未来を拾いに

aikoのことしか頭にないひとのブログ

弱者の兵法

2007-04-18 03:05:58 | 雑記

先週木曜発売Number。表紙が松坂で「SET IT OUT!」。 
この号のNumberノンフィクション「弱者の兵法。開成高校野球部」。 

なんかいい話でしたよ。 

東京の人には説明不要ですが、開成高校ってどんな高校かというとですね、毎年東大合格者数100人を優に超す、超が3つくらいつく進学校です。一昨年夏、東東京大会ベスト16。 

感心したのは、タイトルの通り、彼らが所与の条件(練習時間少ない、野球エリート皆無)の下で、勝つためにどんな野球をしているのか、その考え方というか戦術論のところ。 

監督は、東大野球部出身の方だそうです。六大学野球には、「二部降格」という制度がありません。圧倒的に戦力の異なる相手と戦ってきた経験から、野球の通常のセオリーというのは「高いレベルのチーム同士が対戦するときのセオリー」だという考えを持つに至ったらしい。 

例えば、1番が出て2番が進塁させてクリーンアップが打って1~2点取ったとする。しかし開成野球がそれをやると、その裏に5点取られてしまう。そんな風に確実に点を取って・・・というのは、守備がうまいことが前提の話だと。 

じゃあ、守備を練習すればいいように思えますがそうではない 

守備は正面のゴロを普通に捕り、30mまともに投げることだけを要求しているそうですよ。1人の選手の1試合あたりの守備機会は大体3~8回。そのうち猛練習で鍛えた成果が出るのは何球あるのかと。同じ時間やるなら打撃の方が伸びしろがある。 

確かにそうかも知れません。 

つまり、「弱者の兵法」というのは、10点取られる前提で11点取る野球なんだそうです。もっと厳密に書くと、1イニングで10点とることを目指す野球と書かれていました 

ビッグイニングなどそうそう作れるものではないが、9回のうち1回でもはまれば強豪相手でも勝てるチャンスは0%ではなくなる。相手と同じ考え方でやってたら10戦10敗するということなんですね。 

打撃理論も触れられていましたが長くなってくるので割愛。 

いいなーと思ったのは、なんかね、肩の力が抜けてる感じが文章からとても伝わってきたんです。肩の力は抜けてるが、真面目にやっているという感じというか。 

私の大好きなスポーツライターの一人に、山際淳司という方がいます(故人)。その方の作品で「スローカーブを、もう一球」というステキな(と、私は思っている)話があるのですが、読後感がその方面と同じ感じの心地よさでした。 


面白かったのは、彼らが試合にいくと、必ず相手選手たちからこう訊かれて出鼻をくじかれるそうです。「偏差値、いくつですか?」「どれくらい頭いいんですか?」 

で、ある選手の答えがなんかよかった 

「なんか勉強しかできないと思われているような気がするんです」 


気の毒なことです。

夏はどんな戦い方するのか、中継があったら観てみたいな、と思います。