ワクチンパスポートとは、ワクチンを接種したら証明がもらえ、それを見せないと店などに入れないという外国のあれです。ワクチンが未接種の人には、パスポートの代わりにPCR陰性証明があれば入店を許可する、としているところが多いようです。
日本でも、先日見たテレビで、ある旅行会社が、ツアー参加者全員にワクチン接種証明か未接種の人にはPCR陰性の証明を求めるようにしたことを報じていました。海外の動きにいち早く連動したのだと思います。
その店やそのツアーは安全なように思えます。ワクチン接種証明とワクチン未接種の人のPCR陰性証明が、他人に感染をさせませんよ、だから安全ですよ、という証明になると考えられているからだと思います。本当にそうでしょうか?
簡単のために、前回はCくんとRさんでしたが、今回はFさんとIくんの会話を見てください。Fさんは後ろ髪の長い刑事さんで、Iさんはいじられキャラのその部下さんのようです。
F:あ、あ〜、こらキミ!キミだよ、キミ!イマ、、、じゃないや、Iくん!なんで逃げるの?
I:に、逃げてなんかいませんよ〜。
F:嘘言うんじゃないよ。今、わたしの顔見て走り出そうとしてたでしょ。しっかり見てましたよ。来て。いいから、ちょっと、こっち来て。ああ、逃がすとこだった。危なかったよ。
I:帰らせてくださいよ〜。今日は用事あるんですよ。言っといたじゃないですか。お願いしますよ〜。
F:やっぱり逃げてたじゃないか。全くキミは、わたしがどんなにキミを頼りにしているか、わかってないみたいだね。
I:そんなこと言われたら、嬉しくなっちゃうじゃないですか。(とてもうれしそう)もう調子のいいことばかり言わないでくださいよ〜。、、、あ、でも、そんなこと言うときは、いつも必ず何かたくらみが、、、勘弁してくださいよ〜。今日は用事があるんですよ。もう帰らしてくださ、、、ああ、もう目が笑ってるじゃないですか、、、
F:フフフ、ちょっと何言ってるかわからないな、キミ。
I:そんなの差しこんでこなくてもいいですよ〜。帰りますよ、もう。私は断固として帰ります。
F:まあまあ、そんなこと言わずにさ。すぐ済むからさ。キミさ、あれさ、あれ打った?
I:いきなりだな〜、もう。あれ、じゃわかりませんよ。なんですか、あれって?
F:あれだよ、あれ。ほら、肩にさ、チクってされるやつ。みんなやってるやつだよ。察しがわるいな、キミは。
I:わかりましたよ。ワクチンでしょ。新型の、コロナウイルスの。
F:そうそうそう。それだよ。それ。さすがやっぱりIくんはわかってくれる。
I:褒めてるんですか、それ。バカにしてるんでしょ、もう。打ちましたよ。
F:褒めてるんだよ、ちゃんと。人を疑うもんじゃないよ。ほんとだよ。キミだから話しているんだよ。、、、あ、そう、打ったの?
I:はい、打ちました。
F:ああそう、打ったんだ。
I:打ちました。
F:、、、、、
I:、、、打ちましたよ。な、な、なんなんですか?なんかあるんですか?
F:なんで?
I:え?なんで、、、?
F:なんで打ったの?
I:なんでって、、、Fさんは打ってないんですか?
F:打ったよ。当たり前じゃないか。あれだけやいのやいの言われて、逃げられるわけないじゃないか。
I:じゃあなんでそんなこと聞くんですか?ボクも同じですよ。
F:そういうことじゃなくてさ、うーん、その、つまり、打つことを決めた理由、みたいなもの、何かなかったの?注射だよ?痛いだろうしさ。君なんかさ、できるだけ打ちたくないって思ったクチだろ?怖いこと言う人たちもいるしさ。
I:ま、まあ、そうですけど。
F:それでも打とうって、なんで思ったのって聞いているんだよ。なにかあったでしょ。その、ほら、これを打てばこうなるから打とうって決心をした理由みたいなことがさ。あ、ないか。君には理由なんていらないのか。
I:ありますよ、ちゃんと、ボクにだって理由くらい。神経質なんですから、すごく悩んだんですから。注射だってきらいだし。でも、あれですよ、人に感染させちゃいけないからって思って。それで怖いけど打つことにしたんですよ。
F:ああよかった。ちゃんと理由があって。一瞬、聞く人を間違えたかと思ったよ。
I:当たり前じゃないですか。たくさん考えましたよ。怖かったんですから。
F:で、打ってどうだった?
I:なんかホッとしました。ああこれで、自分も大丈夫だけど、人にも大丈夫なんだって思えて、心が軽くなりました。
F:そう。君は思ったよりちゃんと自分で考えてたんだね。安心したよ。ほかには?
I:まあ、そりゃあ、故郷のお袋に会いに行きたいな、とか、盆暮はね、故郷の同級生たちといつも宴会してましてね、ずっとコロナで中止だったんですけど、今年はできるかな、とかって。ちょっとワクワクしたりして、、、こういうことでいいんですか?
(Iさんは82歳のおばあちゃんと二人暮らしの設定なのですが、今回は話の都合上違う設定です。)
F:そうそう、そういうこと。君にも友達がいたんだね。安心したよ。大切にしなきゃいけないよ。
I:はい。
F:じゃあさ、聞くけれど、なんでワクチン打ったら故郷に帰れると思ったの?
I:え?なんでって、、、どういう意味ですか?
F:どういうって、、、こっちが聞いてるんだよ。質問に質問で返すんじゃありませんよ。なんで故郷に帰れると思ったの?って聞いてるんだよ。
I:だって、ワクチン打ったら感染しなくなるじゃないですか。人に伝染すのが怖くて行動制限してたんですよ。感染させなくなるならいいんじゃないですか?帰っても。外国とか、そうしてるってテレビでも言ってるじゃないですか。日本でもそんな流れみたいですよ。
F:それだよ。
I;どれですか?
F:キミは今、ワクチン打ったら感染しなくなるし、感染させなくなる、って言ったよね。
I:ハイ、言いました。
F:(ニヤニヤして)ホントにそうなの?
I:え?
F:I君、キミはホントに人に伝染すことはなくなっているの?
I:え?、、、そうじゃないんですか?
F:(Iの目を見つめて無言)
I:、、、何か言ってくださいよ〜。
F:全くもうキミは、、、ボーっと生きてるんじゃないよ、ホントに。
I:なんですか、それ。言いたかっただけでしょ?めんどくさいなあ。
F:ん?ちょっと何言ってるかわかんないよ、全く。ちょっとこれ見てみてよ。
I:なんですか?これ。文書ですか?
F:いいからちょっと声出して読んでみてよ。
I:わかりましたよ。読みますよ。、、、ん?国立感染症研究所?そんなところの文書がなんでこんなところにあるんですか?
F:いいから。読んでって言っているんだよ。
I:わかりましたよ。ビーイチロクイチナナニケイトウは、パンゴケイトウで、、、ってなんですか、これ。いきなり初めからもうわかりませんよ。なんなんですかビーイチロクイチナナニケイトウって、、、
F:デルタ株のことだよ。
I:は?
F:デルタ株知らないの、Iくん?君はもうホントに、ボーっと生きてるね。
I:し、知ってますよ、デルタ株くらい。ニュ、ニュース見てますから。
F:ハイハイ、続けて読んで。
I:読みますよ。読むだけですからね。読んだら帰りますからね。、、、何、ニヤニヤ、嬉しそうにしてるんですか?うーんと、、、なんですか?これ、、、Ct値ってなんですか?よくわかりませんよ、、、
F:じゃあいいよ。最後の方だけで。最後の方だけ、読んでみて。
I:わかりましたよ。えっと、「以上の知見は、ブレイクスルー感染があり得ること、ブレイクスルー感染者が二次感染を引き起こし得ることを示している」、、、ん?え?なんですか、これは?ワクチン打っても感染して、しかも人にも感染させるって書いてあるじゃないですか、、、えええ!?
F:(ニヤニヤ)
I:え、これって、、、これが本当なら、ワクチン打った意味ってなんだったんですか?
F:(ニヤニヤ)
I:にやけてないで教えてくださいよ。ワクチン打った意味ってないんですか?
F:そんなわけないじゃないか、簡単に決めるんじゃないよ、キミ。
I:じゃあ、教えてくださいよ。ワクチン打った意味。
F:(ニヤニヤ)
I:Fさ〜ん、、、
F:(ニヤニヤ)
I:あ、、、、
F:(ニヤニヤ)
I:実はわかってないんですね?Fさんもまだ知らないんですね?
F:(ニヤニヤして、Iの目を見ながらうなずく)
I:そんな目をして見つめないでくださいよ。
F:(ニヤニヤ。そして長い人差し指でIを軽く指さす)
I:はいはい、わかりましたよ。それをボクに調べろっていうんですね?
F:(うれしそうに)そうそう!やっぱりI君は察しがいい!打てば響くね。
I:持ち上げられたって嬉しくありませんよ。まったくもう。わかりましたよ。わかりました。自分のためでもありますからね。調べてみますよ、調べます。
F:ありがとっ!(爽やかに)じゃっ!私は帰るから。明日までによろしくね!
I:え?帰る?いやボクが帰るとこ、、あ、もういなくなった。早っ!!、、、明日ぁっ!!?
頑張れ、 I さん!
長くて申し訳ありません。続きます。