きんいろなみだ

大森静佳

山中智恵子と過ごす会 合宿②御杖・神末

2018年05月01日 | 短歌
奈良県宇陀郡御杖村神末。
というところに泊まりました。






この道をゆかば神末にいたるとぞ落葉をふかくあゆみゆくかな 『神末』

夢告げて白き鶺鴒あゆめるを御杖の村にいくたびみしか




御杖村のゆるキャラ「つえみちゃん」。
「神末」(こうずえ)ももともとは「神杖」(=神の杖)で
つまり「御杖」と同じような意味の地名だそうです。





旅館で待っていてくれた山中智恵子。
夜はお酒をのみながら歌会も。

2日目は神末の「御杖神社」へ。




神末の社のほとり霧湧きて古墳多くは少年の人 『神末』








樹がうつくしい。


秋風にひとりあることおぼつかな御杖神末(みつゑかうずゑ)手をゆだねなむ 『神末』
神末に杖きく頃となりにけり秋たけなばとひとはいひしか
白鷺の立ちつくしゐる神末に秋のひかりは果てにけるかも






死のみゆる神末にきて虹たちぬきみなきいまを老いがたきかも 『神末』





山中智恵子と過ごす会 合宿①夏見

2018年05月01日 | 短歌
山中智恵子の全歌集を読む会のメンバー7名で
智恵子ゆかりの地をめぐる旅(一泊二日)をしました。



1日目はまず三重の名張駅に集合して「夏見廃寺」へ。
すばらしい青空。


夏を夢見る夏見の寺の青きそらの一滴の詩のわれに来れよ 『喝食天』
われらつひに夏見廃寺に来れると告げなむものか大伯皇女に 『神末』







夏見廃寺の夕にきたりさにづらふ歩天の歌をひとと歌はむ 『神末』
秋あかね夏見廃寺をよぎりゆく大津の皇子の血の矢あふれて
夏見廃寺たが記憶にかただよひて大津皇子の夢みるところ 『喝食天』



夏見廃寺は初代斎宮と言われる大来皇女によって
7世紀末〜8世紀前半に創建された古代寺院の跡。
父・天武天皇のために建てたとも、一説には非業の死を遂げた弟・大津皇子
を偲ぶために建てたとも言われているそうです。








あらたなる記憶のなかにこぼたれて文書のなかの夏見廃寺か 『神末』
われらが夢の鶺鴒二羽かあくがれて夏見廃寺の礎石に交(つが)ふ





夏見廃寺に咲くスミレ。


ほのかなる夏見の空のひとところ雪降るとみて逢はずありけり 『虚空日月』


続いて、青蓮寺湖と香落渓へ。
香落渓で四つ葉のクローバーを拾いました。




風の根のごときもみぢの香落谷(かうちだに)抱かれていまいづこゆかむか 『神末』
夏見川青き湛へにひと顕ちてひとと鶺鴒分かちがたしも
蒼き頸浮(う)けてあしたを鴨のゐる青蓮寺湖に歩み来にけり



曽爾高原。
秋はいちめんのススキが見られるそうです。








たくさんたくさん歩きました。