こんな本を読んできた、ほか少々

これまでに読んできた本やマンガについて、好き勝手に書てみることにした。記憶のままに書いているので、間違い等はご容赦を。

サミュエル・R・ディレイニー「アインシュタイン交点」「バベル-17」

2012-09-03 20:20:02 | SF
サミュエル・R・ディレイニーというSF作家がどの程度知名度があるのかは知らない。私も「アインシュタイン交点」という変なタイトルが気になって購入したものである。その後、おなじ作者の「バベル-17」も読んでみた。いずれのハヤカワ文庫

「アインシュタイン交点」は不思議な作品である。内容的にはアインシュタインとは全く関係ない。未来の多分地球の物語。だが、SFというよりはファンタジーに近い。ごく表層的には、恋人と死別した主人公(人類ではない(と思われる)異形の生物)が恋人を取り戻そうとするの冒険譚、ということになるのだろう。ただ、いろいろな物語のメタファーやオマージュにあふれている。全体的にはギリシア神話のオルフェウスの物語を軸にしながら、明らかにイエスキリストやビリー・ザ・キッドを意識した登場人物が出てくる。
訳者あとがきを読むと、もっとずっと複層的なイメージが盛り込まれているようである。物語の本筋からはずれているようなエピソードが唐突に出てきたり、登場人物の台詞の表現が何かを暗示していたり。そもそも、主人公の恋人がなぜ死んで(何らかの方法で殺されて)しまったのか、イエスキリストを連想させる登場人物とビリーザキッドをモデルにした登場人物の関係など、私が読み取れていないメタファーがまだまだ盛りだくさん隠れていそうである。どこかに解説本がないだろうか(と、村上春樹の記事でも言ってたような気が)

一方、「バベル-17」の方は、宇宙戦争中の世界を舞台に、敵が出現するときに受信される謎の言語「バベル-17」を巡るスペースオペラ、なのだが、どうもこちらにもいろいろなメタファーが隠れていそうな感じである。疲るれのでいちいち読み解かないことにしたが。


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