王様の肖像
2022-10-27 | 詩
幾多ものアリが這うオレの目は死の不安を誘い
自我の死臭で壊れちまったオレの鼻はお前のいかさまを暴く
汚れを知らないオレの唇がマドンナを悩殺すれば
それをシェブロンが高笑いして見てる
オレはあこぎの王様さ
ありきたりな生き方なんてできやしないだろう
まるであこぎの王様さ
ありきたりな幸せなんて分かりゃしないだろう
荒れ果てた教会で眠るオレの愛はしばらく起きやしないだろうから
そこにあるのは欲望にまみれた浅はかなKISSだけ
オレの描く絵は真夜中に静寂を飛び出して
オレの書く詩を冷評してみせる
オレは孤独の王様さ
他人の為に生きる事が出来なければ
まるで孤独の王様さ
自分の為だけに生きる事すら出来やしない
青ざめた時代色に似つかわしくないその風貌はC.C.を狂わせ
軍服みたいな服を着た街角に軍靴の音色を奏でれば
足下に花を咲かせた女神は退却し
そこは王様の休日となる
オレは丸裸の王様さ
うしろ指をさして笑うだけの奴らには
まるで丸裸の王様さ
本当のオレの事なんて分かりゃしないだろう
誰かの謳歌は一時の風に吹き飛ばされてしまうというのに
無言の時間は一層オレをいらだたせる
おまえの死を哀しむつもりは無いが
明日もおまえに抱かれてみたい
オレは人間の王様さ
気難しいなんて言うけれど
まるで人間の王様さ
楽観なんて出来やしないだろう
オレに肖像を描いてくれ
オレは死ぬのに
オレの肖像を描いてくれ
オレは涙を流すから
(『蓄音機』収録)
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