少しだけ One for All

公的病院の勤務医です。新型コロナウイルスをテーマの中心として、医療現場から率直に綴りたいと思います。

オミクロン株 2 南アの勇気を忘れない

2021-12-06 17:47:08 | 日記

 
 南アフリカ政府がメディア発表をした11月25日以降、連日、オミクロン株の報道が続いています。発表から10日ほどしか経っていないとは思えないくらい、オミクロン株という言葉が耳目に馴染んでしまいました。
 現時点で世界42カ国での感染が報道されています。中には市中感染を既に疑っている地域もあるとのことです。
 
 他地域でも既に広がっているとなると、オミクロン株がどこから発生したか、冷静に解析しないといけなくなります。初めに発見して発表したのが南アフリカだった、ということだけで、他の地域では気づかれていなかった、ということもあり得ます。
 そう考えると、南アの感染症の専門集団の優秀さが引き立ちます。もし南アが発見することがなく、しばらく世界中で放置されていたり、なんだかおかしいな、って漫然と様子見されていたりしたら、こんなに少ない人数で全世界からの感染者発見のニュースは入ってはこなかったでしょう。既に感染が広がったパニックの状態での報道ばかりになっていたと思います。本当に今回の南アの対応は素晴らしく、南ア政府や南アの保健省に世界中が感謝しなければならないと思います。
 
 ところが、
 「南アが不利益を被ることがあってはならない。南アが不利益を被れば、これから正直に報告する国もなくなるだろう。だから南アへの渡航制限をする国々を非難する。」
 これがWHOの理屈です。こんなバカな話はありません。(南アの大統領が「罰を受けているようだ」と言ったのは知っていますが、公衆衛生機関であるWHOが利益・不利益で渡航制限を論じる破茶滅茶さ)
 
 南アの保健省が、なぜ早々に発表をしてアラートをかけたのでしょうか?もう全くシンプルに、感染を広げないためです。そのために、身を切る覚悟で発表をしたはずです。その思いに応えるには、まず大前提として感染を広げない施策を施行しなくてはなりません。それをしなければ、南アが迅速に発表した意味すら消してしまうのですから。WHOの言う通りにすると、褒め称えるべき南アの勇気がただのゴミにされてしまいます。
 南アが不利益を被らないようにすること、他の国が嘘をつかないで済むようになることは、大前提の感染対策をした上で考えるべきことです。そうでなければ、そもそも南アの発表の意味自体がなくなります。WHOとは、なんて愚かな世界機関でしょう。
 私だったら南アを激しく称賛します。そして南アの勇気を褒め称えます。この先ずっと人々の記憶から消えないように。そして、その上で南アへの医療サポートを呼びかけ、世界中の政府に呼びかけて基金を作ります。その基金で、南アに新しい病院建設を進めます。コロナ以外の病気からも多くの南アの人が助かるように、医療面を強く支えます。その結果、国が安全になり、健康が保障されるようになれば、南アへの経済投資も増えるはずです。基金が広がれば、それをアフリカ全体に広げればいいでしょう。(どこかの大陸の大国が、その国を乗っ取るために投資するお金とは全く違います)この医療危機に臨んで、その道筋を、WHOがつくらず、一体どの機関がつくれるというのでしょうか?渡航制限を非難するなんて暇つぶしの悪事をしているような時間はないはずなのに。
 火事が広がらないように、消防署に報告したら、逆に火事が広がるように貴重なその情報が悪用されて、周囲の家まで燃えてしまうのです。そして、なんでそんなことをするんだ、と消防署に言ったら、初めの燃えた家が不利益にならないようにみんなで燃えましょうね、と言うのです。そんな消防署、すぐに潰れるべきですよね。
 
 WHOは医療機関です。まずは医療をしっかりとやるべきでしょう。WHOの正しいあり方としては、それはちょっと厳しいんじゃないか、ぐらいの渡航制限や感染対策を打ち出し、社会経済側がそれを少し緩める、というのが本来だと思います。渡航制限は感染対策の強力な武器です。それをこのような早期発見ですら非難することしか知らず、武器を使おうとしない公衆衛生機関とは、存在価値がわかりません。WHOがブレーキを緩めたら、どこがブレーキをかけてくれるのでしょうか。まさか、経済機関がブレーキをかけるべきとでも言うのでしょうか。今のWHOの言うことを聞いていたら、永遠に問題は解決せず、新型コロナウイルスで人が死に続けます。
 
 WHOの目的は、ゼロコロナ政策をとっている大国(察していただけるでしょうか?)の政府を支えることではないかと勘繰る所以です。ゼロコロナ政策の大国は、他国が感染で混乱するところを国民に見せて、ああこの国の政府でよかった、と思わせるようにしています。それによって一党独裁体制を強化しているのは間違いありません。
 他国が混乱すればするほど良いのです。日本が混乱していたころは、その様子が特に大きくテレビで報じられて、一党独裁政府の優秀さを刷り込む材料にされていたとも聞きます。彼らは、他国でパンデミックが広がり、混乱が広がってくれないと困るのです。そのために、発生初期のロックダウンした大都市での失政を隠すため、全世界にウイルスをばら撒くことで自国民に見えないようにし、さらにそれだけでは飽き足らず管理体制強化に利用しているように見えてしまいます。
 そのゼロコロナ政策の大国にとっては、ワクチンで感染が治まってしまうなんていうことはあってはならなかったことでしょう。さまざまな意味で、ワクチンは不完全でなければいけませんでした。彼らの最大の誤算は、ほぼ完璧に重症化を防ぐことができるmRNAワクチンが、ごく短期間で西側で作られたことではないかと思います。自国ワクチンにこだわる以上、mRNAワクチンを国民にうてませんし、自国のワクチン効果が不十分である以上、ゼロコロナ政策を取らざるを得ません。そのため、全世界の反ワクチン運動を煽動し、各国の感染対策がうまくいかないように誘導し、mRNAワクチンは信用ならないものと自国民にも印象付けているのでしょう。
 
 ワクチンの陰謀説がたくさん取り上げられ、その陰謀論から過激な反ワクチン運動が行われるのに、WHOの陰謀に反対運動が巻き起こらないのはこのためではないかと邪推しています。どちらもあまりに不自然すぎて。
 まあ、陰謀論への陰謀論返しです(笑)
 
 西側は、mRNAワクチンの技術者たちを守らなければいけません。ゼロコロナの大国の魔手がたくさん伸びていることと思われます。科学技術の搾取は彼らのお手のものです。本来、卓越した技術は、世界に広め、世界中の人の幸福に寄与するべきです。しかし、それはあくまで性善説に基づいた社会でこそ成立することです。なにしろ、あの国は、マスクやアルコールでさえ、命と引き換えに取引をして金儲けをした国です。信じられない悪意に彩られたものからは、やはり大切なものは守らないといけない、そう強く感じます。


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