少しだけ One for All

公的病院の勤務医です。新型コロナウイルスをテーマの中心として、医療現場から率直に綴りたいと思います。

ワクチンパスポートは誰のため? 3 —-新型コロナウイルス—-

2021-10-25 02:05:10 | 日記
 

 デルタ株について、
 
 「ブレイクスルー感染があり得ること、ブレイクスルー感染者が(ウイルスを排出する期間が短くなり未接種者に比べ相対的にリスクは低下している可能性はあるものの)二次感染を引き起こし得ることを示している」
 
 という国立感染症研究所からの文書を前回お示ししました。
 
 「ワクチン接種をしても感染はするし、感染すれば人にも感染させると思われます。(感染させる期間や頻度は減少する可能性はあるけれど)」 
 
 と言われたわけです。デルタ株のブレイクスルー感染に関して、これが現時点で日本で公式に示された最新の知見だと思います。
 
 この事実はなかなかのインパクトがあって、「じゃあなんのためにワクチンを接種したの?」と思われる人もいるだろうと思います。実際、厚労省もそのことを不安に感じたのか、感染研がこの文書を発表する前日に、ブレイクスルー感染とワクチン接種や感染対策の必要性を訴えたQ&Aを公開しています。
 
   https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/column/0006.html
 
 *この発表とは別に、筆者は、今回の急激な収束は、ワクチンがデルタ株の毒性を(ワクチン接種者に対しては確実に)弱毒化させた結果、デルタ株に終息株(という言葉を作ってみました(笑?))の働きを一時的にせよさせたのではないか、と推察しました。そうしたことを前章の「新型コロナウイルス ―-見えはじめたかもしれない光―- 1~4」で記載しました。一度目を通してみていただけたら、筆者望外の喜びです。ここまで収束する前に書きましたから、書いた後もさらに収束が進んで感染者数が安定しているのは、やはりそうした側面があるのでは、と思っています。そのように考えていますから、ワクチン接種の意味は間違いなくあり、今回のこの収束はワクチン接種に一生懸命取り組んだ(とくに短期間に)結果得られた恩恵だと思っています。閑話休題。
 
 ワクチン接種をした段階では、ワクチンの予防効果は95%と言われて、感染しないし、感染させなくなると信じた人が多かったと思います。ところが、デルタ株に置き換わって、デルタ株ではブレイクスルー感染があることが明らかになったわけです。常識が変更されたわけです。

 この視点で眺めると、これまで考えていたことのいくつかが、違った様相で見え始めてきます。
 
 この視点で、海外で積極的に用いられている、入店規制や入場規制について検証してみます。入店や入場のために必要なのは、「ワクチンの接種証明」か「PCR検査の陰性証明」とされています。これだと自然に、ワクチン既接種者は「ワクチンの接種証明」を提示するでしょうし、ワクチン未接種者は「PCR検査の陰性証明」を提示するでしょう。
 
 ワクチン既接種者の「ワクチンの接種証明」とワクチン未接種者の「PCR検査の陰性証明」は、はたして同列になるものでしょうか?
 
 おそらく、まだデルタ株のブレイクスルー感染がなかった頃なら、「ワクチンの接種証明」と「PCR検査の陰性証明」は、同列で並べることができて、同じ空間で楽しめることができたのでしょう。しかし、感染の主流がデルタ株になり、ブレイクスルー感染が生まれるようになってからは、この両者を同列に並べるのは取扱注意になるはずです。
 
 例えば、上記のような入店規制のお店に、「ワクチンの接種証明」か「PCR検査の陰性証明」で入店したとしましょう。ワクチン既接種者は、ブレイクスルー感染していたり、ブレイクスルー感染をその場でしたとしても、ワクチンによって重症化率が抑えられているため、本人には深刻な問題にはなりにくいと考えられます。ところが、ワクチン未接種者にとってはどうでしょう?「PCR検査の陰性証明」を提示して入場したとしても、「PCR検査の陰性証明」は重症化を抑制しませんし、感染の予防もしてくれません。感染すれば、従来株より凶悪に変異しているデルタ株の凶暴な毒性をそのまま受け止めることになります。ワクチン既接種者の中にブレイクスルー感染をしている無症状者がいた場合、大変危険なことになりますが、その危険性については全く考えられていません。
 
 そう考えると、海外がそれまでの流れを変更せず、ワクチン既接種者の「ワクチンの接種証明」とワクチン未接種者の「PCR検査の陰性証明」を元に同じ空間に両者を入れて、そしてマスクを着用する等の感染対策もせずにいた結果、感染者数が爆発的に増えたこと、集中治療室がワクチン未接種者ばかりになったこと、はなるべくしてなった帰結のように感じられてしまいます。
 さらに考えれば、その店でのワクチン未接種者の「PCR検査の陰性証明」は、ワクチン既接種者にとってはあまり意味がありません。極端な話、既に「ワクチンの接種証明」で入った中にブレイクスルー感染者がいるかもしれないのですから。未接種者の中に感染者がいようがいるまいが、もはや考えてもあまり意味がないかもしれません。『PCR検査の陰性証明」の意味は、ないよりあったらよりいいよ、くらいかもしれません。そのように考えると、ワクチン未接種者の「PCR検査の陰性証明」は、入店しているワクチン未接種者同士の感染を防ぐ意味合いしかないことになります。でも、店中の客が普通にブレイクスルー感染者のリスクにはさらされているのです。
 
 ブレイクスルー感染は、デルタ株の「罠」です。デルタ株では、ワクチン接種の有無に関わらず、感染のリスクはなくならずに存在し続けていたのです。
 
 海外と同じように、PCR検査の陰性証明を見せれば、ワクチン既接種者と同じように入場させるべきだ、と主張する日本の評論家等も散見します。同じ流れで、ワクチン未接種者のことを考えるべきだ、と言っていたりします。その人たちは本当にワクチン未接種者の安全を考えているのだろうか?と疑問に思ってしまいます。
 
 誤解のないように、私はこのことからみんながワクチン接種をすべきだ、と言っている訳ではありません。医師としては、目の前に、ワクチンを接種した人と接種していない人がいる、という事実が大切です。ワクチン既接種者が7割を超えたと聞きます。ワクチン既接種者が作る集団免疫の壁が、ワクチン未接種者を守ることができたら最高だと考えています。海外の流れを安易に汲んで、ワクチン既接種者の「ワクチンの接種証明」とワクチン未接種者の「PCR検査の陰性証明」を同列に並べて経済を回そうとすることは、集団免疫の壁でワクチン未接種者を守る流れを逆流させる危険性があり、大きな危険を伴うことを海外から学んで欲しいと思ったものでした。
 
 長くなって申し訳ありません。
 もう少し続けるつもりです。
 

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ワクチンパスポートは誰のため? 2  ---新型コロナウイルス--- 

2021-10-22 02:10:20 | 日記
 「『コロナワクチンを2回接種した人には入院患者との面会を許可する』ことにしたいと思うけれど、それでいいか?」と病院幹部から私たちの院内感染対策委員会へ問い合わせがありました。コロナ禍では、感染対策の一つとして、入院患者への面会は原則として禁止しています。それをワクチン接種をした人には解除して、面会を自由にしたい、という案への問い合わせでした。「せっかくワクチンを打ったんだから、なんらかのメリットがないと、なんのために打ったんだ、ってことになると思うんだよね。」と動機を付言されました。いわゆるワクチンパスポートと同じ発想ですね。
  
 下記の国立感染症研究所の文書を参考資料にしました。(前の回の最後で、FさんがIくんに読ませた文書)
 


 赤線と赤文字は私たちで説明のために書き入れたものです。(書き入れのない原本は、
 
   https://www.niid.go.jp/niid/images/epi/corona/57/covid19-57.pdf

   でも見れます。ご興味のある方は是非一度見てみてください。)
 
 文中のCt値とは、PCR検査でウイルスを検出する際に、陽性と判断した時の増幅サイクル数です。検体にウイルス量が多ければ、陽性と判断するためのPCRの増幅回数は少なくてすみますし、逆にウイルス量が少なければ増幅回数が多くなければ陽性と判定できません。つまり、ざっくりと言って、Ct値が高いとウイルス量は少ないと考えられ、Ct値が低いとウイルス量が多いと考えられます。そして、ウイルス量が多いから、デルタ株は感染力が強いと考えられています。
 この感染研が示したデータは、各国での研究で、ワクチン未接種で感染した人とワクチン接種をしても感染(ブレイクスルー感染)した人とでCt値が一緒だったことを伝えています。これはつまり、デルタ株では、ワクチン既接種者でも、感染すれば、そのウイルス量はふつうに多いということを示しています。また米国ウィスコンシン州での研究で、ウイルス量の多いブレイクスルー感染者から感染性のウイルス(他者に感染能力を持つウイルス)が証明されたことも示されています。
 まとめると、ワクチン既接種者であっても、デルタ株では、
 ①感染は成立する
 ②感染時のウイルス量はワクチン未接種者の感染者と同量
 ③他者への感染力を持つ
 ということになります。その結果、「ブレイクスルー感染があり得ること、ブレイクスルー感染者が二次感染を引き起こし得ることを示している」と述べ、「感染者数が多い状況では、ワクチン既接種者も場面に応じた基本的な感染防止対策の継続が必要であると考えられる。」として、文章が結ばれています。
 この文書の結果をどのようにとらえるでしょうか?ワクチンを打ったから大丈夫、と言って、マスクを付けずに人ごみにでる人を見聞きしますが、その人たちは感染しても自身は確かに大丈夫(重症化しない)ですが、他者に対しては他のマスクをしていない人と同じ危険性を有していることを知っているでしょうか。いくらワクチンを打っていても、他者への危険性は変わらずあることは、もっと強調されてもいい事実だと思いますが、皆さんはどのように感じられたでしょうか?
  
 この文書から、ワクチンを2回接種したからといって、無条件で入院患者への面会を許可するのは、入院患者にとってはリスクが高いと考えられました。このことを説明して、ワクチン既接種者への面会の無条件の解除(あくまで「無条件」だけをやめてもらいました)は今はまだ見合わせることにしてもらいました。
 
 これは言ってみれば、ワクチンパスポートを否定することになる考え方かもしれません。ワクチンを接種しているからといって、その人が他人に対して安全ということは言えない、ということなのですから。(あくまで私たちは、病の治療のために入院している患者さんのことを考えていますので、一般社会への適応とはやや異なるかもしれませんが)
 例えば、患者さんと面会してもらっても安全な人かどうかという判断材料ということだったら、直近2週間以内に自分の周囲にコロナ感染者や濃厚接触者がいなかったり、直前に施行したPCR検査が陰性であったりすることの方が、よっぽど有効な判断材料であると言えます。ワクチン接種の有無を、他者への安全性の判断に使用したり、重視しすぎたりするのは危険ということになります。
 
 シンガポールやイスラエルで感染者数が再び多くなってしまったりしているのは、ワクチン接種者が増えたことを重視しすぎて、感染対策をゆるめてしまったためではないでしょうか。デルタ株では、ワクチン接種の有無に関わらず、感染のリスクは変わらず存在し続けていたのです。ワクチン既接種者同士の感染であれば、いずれも重症化はしないでしょうから問題はないかもしれませんが、ワクチン未接種者がいれば、その感染は悲劇を生む危険性がありえます。米国で再び屋内でマスクをすることが義務付けられるようになったりしているのも同様の理由からだと推察します。
 
 いかがでしょうか?ワクチンパスポートは、あたかも他人に感染させない証明のように思われがちで、そのような報道のされ方や、それをアピールに使う政治家や評論家などをを目にしますが、デルタ株に関しては、それが誤りかもしれないことを少しでもわかっていただけたらと思います。そして、前回のはじめに示したような、ワクチンパスポートの使われ方、、、パスポートを持っている人は入店できて、ワクチン未接種者はPCR陰性証明で入店できるというシステムは、ワクチン未接種者には危険なシステムかもしれないことをお分かりいただけたらと思いました。そのやり方では、デルタ株では感染が危険な方に広がる可能性があると考えられ、重症者を生む危険性が排除されていません。デルタ株から見ると、そうしたシステムの店に入店したワクチン未接種者は、飛んで火に入る夏の虫、のように見えてしまっているかもしれないのです。そのやり方を日本で踏襲するのは、海外の二の轍を踏むことになるのでよくないのではないかと私は考えます。
 
 あたかも他人に感染させない証明のように、ワクチンパスポートは使われてしまっています。その実、ブレイクスルー感染のことを考えて適切に使用しないと、危険な新たな感染を生んでしまうリスクをはらんでいます。そうなると、ワクチンパスポートという制度や概念は、つまるところ誰のためなのでしょうか?この文書では、ワクチンを接種した人も、あれ?なんのために接種したんだろう?って思ってしまう人もいるんではないでしょうか?誤解のないように、ワクチン接種の意味がない、ということでは全くありません。
 長くて申し訳ありません。続きます。
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ワクチンパスポートは誰のため? 1 ---新型コロナウイルス---

2021-10-21 00:30:33 | 日記
 ワクチンパスポートとは、ワクチンを接種したら証明がもらえ、それを見せないと店などに入れないという外国のあれです。ワクチンが未接種の人には、パスポートの代わりにPCR陰性証明があれば入店を許可する、としているところが多いようです。
 日本でも、先日見たテレビで、ある旅行会社が、ツアー参加者全員にワクチン接種証明か未接種の人にはPCR陰性の証明を求めるようにしたことを報じていました。海外の動きにいち早く連動したのだと思います。
 その店やそのツアーは安全なように思えます。ワクチン接種証明とワクチン未接種の人のPCR陰性証明が、他人に感染をさせませんよ、だから安全ですよ、という証明になると考えられているからだと思います。本当にそうでしょうか?
 
 簡単のために、前回はCくんとRさんでしたが、今回はFさんとIくんの会話を見てください。Fさんは後ろ髪の長い刑事さんで、Iさんはいじられキャラのその部下さんのようです。
 
F:あ、あ〜、こらキミ!キミだよ、キミ!イマ、、、じゃないや、Iくん!なんで逃げるの?
 
I:に、逃げてなんかいませんよ〜。
 
F:嘘言うんじゃないよ。今、わたしの顔見て走り出そうとしてたでしょ。しっかり見てましたよ。来て。いいから、ちょっと、こっち来て。ああ、逃がすとこだった。危なかったよ。
 
I:帰らせてくださいよ〜。今日は用事あるんですよ。言っといたじゃないですか。お願いしますよ〜。
 
F:やっぱり逃げてたじゃないか。全くキミは、わたしがどんなにキミを頼りにしているか、わかってないみたいだね。
 
I:そんなこと言われたら、嬉しくなっちゃうじゃないですか。(とてもうれしそう)もう調子のいいことばかり言わないでくださいよ〜。、、、あ、でも、そんなこと言うときは、いつも必ず何かたくらみが、、、勘弁してくださいよ〜。今日は用事があるんですよ。もう帰らしてくださ、、、ああ、もう目が笑ってるじゃないですか、、、
 
F:フフフ、ちょっと何言ってるかわからないな、キミ。
 
I:そんなの差しこんでこなくてもいいですよ〜。帰りますよ、もう。私は断固として帰ります。
 
F:まあまあ、そんなこと言わずにさ。すぐ済むからさ。キミさ、あれさ、あれ打った?
 
I:いきなりだな〜、もう。あれ、じゃわかりませんよ。なんですか、あれって?
 
F:あれだよ、あれ。ほら、肩にさ、チクってされるやつ。みんなやってるやつだよ。察しがわるいな、キミは。
 
I:わかりましたよ。ワクチンでしょ。新型の、コロナウイルスの。
 
F:そうそうそう。それだよ。それ。さすがやっぱりIくんはわかってくれる。
 
I:褒めてるんですか、それ。バカにしてるんでしょ、もう。打ちましたよ。
 
F:褒めてるんだよ、ちゃんと。人を疑うもんじゃないよ。ほんとだよ。キミだから話しているんだよ。、、、あ、そう、打ったの?
 
I:はい、打ちました。
 
F:ああそう、打ったんだ。
 
I:打ちました。
 
F:、、、、、
 
I:、、、打ちましたよ。な、な、なんなんですか?なんかあるんですか?
 
F:なんで?
 
I:え?なんで、、、?
 
F:なんで打ったの?
 
I:なんでって、、、Fさんは打ってないんですか?
  
F:打ったよ。当たり前じゃないか。あれだけやいのやいの言われて、逃げられるわけないじゃないか。
 
I:じゃあなんでそんなこと聞くんですか?ボクも同じですよ。
 
F:そういうことじゃなくてさ、うーん、その、つまり、打つことを決めた理由、みたいなもの、何かなかったの?注射だよ?痛いだろうしさ。君なんかさ、できるだけ打ちたくないって思ったクチだろ?怖いこと言う人たちもいるしさ。
 
I:ま、まあ、そうですけど。
 
F:それでも打とうって、なんで思ったのって聞いているんだよ。なにかあったでしょ。その、ほら、これを打てばこうなるから打とうって決心をした理由みたいなことがさ。あ、ないか。君には理由なんていらないのか。
 
I:ありますよ、ちゃんと、ボクにだって理由くらい。神経質なんですから、すごく悩んだんですから。注射だってきらいだし。でも、あれですよ、人に感染させちゃいけないからって思って。それで怖いけど打つことにしたんですよ。
 
F:ああよかった。ちゃんと理由があって。一瞬、聞く人を間違えたかと思ったよ。
 
I:当たり前じゃないですか。たくさん考えましたよ。怖かったんですから。
 
F:で、打ってどうだった?
 
I:なんかホッとしました。ああこれで、自分も大丈夫だけど、人にも大丈夫なんだって思えて、心が軽くなりました。
 
F:そう。君は思ったよりちゃんと自分で考えてたんだね。安心したよ。ほかには?
   
I:まあ、そりゃあ、故郷のお袋に会いに行きたいな、とか、盆暮はね、故郷の同級生たちといつも宴会してましてね、ずっとコロナで中止だったんですけど、今年はできるかな、とかって。ちょっとワクワクしたりして、、、こういうことでいいんですか?

(Iさんは82歳のおばあちゃんと二人暮らしの設定なのですが、今回は話の都合上違う設定です。)
 
F:そうそう、そういうこと。君にも友達がいたんだね。安心したよ。大切にしなきゃいけないよ。
 
I:はい。
 
F:じゃあさ、聞くけれど、なんでワクチン打ったら故郷に帰れると思ったの?
 
I:え?なんでって、、、どういう意味ですか?
 
F:どういうって、、、こっちが聞いてるんだよ。質問に質問で返すんじゃありませんよ。なんで故郷に帰れると思ったの?って聞いてるんだよ。
 
I:だって、ワクチン打ったら感染しなくなるじゃないですか。人に伝染すのが怖くて行動制限してたんですよ。感染させなくなるならいいんじゃないですか?帰っても。外国とか、そうしてるってテレビでも言ってるじゃないですか。日本でもそんな流れみたいですよ。
 
F:それだよ。
 
I;どれですか?
 
F:キミは今、ワクチン打ったら感染しなくなるし、感染させなくなる、って言ったよね。
 
I:ハイ、言いました。
  
F:(ニヤニヤして)ホントにそうなの?
 
I:え?
 
F:I君、キミはホントに人に伝染すことはなくなっているの?
 
I:え?、、、そうじゃないんですか?
 
F:(Iの目を見つめて無言)
 
I:、、、何か言ってくださいよ〜。
 
F:全くもうキミは、、、ボーっと生きてるんじゃないよ、ホントに。
 
I:なんですか、それ。言いたかっただけでしょ?めんどくさいなあ。
 
F:ん?ちょっと何言ってるかわかんないよ、全く。ちょっとこれ見てみてよ。
 
I:なんですか?これ。文書ですか?
 
F:いいからちょっと声出して読んでみてよ。
 
I:わかりましたよ。読みますよ。、、、ん?国立感染症研究所?そんなところの文書がなんでこんなところにあるんですか?
 
F:いいから。読んでって言っているんだよ。
 
I:わかりましたよ。ビーイチロクイチナナニケイトウは、パンゴケイトウで、、、ってなんですか、これ。いきなり初めからもうわかりませんよ。なんなんですかビーイチロクイチナナニケイトウって、、、
 
F:デルタ株のことだよ。
 
I:は?
 
F:デルタ株知らないの、Iくん?君はもうホントに、ボーっと生きてるね。
 
I:し、知ってますよ、デルタ株くらい。ニュ、ニュース見てますから。
 
F:ハイハイ、続けて読んで。
 
I:読みますよ。読むだけですからね。読んだら帰りますからね。、、、何、ニヤニヤ、嬉しそうにしてるんですか?うーんと、、、なんですか?これ、、、Ct値ってなんですか?よくわかりませんよ、、、
 
F:じゃあいいよ。最後の方だけで。最後の方だけ、読んでみて。
 
I:わかりましたよ。えっと、「以上の知見は、ブレイクスルー感染があり得ること、ブレイクスルー感染者が二次感染を引き起こし得ることを示している」、、、ん?え?なんですか、これは?ワクチン打っても感染して、しかも人にも感染させるって書いてあるじゃないですか、、、えええ!?
  
F:(ニヤニヤ)
 
I:え、これって、、、これが本当なら、ワクチン打った意味ってなんだったんですか?
 
F:(ニヤニヤ)
 
I:にやけてないで教えてくださいよ。ワクチン打った意味ってないんですか?
 
F:そんなわけないじゃないか、簡単に決めるんじゃないよ、キミ。
 
I:じゃあ、教えてくださいよ。ワクチン打った意味。
 
F:(ニヤニヤ)
 
I:Fさ〜ん、、、
 
F:(ニヤニヤ)
 
I:あ、、、、
 
F:(ニヤニヤ)
 
I:実はわかってないんですね?Fさんもまだ知らないんですね?
 
F:(ニヤニヤして、Iの目を見ながらうなずく)
 
I:そんな目をして見つめないでくださいよ。
 
F:(ニヤニヤ。そして長い人差し指でIを軽く指さす)
 
I:はいはい、わかりましたよ。それをボクに調べろっていうんですね?
 
F:(うれしそうに)そうそう!やっぱりI君は察しがいい!打てば響くね。
 
I:持ち上げられたって嬉しくありませんよ。まったくもう。わかりましたよ。わかりました。自分のためでもありますからね。調べてみますよ、調べます。
 
F:ありがとっ!(爽やかに)じゃっ!私は帰るから。明日までによろしくね!
 
I:え?帰る?いやボクが帰るとこ、、あ、もういなくなった。早っ!!、、、明日ぁっ!!?
 
 
 頑張れ、 I さん!
 長くて申し訳ありません。続きます。


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新型コロナウイルス ---見えてきたかもしれない光--- 4

2021-10-17 01:06:34 | 日記
 これまでの感染の5つの波は、いずれも基本的に前の波を上回る大きな波で来ていました。一つ一つの波が一旦おさまる「収束」は感じても、そうした感染の波の繰り返し自体がおさまっていく「終息」については、感じることも期待することもできないような状態でした。
 ですが今回、この極端に急速な感染の減少を検証したとき、初めて「終息」というものの尻尾が見えたように思えたのです。この第5波はあまりに大きく、そして本当に医療を根こそぎ蹂躙しかけていました。ですから、その印象があまりに強くて、「幸運にも収束した」とホッとしているわけですが、本当にただの幸運なんだろうか?と思ったものです。そこで、検証してみることにして、3回にわたって記載させていただいた次第です。
 第5波の恐ろしいくらいに強烈だった感染の爆発。それとはアンバランスに、本当に嘘のように、みるみるとあっという間に減少した新規感染者数や自宅待機患者。自宅待機患者の多くは病院にすらかからず、保健所の管理のみで隔離を終了していった人たちが大勢いました。
 連休がなかったから?長雨が続いたから?感染への意識が高まって夏の暑い時期にも窓を開ける人が増えたから?8月の下旬に暑さが和らいで部屋の換気がしやすくなったから?、、、どれも立派な諸先生方がテレビや記事なんかで言っていることです。そんなことで、こんなに急激に減少しますか?
 連休がなかったといったって、9月の大型連休の2週間後に増えてないではないですか。長雨が続いて人流が減ったと言ったって、天候が回復してから2週間以上経過しても感染者は増えていないのでは?夏の換気を一生懸命したと言ったって、それをしていることで増えないのなら、そもそも爆発もなかったのでは?だいたい、個々人が感染対策に留意していたからこそ、これまで日本は不完全な医療体制のままでのらりくらりとやっていたわけで、一般庶民の感染対策に甘えていたわけです。それなのに、いまさらそれを庶民の感染対策がさらに高まったから、とかと言うのは、いくら複合的な要因の一つとしてとはいえ、要因に上げるにはお粗末すぎるように思えてしまいます。コメントを求められて、思いつくこともなく、さももっともそうに苦し紛れにこじつけているのでは?と思えてしまいました。
 
 「終息」の前には必ず感染力の強い変異株が感染の世界を平定するはずです。ですから、その観点で、今回のシリーズは、想定される「終息」のパターンから逆算してみました。
 感染力の強い株に平定されるわけですから、「終息」に入る前には、必ず激しく大きな感染の大波が生まれるはずです。感染者数はみるみる増える。でも、重症化率や致死率が低くて、病床がうまる速度は鈍い。この過程を経て、「終息」、すなわち減衰した波の繰り返しへのpeak out が始まるはずです。
 検証してみると、まさにデルタ株はその状況を生み出している可能性があると思えたものでした。みなさんはどうお感じになられたでしょうか?
 
 現在、デルタ株に置き換わる変異株の登場は見られていません。
 増大する感染爆発をデルタ株はつくってきました。そして、第5波でピークに達しています。ラムダ株が心配だ、と語る医師にも出会いましたが、今のところただの感想にしかすぎません。アルファ株からデルタ株への圧倒的な置きかわりを見てきた者にとっては、現状でデルタ株は「オレ様以外のコロナの感染は許さないぜ」と言って、日本での変異株の感染の世界を平定し、長期政権化の足場を固めています。ということは、このデルタ株を少なくとも病原性レベルで管理する(重症化させなくする)ことができれば、「収束」ではなく「終息」に向けた歩みが始まってもおかしくないことになり、その結果がこの急速な感染者数の減少と考えられるかもしれないと期待を持って考察しました。あらためて、皆さんはどうお感じになったでしょうか。
 第5波が予測されたのは(予測のはるか上をいったわけですが)デルタ株への置き替わりが考えられたからです。次の置きかわり株は出現しておらず、現状、今も今後もデルタ株です。次の置きかわり株が想定されない限りは、戦いの相手が今後もデルタ株である限りは、現状のワクチンが有効である限り、理屈上は「終息」への歩みが大きくすすむはずです(前回の文中でも触れましたが、ワクチン等を必要としない終息には、その後に、ウイルス自体が弱毒化した変異株の出現が必要です)。
  
 つまり、今回の第5波で得られた事実の中での白眉は、mRNAワクチンがほぼ完璧と言いたくなるくらい、デルタ株感染による患者さんの重症化を抑えていた事実です。感染は完全に止められませんが、重症化が本当になくなっています。わたしたちの病院でも、つい先日、保健所や周辺の病院との間でカンファレンスを開催し、この第5波をそれぞれの立場から振り返り検証しました(私たちの地域は、一時は実効再生産数が全国一位になるなど、激しい感染爆発にさらされ、保健所の積極的疫学調査も一時破綻しました)。その中で、ワクチン接種者の感染者、いわゆるブレイクスルー感染者の中に、重症者がほぼいないことが確かめられました。一方で、ワクチン未接種者に対しては、デルタ株はアルファ株よりはるかに重症の経緯をとる怖いウイルスであることが示されました。これらは、私たちの地域だけではなく、おそらく全国の現場の医療者に共有されている実感であり、事実であると思います。
 
 参考までに、米国CDC(日本とはかけてるお金も人員も労力も比べものになりません)のデータは、ワクチン接種者が新型コロナウイルスに感染して死亡する確率は0.001%未満と報告しています。
  
※  CDCとはアメリカ疾病予防管理センターと翻訳されています。年間予算は2020年度で76.9億ドル、1ドル115円で計算すると8850億円になります。そのうち、感染症対策27億ドル(=3100億円)と危機対応8.3億ドル(=870億円)で少なくとも4000億円の予算が計上されています。ちなみに、日本の国立感染症研究所の予算は2020年度は65億円(=0.57億ドル)です。いかに日本が感染症に無頓着だったか、現場は小さなシステムで必死に戦っていたか、わかっていただけるのではないでしょうか。そして、この米国との4000億円の差をうめた大きな要因は、最終的には国民の感染対策であり、行動制限だったと思います。一人一人の地道な努力によって、いかに奇跡的に日本は救われたのか、いずれ検証されるべきだと思います。閑話休題。
 
 幸いだったのは、この強力な感染力を持つデルタ株に、mRNAワクチンが極めて有効に作用したことでした。おそらくですが、現状ではワクチン接種者同士の間では、感染者は発生させるものの、重症者はほとんど出現せず、感染者数ばかり増大する(たとえば現在のシンガポールの状態)、社会的にはコントロールされた感染状況を作り出しているはずです。社会を支配している変異株が、このmRNAワクチンが有効に作用する変異株である間に、感染者数のコントロールを成立させ(きっと他の株を侵入させない程度にデルタ株を活かす必要はあるかもしれません。置き換わる変異株にワクチンが有効であれば、置き換わってもらってもいいはずですが)、今回の急激な感染者数の減少が、兆しだけでなく、まずはワクチン存在下での「終息」に導かれることを願ってやみません。
  
 ここまで読んでいただいてありがとうございました。
 世の中で言われていることと、違う視点や考え方が提供できたらと考え、そのようにできることを中心に記載しています。ご意見は様々あって当然だと考えています。
 次回は「ワクチンパスポートは誰のため?」と題して記載したいと考えています。もしお時間がゆるすようでしたら、お嫌でなければお付き合いください。
 
 
                              2021/10/17
      新型コロナウイルス ---見えてきたかもしれない光---  了 


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新型コロナウイルス ---見えてきたかもしれない光--- 3

2021-10-16 00:19:05 | 日記
 今回の極端に急激な感染減少は、ひょっとして感染の終息に関係する出来事なのでは?と考えて検証を始めました。感染の終息のために必要と考えられているのは、「感染力が強いけれども、毒性は弱い変異株」です。今回の感染の主役であった変異株、デルタ株がこの条件を満たしていれば、デルタ株によって終息に向けた歩みがすすめられたと言えるかも、ということになります。
 「感染力が強いけれども、毒性は弱い変異株」を「終息株」と名付けることにします(実際にそういう名前があるかどうかは知りません)。「感染力が強い」という条件に関して、デルタ株は十分に終息株の条件を満たしていました。今回は、終息株のもうひとつの条件である「毒性が弱い」かどうかということに関して、デルタ株が満たしているかを検証してみます。少し考えるとデルタ株は凶悪で、毒性の強い変異株だったはずですが、、、
 今回も、CくんとRさんの会話形式をとらせていただきます。
  
R:確かにデルタ株が「感染力が強い」のは間違いないわね。でも、Cくんが言うように、そんなに簡単に救世主の終息株候補に入れてしまっていいものかしら。だって、病院はパンクしていたし、自宅で亡くなってしまった人までいたのよ。「毒性が弱い」という条件には当てはまらないんじゃないかしら?
 
C:そうかなぁ、、、?テレビとかでは確かにたくさん騒いでいたけど、でも日本ってコロナ病床がとっても少ないんじゃなかった?病院がパンクしていたのはそのせいかもしれないよ。自宅で亡くなった人たちは、もしかしたら病院で酸素を吸ったり、点滴をしていたら助かっていた人かもしれないんじゃない?たくさんの患者さんがいたけれど、同じようにたくさんの患者さんが、自宅療養のままで病院にもかからずに良くなったって話も聞いたよ。それだったら、重症になる人や不幸にして亡くなった人の割合は、もしかしたら実は低くなっている、ってことはない?
 
R:確かにそうね、、、。調べてみようか。(スマホで検索)デルタ株、重症化率、死亡率、、、あ、デルタ株のデータが出てきたわ。重症化率も致死率も従来株に比較して同じかそれ以上だって。確かにオリンピックの頃はそんなふうに聞いてたわよね。やっぱりデルタ株は「毒性が弱い」なんてことはなくて、むしろ毒性も強い変異株で、たくさんの重症例の報告もあるわ。そういえば、外国では酸素不足までおきてたもの。残念だけど、デルタ株の毒性は強いとしか言えないみたい。デルタ株は、救世主の終息株候補にはなれないわね。
 
C:そうなんだね。残念。じゃあ、なんでこんなに急に減ったんだろう、、、

R:(スマホで検索)新型コロナウイルス、重症化率、第5波、、、あ、でも待って、第5波の重症化率と致死率を教えてくれてる記事があるわ。読んでみるね。
 
C:ねえねえ、R姉ちゃん。記事はきちんと選ばないといけないよ。その記事、誰が書いているの?いろんな人がいろんなことを書いてるから、はじめは眉唾で読まないといけないと思うよ(もちろんこのブログもですね。眉唾で読んでください(笑?)もちろん私は真剣ですけど)。
 
R:大丈夫よ。有名な大学の偉い先生が書いているわ。この先生、わたしテレビで観たことあるし、きっとCくんも知ってるよ。
 
C:どれどれ、、、あ、ほんとだ。テレビで観たことある人だ。この人が言うことなら信頼できそうだね(ちなみに私は本人ではありません。そんなえらい人でもありません。念のため。万が一、これをご本人が読まれることがあったらごめんなさい。どうかご勘弁ください。万が一にでもないとは思いますが念のため)。で、なんて書いてあるの?
 
R:待ってよ。今、読んでるところなんだから、、、あ!?第5波では重症化率・致死率が大きく下がっている、って書いてあるわ!
 
C:あれれ?さっきの話だと、デルタ株は従来株と変わらないかもっとひどいウイルスっていうことじゃなかった?
 
R:そのはずよ。
 
C:だったら変じゃない?本当に重症化率とかが下がったって書いてあるの?
 
R:本当よ。大阪のデータだけど、第4波の重症化率は3.2%だったのが、第5波では0.99%に下がったって書いていあるわ。致死率はもっと下がっていて、第4波では1.9%だったのが、第5波は0.2%だって。ええ!?なんと致死率は10分の1に低下したって書いてあるわ。どういうことかしら、、、
 
C:きっと理由も一緒に書いてあるよ。先を読んでみてよ。
 
R:そうね、、、あ、書いてある。最大の要因はワクチンによるものと考えられるそうよ。抗体カクテル療法が承認されたことも役立ったのではないかともあるわ。ワクチン接種者では重症化が起こりにくくなることが改めて示された、とも書いてあるわ。デルタ株には確実にワクチンが効いていたのね。そのことが一番の要因みたい。
 
C:ふーん(目つきがキラーンとして斜め上を見たCくん)、、、ねえねえ、R姉ちゃん。
 
R:なに?Cくん。
 
C:デルタ株って、重症化率も致死率も、ホントはそれまでのウイルスに比べて悪いウイルスだったんでしょ?
 
R:そうよ。
 
C:でも、ワクチンをうった人が増えたり、抗体カクテル療法ってのができるようになったから、重症化率と致死率が下がったわけだよね?
 
R:そうね。そう書いてあるわ。
 
C:だったら、デルタ株そのものはとっても悪い変異株かもしれないけど、ワクチンや治療法が効くことで、社会全体に対しては毒性が弱くなったとは考えられないかな?
 
R:なるほど、そうね。いくらウイルスの毒性が高くても、ワクチンや治療法を加えた結果致死率が下がったのなら、社会全体に対しては「毒性は低い」って言えるかもしれないわね。
 
C:だったらさ、見方によっては、終息株の条件である「毒性は弱い」というところも、ひょっとしたらデルタ株は満たしているって言えるんじゃない?
 
R:え、まさか。でも、確かに、、、
 
C:でしょ。それだったら、デルタ株は「感染力が強いけれども、毒性は弱い変異株」になっていた、とも言えることになるよ。だったら、救世主の終息株の候補にデルタ株は十分ノミネートされてもいいんじゃない?
 
R:うん、確かにそうだわ、、、ということは、、、何が言いたいの?Cくん。
 
C:だからさ、今回急に感染者が減ったのは、もしかして救世主の終息株が出てきたから、とは考えられないかな、ってことだよ。終息株が出てきたときの、社会的な感染防御が成立した過程を見ているのかもしれない、ってこと。
 
R:え、、、まさか。、、、デルタ株が救世主の終息株ってこと、、、?
 
C:それは、本当のところはわからないよ。でもね、現実に極端までに急速に感染者数が減ったよね。これは事実だよ。それで、終息株となれる条件を元にデルタ株を見直してみると、条件は満たしているってことだよ。可能性は十分にあるんじゃない?
  
R:そうね。そうなるわね。そうだとしたら、すごくうれしいかも。でも、そんなにうまくいくものかしら。
 
C:あくまで、デルタ株が終息株である可能性はある、ってことだよ。いくら実際にそうだったとしても、このままおさまるとは思ってはないよ。だって、ウイルス自体が弱毒化したわけではないからね。それにワクチン接種できない人や接種しない人もたくさんいるし。だけどね。一時的にせよ感染防御が社会的に成立する過程が見られていたかもしれないとしたら、どう?なんだか嬉しくならない?いつ来るかも、本当に来るかもわからなかった終息の実感を、もしかしたら今回みんなで感じることができたかもしれない、ってことなんだ。
 
R:そうかあ。そうよね。とてもうれしいことよね。まだわからない波が来るとしたって、終息の実感を感じられれば、もうひと頑張りもふた頑張りもできる力が湧いてくる気がするわ。
 
C:そうでしょ。たとえこの先にまた感染の波が来たって、ボクたちは確実に感染の終息に向かって歩いているってことが、今回わかったんじゃないかって思うよ。「いつまで続くかわからない。幸運にして第5波はおさまった。第6波に備えなさい」って言われるのと、「今回は第5波の収束だけではなく、この先に大波の減衰が得られる終息の第一歩だった可能性がある。確実に終息に向かって歩いていると思われるから、もうひと波、ふた波頑張りましょう」って言われるのとでは、随分と気持ちが違うと思うんだ。
 
R:ほんとにそうね。なんだか力が湧いてくる気がするわ。これまでのことが無駄じゃなかったってことだもんね。いつまでもこれが続くんじゃない、終わりがあるってことでもあるもの。そうか、、、だから急に感染者数が減ったのか、、、
 
C:へへへ、R姉ちゃんも人を信じやすいね。こんなこと、ほかに誰も言っていないことだよ。ボクが言ったことをそんなに素直に信じていいの?
 
R:もう、うるさいわね。でもね、Cくんの言ったとおりであってほしいって思ったわ。だってそれだったら、一時的にせよこれまでの努力が報われて、出口の一端が少し見えたわけだから。
 
C:そうだよね。やっと目に見える効果が出始めたのかもしれないって思えたら元気になるよね。これまでは出口の出の字も見えなかったんだから。
 
R:そうよね。わたしはCくんにだまされてみようかな。責任はちゃんととってよね。
 
C:大丈夫だよ。責任はSにいさんにとってもらうから(笑)
 
 最後まで読んでくださった方がおられましたら、ありがとうございます。
 続きます。


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新型コロナウイルス ---見えてきたかもしれない光--- 2

2021-10-15 00:16:16 | 日記
 あえて希望的な側面から今回の急激な感染者数の減少を考察してみたいと思います。少なくとも急激に感染者が減じられたことは希望ある事象ですから。
 
 大前提として、新型コロナウイルス対策の最終的な目標(ゴール)は「感染の終息」です。「感染の終息」にすすむとき、どのような経過となるでしょうか。それを明らかにした上で、予測される終息の形から逆算して見てみたいと思います。
 
 ※「感染の終息」があるのかないのか、ウイルスのすべての変異の動きが想定できないので、実のところ判断はできません。でも、そんなことを言っていたら、身も蓋もなく話も進まないので、「感染の終息」はある、と仮定します。
 
 これだけ広がったウイルスが、地上から消え去るという形での終息はまず考えられません。そのため、いわゆるウィズコロナの状態で社会に大きな影響を与えなくなる、という形での終息が最も考えられています。すなわち、歴代のいわゆる4種類のコロナウイルスのように、現代では風邪症状を引き起こすものとなっているコロナウイルスたち(HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1)のように、病原性が弱毒化したものだけが残るという形でのウィズコロナです。そのとき、完全に世の中からCOVID-19 (SARS-CoV-2) はなくなっていませんが人類に危機をもたらすという形のパンデミックは終息していると言えるでしょう。これが目指す終息の形と予測されています。
 
 そうなると、ウィズコロナの状態で「感染の終息」を得るために必要なものは、「感染力は強いけれども、毒性は弱い変異株」です。
 「感染力は強いけれども、毒性は弱い変異株」は、感染力で上回ることで他の変異株を淘汰して世界を席巻します。でも毒性は弱くて、入院に至る人は少なくて、集中治療室が占拠されるようなこともなく、社会を混乱させません。そんな変異株が誕生したら、感染者はたくさん生じたとしても、人類にコントロール不可能な脅威を与えるという意味でのパンデミックは終息に向かうことになります。
 
 ※ちなみに「感染力が強くて、毒性が極めて強い変異株ができた場合も、感染した宿主が他に感染させる間も無くみんな死んでしまうので終息する。SARSはそうやって一旦終息した。」との意見もあるかもしれませんが、これだけ人類に広く行き渡ったあとでは、その終息パターンは成立しないと思われます。強毒の変異株は確かになくなっていくでしょうが、宿主が亡くなることを伴うために、医療機関に隔離もされるため、どうしても感染は限定的になり、例えばいくら一国でその強毒株で終息したところで、他の国で流行っている他の変異株は生き残り、広がり続けるだろうからです。すなわち、いくら武漢や中国国内で完璧に抑えたところで、他国で燃え広がり続けているのと同じようなことです。それはパンデミックの終息ではありません。閑話休題。
 
 ですから、私たちが今、耐えて耐えて耐え忍んでいるのは、ある意味では、「感染力は強いけれども、毒性は弱い変異株」の出現を待っているとも言えます。その変異株が(変な例えですが)救世主みたいなものになるわけです。ウイルスが変異することは厄介ですが、変異することで終息への期待を持てる、という逆説的な側面もあるわけです。(不謹慎かもしれませんが、少しおもしろく感じませんか?)
 
 では、今回のデルタ株はどうでしょうか?救世主たりうる「感染力は強いけれども、毒性は弱い変異株」にあたるでしょうか?ちょっと考えると、毒性は強いはずですが、、、
  
 堅苦しくて理屈っぽくて申し訳なく思います。ここから、少しでもわかりやすくなることを願って、少し会話形式をとらせてもらいたいと思います。CくんとRさんの会話形式としました。
 まずは「感染力は強いけれども、毒性は弱い変異株」の前半、「感染力が強い」かどうかの検証です。コ、、、えへん、おほん、、、Cく〜ん!
 
Cくん:あれれ?そういえばR姉ちゃん、デルタ株って感染力がすごく強いんじゃなかったっけ?ウイルス量がアルファ株(初期の従来株)の1000倍以上あって、「すれ違っただけでも感染する」って、すごい危険性を報告する研究機関があったよ。今回の第5波だって、爆発的に増加したのは、このデルタ株だったからでしょ?感染力が強くて、家庭内感染がほぼほぼ免れなかったことが感染爆発の大きな要因のひとつだったってテレビで言ってたよ。だったら、「感染力が強い」のは間違いないよね。、、、ということは、救世主になる変異株の候補だってことじゃない?
 
 希望が膨らむ感じに思えませんか?
 ここ(デルタ株の感染力が強いこと)には異論はないように思えますがいかがでしょうか。
 次は「感染力は強いけれども、毒性は弱い変異株」の文言の後半、「毒性が弱い」かどうかを検証します。これが「毒性が弱い」と出れば、デルタ株は実は救世主の変異株なのかも、ということになるわけです。少し考えると、デルタ株は凶悪な変異株だったはずですが、、、
 
 この検証がこのテーマの最も大切なキモになります。
 続きます。

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新型コロナウイルス ---見えてきたかもしれない光--- 1

2021-10-14 01:14:31 | 日記
 随分と久しぶりにブログを更新させてもらいます。振り返ってみると、なんと5ヶ月ぶりです。、、、あっという間の5ヶ月でした。
 その間にオリンピックがあり、猛烈な第5波があり、、、この第5波の勢いは凄まじかったですね。はらはらした人も多かったと思います。私もその一人でした。
 この第5波が行くところまで行くとしたらどうなってしまうのだろうか、と思う間もなく感染は爆発していき、行政や医療機関が慌てふためいてつくった急ごしらえのさまざまな体制も、易々とまさに津波のように押し寄せる感染者数の圧倒的なボリュームに乗り越えられていました。
 いよいよ「その時」が来てしまったか、もはやこれまでか、、、と観念しかけた頃に、嘘のように急速に感染拡大が止みました。本当に嘘のように減りました。
 言ってみれば、大嵐の中、波はどんどん高く激しくなって、もうこの船(病院や地域社会)は沈んでしまう、もうダメかも知れない、でも最後まで諦めずにやることだけはやってみよう、と捨て身の覚悟になった瞬間、一瞬で大凪の海に出て、空には太陽まで見えてきたようなものです。捨て身の覚悟をした船員たちが、あまりの急激な天候の変化にポカンとして、真っ平らな海でゆらゆらと、宙ぶらりんになった覚悟の行き場を持て余しながら、陽の光を浴びている状態。
 この急激な変化の理由はなんなのでしょうか?
 
 すでに分科会等から急速な感染減少の理由は推測はされていて、さまざまな理由(長雨、連休がなくなる、感染への危機感等)での人流の減少や感染対策の徹底、それからワクチンの効果などが挙げられているところです。第6波への危機感を持つようにと警鐘もされているところです。
 でも、なんとなくそうした発表に納得できていない人、いませんか?内容は文字としては入ってくるし、いちいちもっともでそうなんだろうけれども、なにか今ひとつ腑に落ちてこない感じがある、という人、実は多くはないですか?みなさん、完全に納得していますか?
 そうした発表に何が足りないかというのは具体的にはわからないし、言葉にできないけれど、本当に説明してもらいたいことがどこか何か抜けている気がする、、、というそういう気持ち、持ってる人、実は多くないですか?少なくとも私はそうです。大切な分析が(あえて?)されていない。何か抜けてる。そう自分の直感が伝えている。そう感じる人。
 そして、そうした中で、第6波への警鐘ばかり鳴らされても、、、という何か微妙な違和感みたいな気持ち、ありませんか?ある人は、少し読んでみてください。ヨッテラッシャイ ミテラッシャイ キニイッテモ キニイラナクテモ オダイハイラナイヨ アタリマエカ www
 
 要するに、こんなに急激に減少したのは、
 
 モシカシテ流行ノ終息ニムカッテイルノデハナイデスカ?
 ソウシタコトハ全ク考エラレナイノデスカ?
 
 という疑問です。心の奥底でそんな声が小さく響いている人いませんか?もしそうだったら、少しでもいいからそのことへの説明をしてほしいと思うのではないか、と思いますがいかがでしょうか?少なくとも私はそうです。終息まで突っ込まなくても、流行の終息に確実に向かっているのかどうか、そのことだけでも何かコメントが欲しい。それについていささかでいいから考察してもらって、その上で第6波への警鐘を鳴らして欲しい。そしたらみなぎる力も違う気がします。そういう思いです。 
 そこで、そうしたことを踏まえて、今このときに、あえて希望的な側面から今回の急激な感染者数の減少を観てみたらどうなるか、少し考えてみることにしてみました。
 
 長くなるので分けます。
 続きます。
 


コメント (2)
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