美男子俱楽部

※単行本はBOOTHにて発売中。

ずらずらずら。

2024-02-06 | 筆録

久しゅう

世俗に出た途端、悪に晒された。

私に傘をうちあてる者が在った。

よけんかい、こら。

「頭ボケとんのか。」

むかついた。おれはとても繊細だから。

おばはんであった。

精神はこの世にあらず。我に何言うても無意味也。と言うた様なすました顔面をしていた。腹立つ。

それと同時に、この世のあらゆる憎しみとそれにより行われる様々な争い。それによって満ちるこの世界とそう言う可哀相な世相と生けるかけがえのないしかし最強である可哀相な自分のなかの世界との隙間に存在しえる真正世界を悟るように見ゆるけがれた目をしていた。つまり阿呆。下らぬ奴である。

 

この自分が最強である事を信じて疑わず虚妄である自分だけの真理に夢中で、現実を直視せず他を敵と見做し排除しようとする機関車おばはんに。

傘をうちあてられやや目の上が濡れた俺は、復讐に燃え同じ世界の住人に成ろうとした。それは、真正世界。

つまり端から、自分もよけようとせず、どころか新幹線の如く猛スピードで突進、かさをおばはんにぶち当ててけがれた目をする。自分がダメージを負う事は承知の上、自分だけが悲しく苦苦しい思いをするのはナイーブな自意識が傷ついて嫌なので、先手必勝、とりあえず相手に自分が受ける以上のダメージを与える。これで相手の方が自分よりも嫌な思いをする。くふふ。こーれで。唯一無二の大切な私の自意識は綺麗なまま守られた。

自分、及びその周辺の自分が大切だと思う者、それ以外は知った事か。どうなろうと。世界でたった一つだけの、ナイーブな存在、かけがえのない自分。其れが私。それが守られれば良い。

極論、他は死んだって構わない。むしろ死んで欲しいですよねー。

という様な思想を一丁前にもったオタク族的なごく一般的な人民に為り下がり掛けたが、高踏的な私は辞めた。

何故なら、私には例えばこういう話を只で聞いてくれる仲間と、愛する人が居るから。

他人はどうでも良いといった下劣なケダモノに愛されて幸福な人間はいない。

俺は愛する者の為、愛を与える人と為るのだ。

と、気を取り直して歩くと、全員

死んだ昆布のやうな目なこと。

その様な腐った目で見るのは、やめてくれないか。

他と私の 服と服 身体と身体 がこすれて気色が悪い。

バスの運転手にタメ口を利かれた。

何様じゃ、こら。

「口のききかたに気をつけろ。」

なめとったらあかんど、あほんだら。

 

俺はこう云った悪に晒されたとき

自分の心を守るために自殺などしない

自殺をした者は或る意味では天才じゃが。

「私の武器はペンだ。」

何故なら、俺は作家だから。

万年筆だ愛すべき人から貰った逸品。

此の手帖

そう云う意味でらくになる。倖せになる。

例えば、このような悪に晒されても誰か。

この御仁も、中原中也もこの様な体験、思いをしている。のだからといい、やや救われる。

やや安心する。

ややらくになる。

やや気楽になる。

しかし私はそう思われる側に立たなければならない。

何故なら俺は、表現者だからや

 

云うてますけど........

 

 

この冷え冷えの珍事が常。

皆さま。ワイン飲んだらええとおもいます。