はへたでいいなと六歳のわたしを抱いて父は言ひにき 川田果弧(作品2)
ゆふぐれと思ひて地下街出てみればゆきかふ女の髪光る春 大江裕子(若葉集)
庭園にねじれた木があり春の昼三十分の頭痛がおこる 高田獄舎(若葉集)
ダンゴムシの根を食む音は庭に満ち今夜のスープを震わせている 辻大志(若葉集)
・第9回塔短歌会賞&塔新人賞の発表
・5月号からスタートしたリレー評論「平成短歌を振り返る」の第3回
=小川和恵さんの「オウム真理教事件はどのように詠われてきたか」(前篇)
・水原紫苑さんによる吉川宏志歌集『石蓮花』の書評
など読みどころがたくさんあって、268ページの分厚さです。
今月は「作品2」「若葉集」のみから10首選をしました。
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春はゆふぐれ草や土の匂ひしておほきなものに掬はれてゐる 山尾春美(作品2)
冷血が顔で分かればそれでよし リー・ヴァン・クリーフにたりと笑ふ 林龍三(作品2)
この洞にしづかな円居のありぬべし幼き者は星を見つめて 与儀典子(作品2)
なめらかな石のかたちをたしかめる指に一途なものまだ残し 森雪子(作品2)
にんげんの醜き夢に見られたる馬よ今宵は夢を見返せ 丸山順司(作品2)
硝子窓積むビルディング、立つことはいつも足より昏れそむること 中田明子(作品2)
君のために生きんと思いし君なくて風吹く四月少し太りぬ 今井眞知子(作品2)
その日までひとまずねばる旗として賞味期限の遠い牛乳 小松岬(作品2)
女ひとりの顔はがされし写真あり天金あせし父のアルバム 宮城公子(作品2)
まず「はい」と前置きをする口癖にピアニッシモのごとにじむ夕暮れ 佐藤みのる(作品2)
おまへの詩はへたでいいなと六歳のわたしを抱いて父は言ひにき 川田果弧(作品2)
ゆふぐれと思ひて地下街出てみればゆきかふ女の髪光る春 大江裕子(若葉集)
庭園にねじれた木があり春の昼三十分の頭痛がおこる 高田獄舎(若葉集)
ダンゴムシの根を食む音は庭に満ち今夜のスープを震わせている 辻大志(若葉集)